第23話 逃走劇再び②

今は相手がこちらの場所を把握する手段があるなら立ち止まるのは得策じゃない


「走ろう!」


相手のスキルがどんなものかが分からないと正直打てる手は限られる、セリアと同系統のスキルであればいたちごっこになり、そのうち体力の尽きた俺たちが負ける


「はぁ、セリア追ってきてるか?」

「はぁはぁ、い、いえ、離れてます」


逃げ切れたのか?なんだ、相手のスキルは場所を把握するスキルはないのか?


「賢聖さん、またこっちに向かってます!さっきまで私たちがいた場所でウロウロしていたのに、今度はちゃんとこっちに来てます」

「やっぱり向こうにも場所が分かるスキルがあるんだな、だがセリアのように常時発動できるものじゃないんだな」


当然だがセリアのスキルも万能ではない、その証拠にセリアの顔色はだんだんと悪くなっている

幼い時からずっと使って来たのもあり少々使い続けても影響がないがずっと使いながらしかも走り回るのは本人に相当な疲労がある


「だけど、俺のスキルがある」


俺のスキルは状況さえ把握できれば元の状態に戻せる、それは今までの経験で怪我だけでなく疲労なんかにも効果があることが分かってる

これで俺がばてるまでは何とか持つ


「でも、賢聖さん、このままじゃ」

「ああ、じり貧だ」


よくない、それは分かってる。だけど現状打てる手もない、万策尽きたか


「け、賢聖さん、まずいかもしれません」


セリアが尋常じゃなく焦っている、今までの感じとは全く違う


「います」

「なにがいるんだ?」

「魔物です」


魔物ってあの豚みたいなやつか、あれなら何も問題ないはずだ


「大きさが全然違います、以前賢聖さんにいいましたよね冒険者の死亡率は年間で20%ぐらいですって。そのあとにあった魔物が弱い魔物だったからよかったんですが本来魔物というのは私たちのようなスキルを持っている人間では太刀打ちできないのです。そんな魔物がいます」

「つまるところ行くの地獄、引くも地獄というわけか」


どうする、魔物というのが正直俺には予想もできないがセリアの状態をみれば教会の連中よりも恐ろしいということは分かる、かと言って後ろに引けば必発で殺される

向こうも状況を把握するスキルがあるはずだから魔物のことを察知して引いてくれるかもしれないがそもそも追ってきている連中があのアナスタシアの息がかかってる連中に間違いないはずだから危険を承知で向かってくる可能性も十分ある

非戦闘系スキルで戦闘するのはどんなゲーマーでも無理ゲーとして投げるに違いない


「セリア、君だけは」

「私だけ守って自分は死ぬなんて言いませんよね」

「・・・ああ、もちろんだ一緒に生きよう」

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