第28話【天衣無縫】
街まではだいぶ距離がらしくしばらくは道なき道を進むらしい
「賢聖、君は旅慣れているのかい?」
「どうしてそう思うんだ」
「普通山の中を歩くときは魔物がいるかもしれない、だから警戒するし緊張もするそうすると普段より疲れやすくなるものだ。疲労が重なれば注意力も落ちるし、危険がある場所で安眠は得られない。最初は神経が図太いだけかと思ったけどそうでもなさそうに見える」
全く持って見当違いだ。警戒するなんてセリアがいたときにはする必要がなかっただけだ、注意力が落ちればこんな山の中歩けないだけだし、危険を感じて寝れないというよりも疲労が勝って寝てるだけだ、だがここは利用しよう、含みを持たせて
「まあ、な。これでも旅はしてるんだ」
「フフ、賢聖よく君はうそをつくのが下手と言われないかい?」
アマルフィはケラケラと笑う。ふとしぐさが可愛いと思ったのは腹が立つからなかったことにしよう
「そう言えば冒険者は依頼をこなしてお金をもらっているんだろ?アマルフィは依頼はいいのか」
「依頼はしがらみがあったりするからあまり受けないんだ、魔物を狩るだけでも冒険者はギルドからお金がもらえるんだよ、ほらこれ見えるかい」
アマルフィの手には名刺程度の大きさのカードがあった。
「これはギルドカードといって冒険者に配布されるんだよ、原理は知らないんだけれどとにかく倒した魔物の名前が出るんだ、それによってお金がもらえるんだよ」
魔物はほっておくと勝手に増えて街を襲ったりすることがあるんだと、そこで冒険者には魔物を狩るとギルドからお金がもらえるようになるんだと、もちろん魔物の素材が売れればさらにお金になるらしい
魔物討伐のお金だけはどこの街もけちることがないらしい、けちれば魔物は増えて強力なものも生まれる、そうすれば一早くに気が付くのは冒険者で冒険者はリスクが高ければ別の街に行く、そうすれば冒険者に支払うお金以上の損失がでるからだ
「どこでもらっても一緒だから街に行く目的は一緒だよ、っとそんな話をしていると、いるね。」
「いるって何が」
「魔物に決まってるじゃないか」
目の前にいたのはあの教会の連中に追われたときにあったのと同じ種類の魔物だ、たぶん別のやつだとは思うけど
「あいつは」
「知っているのかい?」
「いや、あいつに追われて死にそうになった経験はある」
「ふーん、実は君は戦えるのかな、普通はあれにあうと殺すか殺されるかだと思うけど」
あいつそんなにやべーやつなのか。ならここはさっさと逃げよう
「よし、逃げ」「じゃ、狩りに行こうか」
『え?』
「出会ったら殺すか殺されるかなんだろ?今なら逃げる一択だ」
「だから言ってるじゃないか、出会ったら殺すか殺されるかだって私はもう出会ったよ」
分かった、アマルフィの出会ったっていうのはサーチ&デストロイなんだな
これはバトルジャンキーというやつなのだろうか、正気じゃないぞ!?
「正気か!?」
「シッ!気づかれるよ、賢聖はここで見ていればいいから」
アマルフィは素早くそこから走った、というかはたから見れば飛んだようにも見えた。アマルフィの蹴った地面はえぐられていた、普通の人間の踏み込みとは思えないようなレベルだ
詳しくは分からないけどこれがアマルフィのスキルなのは明白だ、もし仮にスキルじゃないならこの世界の人間は化け物並みの身体能力を持った人間がいることになる
「はぁぁ!!」
素早く槍を振るう、初撃は成功!
「グォォ!!」
化け物もすかさず反撃する。化け物はなんというかキマイラのような感じだ獅子の顔、ヤギの同体、蛇の尻尾まさに化け物、魔物の容姿だ
アマルフィの尋常ならざる速さでキマイラを圧倒している、一撃一撃は軽症だが確実に傷を増やしてダメージを与えてる、対するキマイラは応戦しているが速度が違う
「これならいける」
素人目だけど俺にもそう見えるほど圧倒しているように見えた
「とどめだ!ハァァァァ!」
頭部を狙った大振り
「グォォォォォォ!!!!!」
ここでキマイラが待ってましたと言わんばかりの反撃、尻尾でアマルフィを吹っ飛ばそうとする
「しまったっ!」
直後アマルフィは吹っ飛ばされる
「ぐはぁ」
「アマルフィ大丈夫か!?」
「はぁはぁ、賢聖、逃げろ・・・」
息がおかしい、早くてあまり見えなかったが胸部に直撃しているように見えた。
このままだとあの魔物にアマルフィは殺される、俺がスキルを使えば助かる、でもここでスキルを使えばアマルフィに言及されるのは間違いない、何ならスキルはバレる
「何考えてんだ!目の前で人が苦しんでてそれを治す力があるんだ、だったら医療従事者としてやることは一つだろ!」
「な、なにを」
「少し静かにしてくれ!」
こんな緊急で治療するなんて救命医や看護師じゃないと立ち会わないから焦る
まずは受傷部の確認、呼吸も変だったから推測できる範囲で評価して、骨折の有無、その他の受傷部の確認をする
「こ、こんな時に、何してるんだい」
「すまんな、後で聞いてくれ、まずは怪我を治す」
恐らく、肋骨の骨折によって肺に骨片が刺さってるな、それで呼吸がおかしかったんだな、ほかにも右の上腕骨と橈骨の骨折だな
よし、スキルが反応した!
「賢聖、君は【ヒール】が使えるのかい?」
「その話はまた後でしてもいいか、とりあえずあいつを倒してほしいんだが」
「ああ、それなら心配ないよ」
瞬間、アマルフィは消えた。文字通り消えた、気が付くと魔物の首を落としていた
「これが私のスキルだよ、【天衣無縫】身体能力を向上させるスキルだ、強力なスキルだけが制限があってね、再発動時間が長いんだ。あれ、でも君に直された後にすぐ使えたな」
「お、おい!いいのかそんな風にスキルのことを話しても」
「よくないよ?でも先に話しておこうと思ってね」
アマルフィは続けてだって話してくれるんだろ?と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます