第11話 ガバガバな作戦!

あれから数日歩いた。セリアさんは味を占めたのか毎日俺の【リハビリ】を受けている。

その甲斐あってスキルの使い方はだいぶ覚えた、例えるなら突然人間に羽が生えてその使い方をマスターしたときのような、自分の体にやっとなったというかそういう感じだ。

とにかく体にしっくり来たといいうことだ、ちなみに俺は自分には【リハビリ】できないのでいい感じに疲労は溜まっていってる、ただ体が若いので無茶はできそうだ

教会の追手は全くないため、思い切って街道を歩いてみたがすれ違う行商人らしき人にあっても何も言われなかった、もしかするとあいつら永遠と街の中探してるのかもしれないな

あのいけ好かない教会のやつの顔を思い出して間抜けにも俺たちが街を出たの知らずに探してるのなら、最高に気分がいいな


「加賀さん、ニヤニヤしてどうしたんですか、おなかでも壊しました?」

「どうして、おなか壊してニヤニヤしてると思うんだよ」


セリアさん、普通に口が悪い


「そんなことより、街が見えましたけどどうします?」

「どうするって、危険だろ?」

「そうなんですけど・・・」

「食料とか消耗品のことか?」

「それもあります」


それも、ということはほかにあるのか。

セリアさんは若い女の子だし俺にはわからないいろいろなことがあるか、分かってる、俺は医療職だったんだ、あまり詳しくはないというか全く知らんがきっと女の子ならではの生理学的なことがあるんだろ、よく知らんけど

ここは分かった風を装って話に乗るのが大人の紳士というものだろう


「わかった、じゃあ、中に入ろうか」

「ほんとですか!これで久しぶりにベットで寝れます」


意外に普通の理由だった。


「そもそも中に入れるのか?」

「んー、分かりませんね」

「教会に目をつけられてるのに可能性があるのか?」

「まあ、似顔絵なんて出回っても正直あてになりませんからね」


ここで文明に救われたな、確かにどこまで似顔絵の精度が高いかわからないけどもし仮に高いのであれば人とすれ違った時点で気が付かれてもいいもんな

ものは試しで行ってみるか、こういう時は堂々としている方がバレないだろうしな


「そう言えば街に入るのに身分証持ってないんですけど」

「私もないです」

「え、セリアさん持ってたじゃないですか」

「いや、ありますけど多分流石に使えないと思いますよ」

「あー。仮に指名手配されてるなら顔はともかく名前はバレてるかもしれないもんな」

「まあ、そんな感じです。なので、迷い人ということにしましょう、とりあえずそれで街に入り込んで身分証作ってもらいましょう」

「ガバガバな作戦だな」

「代案があるなら聞きますよ?」

「ないので、それで行こう」


迷い人って言うだけで街に入れるならそれでいいか・・・あの同情するような目で見られるだけなら安いもんだ

割と精神的には来るけど・・・


「ようこそ、ケレイトへ、歓迎するよ」


あっさり街に入ることを許された。

なんと、身分証なんかは必要ないらしい、あのルスカンベルクや一部の街のみのローカルルールだった

こっちとしてはありがたいけどなんというか肩透かしを食らった感じだ

でもよく考えると、同じ国内を移動するのに身分証がいるってのもどうかと思うもんな


「さて、セリアさん街になんなく入れたけどまずは宿かな?」

「そうですね、衛兵の人に教えてもらった宿に泊まりましょう」

「なんて言う宿なんだ?」

「確か、止まり木の宿というらしいですよ。入口から真っ直ぐ行けば着くらしいのでこのまま進みましょうか」

「そう言えばセリアさん、お金ってあるんですか?」

「・・・すぐに尽きることはないと思います。」


この国の貨幣は金貨で統一されていているらしい、まあお金の管理はセリアに一任している、というのも俺の金じゃないのに俺が管理するなんて盗み働いているように疑われても面白くないからな

でも、今の反応を見ると長くはもたなさそうだな


「まずは金策か」

「そう、ですね」

「さすがにこれ以上無一文で頼り切ってすねかじりになるのはごめんだからどうにかしてお金稼がないとな」

「当てがあるんですか?」

「普通にやればそこそこお金になるはずだ」


そうして、俺は簡単な部屋を借りることにした。お金?もちろんセリアさんに借りました。

もちろん、ちゃんと説明しましたとも

俺がやろうとしていることは簡単で、前世でいう整骨院的な感じの店だ。もっと言えばマッサージ屋みたいなもんだな。個人的にはあまりいい感情を持っていないがお金儲けとして正直理にかなってると言える。なぜか、それは根本的な治療をしないことにあるからだ、例えば肩が凝って痛いとしよう、どこでもいいが店に入り肩こりだからそのこっている筋肉をほぐすとする、そうすれば当然ほぐした直後は痛みが引いて楽になる。でも、みんなも経験ないだろうか、そのあと1ヵ月もすればまた肩が凝って痛くなる経験が。

なぜだと思う?それは肩が凝っている原因を改善しなければ繰り返すからだ、つまり起きている現象に対して改善するのでは一時しのぎにしかならない、根本を改善しない限りまた痛くなるんだ、でも経営目線で見るとこれは実においしい。

なぜかって、店に来た人は一時的に良くなって満足する、だけどまた痛くなって店に行く、治療する、一時的に改善する、また痛くなる

ここまで言えばわかるだろう、定期的に客が来るんだ、それもお互いに満足した形でこれほどいいビジネスはないだろう。もちろん、すべての施設がそうだとは言わない、だけど事実そういう場所もあるってことだ。親切なところはちゃんと原因を追究して改善をしてくれるんだけどな、まあ、それはいいや

まあ、今回はそれに似たものをやろうと思ってる。【リハビリ】のスキルで疲労の改善を目指す、ここでネックなのは疲労を治すこと限定だ、骨折みたいなのは相手にしないようにする、なぜか、教会に睨まれないようにするからだ

教会の患者層はきっと大きな病気がメインだ、普段の疲れをとるなんていうのにバカ高いお金を払うやつはいないだろうとなると普段疲れを治すのは患者層は偏ってないはずだ!


うまくいくかわからんがやってみるぜ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る