第20話 とんでもスキル
あの後我に返ったセリアはそっと賢聖から離れ何事もなかったかのように振舞った。賢聖は今だ結論が出ずにセリアの体を心配していたのと同時にあのアナスタシアという女性の異常性について考えていた。
「セリア本当に何もないのか?」
「賢聖さん心配してくれるのはうれしいですけど、私はピンピンしてますよ」
「そうか、セリアここに来る前の記憶あるか?」
「そうですね、混乱してましたけどあの女が来る前までの記憶ははっきりしているんです、テスラさんとバニアさんが言い争ってる姿とか」
「もしかして精神に干渉するスキルってのがあるのかな」
「私もスキルについてすべて知ってるわけではないですけど、おばあちゃんから聞いたのは教会には【聖人】というスキルがあるのは聞いたことあります。なんでも、その人が話す言葉が正しく聞こえ心酔するとかなんとか」
それって、もう洗脳とかに近いな
俺が効きが悪いのは自覚があったからかスキルのおかげなのか、どのみちセリアはスキルの効果を受けてしまったという事実はあるわけだ
「その【聖人】のスキルを持ってる人は教会内でどんな位置なんだ?」
「実質トップみたいなものらしいですよ、【聖人】のスキルを持っているのが12人いるらしいです
正直関わらないほうがいいと思います」
精神に干渉するやつと関わるとかリスクでしかないからな、となると
「セリア、この街出ようか」
「はい、いつでもできるように準備はしていますよ」
早いな、と思ったけどバニアに絡まれた時点から金貨取りに行くついでに荷物の整理もしていたとのことだった
それにしても教会のトップと来たか、とことんついてねーな
不意に思った。
「仮に俺がアナスタシアの立場だったとして俺のスキルをみて見逃すだろうか」
教会から返したのは無実だったからでなく、教会のルールを守ることでほかの人間に順守させるためであって、本当の狙いは返した後秘密裏に確保するんじゃなかろうか
「杞憂だといいんだけど」
「賢聖さんどうし」「加賀賢聖という人はいるか!」
宿の店主に大きな声で話しかけている声が聞こえた
「セリア逃げるぞ!」
周りは囲まれてると考えたほうがいいか、幸いここは二回で隣の屋根につたっていける
「賢聖さん、どうしたんですか!?」
「説明は後だ!とにかく行くぞ」
階段を上がってくる音が聞こえる
「窓から出るんですか!?」
「ああ、セリア行けるか?」
といってみたものの、実は経験がないのは俺の方でセリアは慣れた手つきだった
そりゃそうだよな、日本にいて屋根に上がることなんて基本的ないもんな、なんともカッコつかないがセリアに手を引かれながら部屋から出た
「ふふ」
セリアはこの危機的状況でもご機嫌だった。
その理由を聞くと昔はこんな風に屋根に上ったりしていたし、植物採取しているときも木に登ったりとしていたのだと、旅に出てはできなかったのと普段一人でやっていたのが一緒にできる人がいてうれしいんだと
しっかりしていてつい忘れるけど、セリアはまだ子供なんだ、生まれてから早くに両親を亡くしていてこんな風に過ごすことがなかったと思うと聞いてるだけでも切なくなる
が、しかしそんな感傷に浸ってばかり入れないのが今の危機的状況なわけで
「賢聖さん、あらかじめ用意していた保険が役に立ちますね」
俺たちは街の人を治療しながらいろんな話を聞いていた。街の構造や教会のこと、それと街の抜け道なんかをもしものために準備していた。
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