第17話 え。この人怖い人?

「これで不明な点はなくなりましたかな?」

「最後に一つ」

「まだ何か?」

「あなたのお名前は?」


なんかこのやり取り刑事ドラマっぽい!ちょっと調子に乗ってます、はい、落ち着きますのでどうか許して、ジト目で見ないでセリアさん!


「失礼しました、私はテスラといいます。どうぞお見知りおきを」

「テスラさん、【鑑定】をお願いします。」


そういって、大金貨5枚をテスラさんの前に出す。


「この金貨はどうしたんですか?」

「さっき連れてきた人が大金貨5枚だといわれたんですが」

「そう、でしたか。少しお待ちください」


と、連れてきた男の方に向かい


「おい、ゴラァ、バニア!!てめぇまた阿漕なことやってんじゃねーだろーな!」


ぶち切れてた。それはもう烈火のごとく、地球でいうパワハラなんて生易しいぐらいに。

お、バニアと呼ばれた男が言い訳しようとしてまた怒られてる、ざまーみろ

なんだかよくわからんが教会の中でもいろいろあるんだな、この人はまだましな人なんだろうかといって完全には信じないがでも、ぼったくる気はないみたいだ


「け、賢聖さん、あれ止めなくていいんですか」


手は出していないもののおそらく二十前後の男が半泣きまでなってる姿を見るのは流石に忍びないな

でも、自業自得ともいえる

これ、もしかして【鑑定】受けなくてもいいんじゃないか?!


「テスラさん、もうその辺で」

「フゥフゥ―—―これは大変お見苦しいところを」

「その方も反省しているようですしその辺で」

「そう、ですか。あなたがそういわれるのであれば、ほれ、バニア!謝罪しなさい!」


バニアと呼ばれた人は完全に燃え尽きていた、返事がないとテスラさんが大きく息を吸ってまた怒涛の罵詈雑言を繰り出そうとして


「ハッ!すみませんでした!!!」


なんとか間一髪を経たという感じか、なんで俺が相手の気持ちに共感しているんだろうか

そういえば怒っている人を見るだけでその周囲の人の生産性が落ちるとかって論文で読んだ気がするけど、確かに怒っている人がいると俺もそうだが周囲の人間はこれじゃベストパフォーマンス出せんわな


「どうか、これで許してやってくれませんか」

「え、ええ、構いませんよ」


テスラさん超怖い、この人も片足突っ込んでるよ。


「では、【鑑定】しましょうか」

「それなんですがね、そちらにおられるバニアさん?に無理に連れてこられただけで本来は乗り気ではないんですよ、今回はなかったことにさせてもらっても」

「何をおっしゃいますか、金貨のことが気になるのなら謝罪料として今回はいただきませんからご安心してください」

「い、いえ金貨が問題ではなく」

「それとも何か【鑑定】されるとまずいことでも?」


テスラさんがにっこりこっちを笑ってみている。人は怒気をはらまない笑顔が状況次第で凶器になるな、セリア然りだけど

多分、テスラさんはバニアさんからここに連れてきた経緯とか聞いてるんだろうな、だから離さないんだろう、ここで【鑑定】受けないことをごり押し手も余計疑われるだけか

はぁ、ここまで連れてこられたこと自体が詰み直前といったことろか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る