第27話 大人の対応・・・?

「自己紹介がまだでしたね、私は加賀賢聖です」

「賢聖でいいかい?」

「ええ、構いませんよ。ちなみにお名前をうかがっても?」

「うん、その前にねからかったことは謝る、だからその気持ち悪い作り笑いと敬語をやめてくれないかい、その顔は私が嫌いな顔だ」


表情が一気に暗くなった。少し大人げなかったか、というかこれじゃ腹パン女の方が大人じゃないか!

一気にみみっちく見えるな・・・


「すまない、こっちも悪かった少しムキになったよ」

「先にからかったのは私だからね、気にしてないよ。それで私の名前だったね、私はアマルフィ、冒険者だ」


目の前の腹パン女、もといアマルフィはソロの冒険者らしい。冒険者は魔物の討伐や護衛、盗賊討伐や賞金首狩りなど様々な方法で生計を立てている。いわゆる何でも屋みたいな感じだな、依頼料を払えばだれでも雇えるがその依頼を受けるかどうかは冒険者にゆだねられる。


「賢聖はどうしてこんなところにいるんだ」

「まあ、いろいろとな」


ここで教会とのごたごたは言うべきではないだろうしスキルのことも隠していこう。元はアマルフィのせいとはいえ命の恩人ではあるからそんな人をだますのは少しだけ罪悪感が・・・いや全くないな、何も問題ない


「言いたくないなら聞かないよ、でこれからどうするのかい?」

「人を探してるんだが、とりあえず森の中は危険なことが分かったから街か村を探す予定だ」


少しアマルフィは考え込んで


「よし、私がついて行ってあげよう、ここであったのも何かの縁だ」

「ありがたいが、俺は今一文無しなんだ、君に払える対価はないぞ」

「構わないよ、私も行き先が決まってるわけじゃないけど街までは案内するよ」


そういって手に持っている槍を素早く振るった。


「ここで一人になるのは危険じゃないかな?」


俺の背後にさっきと同じ魔物が切り倒されていた。尋常じゃない速さだ、これが人間業ではないことは予想がつく、つまりアマルフィは戦闘系のスキルということになる。というか、戦闘系のスキルってここまでぶっ壊れのものなのか、人間やめてるぞ


「お礼はいつかする、だから街までよろしく頼む」

「うむ、素直でよろしい」


夜も深いので今日は魔物の死体から離れたところで寝ることになった。安全が担保された途端、眠気が襲って来た、ずっと緊張状態で過ごしていたからな無理もないが


「賢聖、起きたまえ。全く君は昨日今日あった人間に警戒を解きすぎだ全くどんなところで生きてきたんだ」

「ん、ああ、もう朝か」

「いいや、実はもう昼だ、かく言う私も寝て起きたのがいまだ」

「人のこといえねーじゃねーか!」


確かに俺も気を許しすぎるというか、そもそも俺なんかの力だと気を許してなくても何かされても抵抗できないけど、アマルフィも寝てるってことは同じじゃないかというと、私は賢聖が何かしてきても気づくし逆に返り討ちにできるよ、と笑って返されると立つ瀬ないな


「そうだ、アマルフィ道案内は頼むぜ、俺は道が分からないからな」

「全く気を許しすぎというか、もうここまで来たら肝が大きいというか・・・・賢聖、君は大物だよ」

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