第7話 急展開!
セリアさんと俺はセファさんの勧めで買い出しに行くことになった。旅路の準備をするために買い物に行くわけだが当然、俺は一文無しだ。
ここまで何もないとむしろすがすがしい気持ちになるな。せめて前世の財産があればいろいろ変わってくるのに、ほんとにどうしてこうなった。
「加賀さん、一応顔は隠してくださいね」
「ああ、そうですね。セリアさん、何から何までありがとうございます。」
「お金のことですか?いつか返してくれればいいですよ」
「お金もそうだけどいろいろ」
「私が好きでしていることですから。それにおばあちゃんの足直してくれましたから」
「そこまで言ってくれるな遠慮はしませんね、お世話になります。」
そうして、何事もなく必要なものを買いそろえれた。ここまで緊張の連続だったけど、異世界の買い物ってのは楽しいもんで、見たことないもの知らないものなんか見れるのは旅の醍醐味だよな
この街いることも旅先みたいなものだし新鮮だ
セリアさんの家に戻ると
「おばあちゃん帰って来たよ!」
おかしい、返事がない。家を探しているとそこには
「キャーーー!!」
「これは・・・」
セファさんが倒れていた。
「息は・・・していない。脈は・・・・ない。」
「加賀さん!スキル!スキルで何とかしてください!」
「スキル、そうだスキル!」
まずは評価だ。
多分、間違いなく、これは死んでいる。
でも、これで評価できた!
スキルが発動できるはず!
「あれ、手が光らない・・・」
途中から薄々気が付いていた。スキルは完璧に評価、状況把握してなくても発動していたがそれがない。
つまり、何を意味しているかというと死んだ人間をもとには戻せない、つまり生き返らせることはできないということだ。
スキルは完璧ではなかった。
「そう、です、か。」
セリアさんはすでに落ち着きを払っていた。
「加賀さん、早くここから逃げましょう」
「え、」
「おばあちゃんが狙われた理由がわかりませんが、事実として・・・・死んでます。ここは危険です。」
「もしかしなくてもこの状況、俺のせいか。」
「いいえ、それは教会の動きが速すぎます。私たちは教会から狙われる理由があるのです。」
「スキルがらみ?」
「そうです、それだけではありませんが。とにかくさっき買った荷物もっていきましょう!」
セリアさんは泣かなかった。それどころか俺より落ち着いて次の行動を的確に考えていた。
これは今はほかに考えることがあるから一時的に現実逃避的な状態になっているはずだ。どこかで必ず感情を発散しておかないと精神的に影響が出そうだな
死と別れ、近しい人であればあるるほど心理的に負荷が大きい。心理カウンセラーみたいなことはできないけど話は聞ける。俺にできることをしないと
セリアさんの両親は教会に殺されたらしい。お父さんが【ヒール】のスキルを持っていたが、教会に属しているとお金儲けに利用されて本当に困っている人に【ヒール】を提供できないからと教会の目を盗んで治療していたと。
セリアさんはそのころから両親とは離れてセファさんと暮らしていたから教会から見逃されて両親だけ殺されたんだと。そのことで教会ともめてセファさんは教会をやめたらしい。
だからセリアさんもセファさんも教会から狙われそうな俺を保護しようとしてくれたのか。
セリアさんからは「だからあまり恩に感じなくていい」と自分がそうしたいからだと俺に言ってくれた。
そんな話を聞きながら俺たちは街の外を目指して行動していた。
「そこの二人待ちたまえ」
いかにも教会関係者らしい人がそこに立っていた。
「もしかして」
「ええ、教会の人よ」
ビンゴでした。にしても行動が早すぎる。どうしてだ
「お前たち、どちらかが【ヒール】を使ったな?いや、そこの男か。女は【ヒール】も【託宣】も持ってなかったな」
「どうしてそれを、あなたおばあちゃんの知り合い?」
「そりゃ、監視役だからな!知ってて同然だろ」
「監視役?なんだよそれ」
セファさんは元教会の人、もめてやめたとして監視が作ってことは【託宣】のスキルは教会にとってかなり大切なものということか
「あのばあさんは【託宣】のスキルをもってたんだが教会をやめちまった、本来はやめたときに殺しちまえば問題なかったんだがお偉い方はお優しいから見逃したんだぜ。だがよ、【託宣】のスキルを持ちながら教会に属してないのは外聞がわりぃわけよ。スキル使われねーか、教会に反抗心はないか、まあそこら辺を監視してたわけだ。まあ、何もなければ残された余生ぐらいは好きに生きさせてやろうって話だったんだがあのババア、足が悪いはずなのにぴんぴん歩いてるわけだ
教会にもいってねーのに。つまりだ、どっかのアホがババアに【ヒール】かけて直したばかりにババアは死んだってわけだぜ」
要するに、俺が安易な行動をしたばかりにセファさんは死んだってことだ。
もしかしたら、セリアさんもそのことに気が付いて、俺がそのことに気が付く前にあの場所を離れたのかもしれない。
なんだよそれ、俺ができることをしようとか何思いあがってたんだよ・・・・全部俺のせいじゃねーか
「加賀さんのせいじゃないよ」
「え」
「おばあちゃんは【託宣】のスキルを持ってる。それで加賀さんを見たんだからおばあちゃんの行動が一番最適だったはず。おばあちゃんはいつも、誰にとって最善を選ぶかって言ってた。きっとこの状態が私や加賀さんにとって最善な結果につながるんだと思う」
「それでも」
「さあ、逃げよう!」
そういってセリアさんは俺の手を取って走り出した。
「おい!待てよ!
ッチ、あの男は絶対に逃がすな!」
そういって男の部下らしい人間が追いかけてくる。
こうして命がけの追いかけっこが始まる
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