第10話 イッツ ア ファンタジー

「そういえばこの国を出るってあてはあるの?」

「ないですよ?」

「ですよねー」

「何かありますか?」

「全く地理は分からないけど、たぶん、俺のスキルと相性がいいのは戦争を頻繁にしてる国だな」


リハビリは元来、戦争と共に生まれた分野だといっても過言ではない。戦争で体が傷つきそれを治療する、例えば義足や義手であったり、もちろん骨折なんかもそうだ。

脳の病気でリハビリをするようになったのはどちらかと言えば最近の出来事になる、まあ戦争で人が直接的にすることが減ったからともいえるけど

つまり、戦争と一緒に発展したといっても過言ではないリハビリは、戦争がある国に行けば受け入れられるのではないかと思うわけだ


ただまあ、それは俺のスキルの話で心情的には戦争なんかと関わりたくないのは間違いないだけどね


「戦争・・・ですか。加賀さん戦えるんですか?」

「いいえ?全く、戦闘の心得なんで全くこれっぽっちも」

「・・・早まらないでくださいね?大丈夫です、私がついてますから」

「うん、セリアさんこそ早まらないでね」


景気よく誤解してるみたいなのでスキルの成り立ちを簡単に話した。


「そうだったんですね、てっきり、自棄になったのかと思いました。ああ、それと私加賀さんを支えるとは言いましたけど心中は嫌ですからね?」

「俺も嫌だけど!?」

「そうですか、それはよかった。

でも戦争している国ですか、それならおあつらえ向きな国がありますよ」

「自分で提案しててなんだけど、少し怖いな」

「その国は軍事国家ルクゼンベという国があります、その国は軍事国家というぐらいですし戦争大好き国家なことでしょう、これなら加賀さんのお眼鏡にもかなうでしょう」

「この字ずらの流れだと俺がバトルジャンキーみたいでいやなんだけれども」


もしかしたらと思ってたけどやっぱりあるのね、戦争大好き国家。まあ、宗教国家みたいなのがあるぐらいだし、あってもおかしくないか

きっと行けば、日本で培った価値観なんて吹っ飛ぶんだろうな、まあ、すでにここまででも結構ぶっ飛んでけど、平和ボケ平和ボケってよく言われる日本人が耐えれるかだな


「じゃあ、目標も決まったことだし行きましょうか」

「ちなみにそこまで行くのにずっと森を通っていくの?」

「まさか、そんなことしたら死にますよ」

「まさか、クマとか出る?」

「熊どころか魔物が出ますよ?」


イッツア、ファンタジー!

スキルもあれば魔物とな、となると戦闘スキルみたいなのもあるんだろうな、そんな殺生に特化したスキル日常生活じゃ使えないだろうからきっと死地に送られるんだろう

ん?ってことは魔物がいるってことは


「じゃあ、冒険者的なのもいるの?」

「ええ、もちろんいますけど加賀さんなりたいんですか?あまりお勧めしませんよ?」

「というと」

「一年間の生存率80%程度らしいですよ」


つまり、十人に二人は死ぬらしい、それも毎年

そんなんやってられっかよ、普通に仕事で命の危険あるとかまともな仕事じゃないのは間違いないな


俺たちは森の中を進んでいた、魔物が出るといっても街の近くの森では基本的にいないらしい、

もしいてもセリアさんの【植物採取】のスキルで感知できるらしい、本当に万能スキルだな

食糧事情も植物中心だけど取れている、まあ栄養を考えると少し偏ってはいるけどしょうがない

肉を食べたいけど魔物なんて退治できないから諦めた、魔物=動物となってる、生態系が前世と違っていていろんな生き物がいるってことらしい、当然攻撃的な生き物が多いから人は恐れるらしいけど接敵しないこことを祈りながら進んでいる


「加賀さん、何かいます」

「な、何かって」

「魔物ですね、スキルに引っかかっているだけなのでそう近くはないですけどこのまま進めば確実に遭遇します」

「よし、避けていきましょう」

「即断ですか、てっきり冒険者のこと聞いてたんで戦いに行こうとするのかと」

「私、基本方針命を大事にですから。魔物にあってもいいことないでしょ」

「そうでもないですよ?肉が手に入ります!」


肉かー、食べたいけど命のリスクを勘定に入れると割に合わんというのが一番だな


「いえ、やめておこう」

「そう、ですか。じゃあ、私狩ってきますので加賀さんはここで待っててくださいね」

「は?」


狩ってくる?魔物って危険なんでしょ?なんでこの子そんなにらんらんとして狩りに行くとか言えるの?

というか、女の子一人で行かすのは流石に・・・


「わかりました、俺も行きますよ!」

「そう来なくっちゃ、今日のご飯は豪華になりますよ!」


出会ったのは豚のような生き物、動きも遅くセリアさんがさっくりナイフで命を奪った

どうも、魔物でも凶暴なものもいるが比較的安全なものもいるということらしい、この豚は危険が少ない割に食べれるから人間から好まれているらしい、養殖もしているところがあるみたいだ

ここら辺の森は危険な魔物が少ないからこういう生き物が生活しやすいらしい、繫殖力が異常に強いのが特徴らしい


ちなみにセリアさんは手慣れてて、血抜きやら解体やらすごく手早くやっていた

植物採取の時に見つけると臨時収入になるから解体まで練習したんだとさ。いやはやこの世界の人はたくましい、ぬくぬくと生きていた俺にはカルチャーショックを受けたよ

まあ、人間の解剖とかに立ち会ったこともあるから意外と解体するのとかでは気分は悪くならなかったけど、でもこういうことがこの世界で必要なら学んでいかないとな


「セリアさん、俺にも解体教えてください」

「!いいですよ、でも意外です。加賀さん手が奇麗だったのでこんなことする人じゃないと思ってたのに」

「生きていくために必要なら当然学びますよ、それに学ぶことは好きですから」


見るのは体性があるから耐えれた、自分でナイフ入れてやるのは正直精神的に来るものがあったな


はぁ、でも肉うめー

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