第22話 逃走劇再び①
「なんだ、お前は!なぜ効かない!?」
アナスタシアは混乱していた、いや厳密には予感していた教会から帰る足取りをみてあまりに普通の足取りだったからもしかしてと思った。教会内で未確認のスキルが出ること自体は珍しいことではない、文化や生活が変わればそれに沿ったスキルの発現があるから、だからその程度の認識だった
「【聖人】無力化するスキルなのか」
【聖人】のスキルは万能ではない、基本は薄く教会または私への崇敬させる効果があるだけだ、だがある程度集中して発動すれば一時的な洗脳状態にできる、そして洗脳状態になれば時間がたっても価値観のゆがみは継続する、そんな能力だった
だが、連れの女もそんな素振りがないし、当の男に関しては全く聞いていないと見える
「ここで芽を摘んでおかないといけませんね、ジャッカル控えていますか?」
『ハッ』
「先ほどの二人を生け捕りにしなさい」
『抵抗する場合は』
「やむを得ません、殺しなさい」
『畏まりました。』
ジャッカルは私が保有する特殊部隊、まあありていに言えば戦闘集団というか実行部隊ですね
これで杞憂はなくなりました、戻ってワインでも飲みながら報告を待ちましょうか
一方、賢聖たちは夜の暗闇もあり森の中でまた教会側に発見されていなかった。
ここでも活躍したのは
「さすがセリアのスキルだな」
「私のスキル本来はこんな使い方しないんですけど、もうすっかり逃げるときに使うものになってるじゃないですか」
セリアのスキル【植物採取】は植物の場所やそれまでの道のりなんかが分かるもので、それを応用して逃げ道を確保している
「とりあえずこれで大丈夫だな」
「そうですね、やっぱり【聖人】でしたね」
「ああ、予想以上に危ない状況だった。賭けに勝たなかったら今頃どうなっていたかわからないしな、総じて言えるのは教会の連中でまともな人間はいないってことだな」
風が吹く、木々が揺れ、そしてそのあとには
「いたぞ!こっちだ!」
まさか、バレた!?
セリアを見るが
「まっすぐこっちに来てます!」
「なんでわかるんだよ!」
「行きましょう!」
今回は前回みたいな楽にはいかないみたいだ
セリアのスキルは優秀だ、植物の状況も分かるから応用して踏まれたりすると植物の状況から人がいるかどうかわかる、だから前回は悠々逃げれた
だけど、それが追手にも同じようなスキルがあったら?答えは明白だ
「一気に状況が悪くなってきてるな」
「賢聖さんどうしましょう」
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