第6話 もしかしてぶっ壊れスキルか?!
俺は【リハビリ】のスキルについて話をした。俺から見れば【ヒール】と【リハビリ】なんてものは全然違うように見えるがどうもこの世界だと一緒の認識になってるみたいだ。まあ、それ自体は問題じゃないが、この世界ではスキルは10歳で発現するらしい。そのスキルを確定するために教会に行くことが義務付けられているらしい。ちなみにお金は取られない、教会からしたらここで【ヒール】のスキルを見つけたいからな
問題は【リハビリ】という回復スキルを持っていること、そして教会にスキルの申告をしていないことが問題になっている。
「加賀よ、ワシは足が悪いんじゃがこれは治るのか?」
「少し見てみましょうか」
治るのか?といわれたら根拠もなく答えるなんてできない。だから、まずは評価だ。本人からいつから、どんな症状があるかを聞きながら痛みや動作、筋力、可動域などの評価を一通り行うとまた手が光った。
「また、手が光った。」
「これがスキルじゃな」
評価すれば治るってことか。それ、リハビリって言えるのか?いや、本来は元のあるべき状態に戻すってのが語源だった気がするからそんなもんか。医療としてとらえるから違和感があるだけか。
評価ってのは今の状態を把握する行為で、いろんな手段があるけど、たぶん発動条件的に大枠が分かればいいみたいだな。聞いてた【ヒール】より使い勝手が悪そうだけど効果はこっちが有効か
「加賀よ、おぬしのおかげで足が動きやすくなったぞ。」
「おばあちゃんよかったわね、スタスタ歩いてるなんていつぶり?」
「さあ、いつぶりじゃろうかな。人間は老いる、老いれば体にがたが来るものじゃろう。この力はそれすらあらがえるのじゃから恐ろしくもあるわ」
「まあ、そういう見方ものありますね。ただ、若返ったわけではありませんよ。あくまで病気の影響を受けないようになっただけで」
「そこら辺の違いはワシにはわからんが、大事になのは結果じゃよ」
確かに、おそらくセリアさんのおばあちゃん、セファさんだが変形性膝関節症だと思われた、この病気はまあ、ざっくり言えば膝関節が変形して軟骨がすり減って痛かったり動きにくくなったりするが、症状的にそれが近いかなと思ったら手が光った。
それで関節の変形が改善して筋肉も正常に働いているんだ、普通ありえない。
リハビリで関節を状態をもとに戻すなんて初期ならいざ知らず、痛みが出ている状態では基本難しいとされてる。
要するに何が言いたいかって治療としてのリハビリでできないこともできてしまってるってことだ。
多分、スキルの本質が違うんだろうな
まだまだ不明というか、スキルのことが分からん、これから少しでも知っておかないとな。きっとこれがこの世界で生きていく中で俺の生きるすべになるんだろうからな
「しかし、まずいの。スキルは絶対に教会に目を付けられるぞ」
「おばあちゃんどうしよう」
「それは誰にとって最善を選ぶかじゃよ。」
そうだ。セファさんのいうことは間違いなくそして本質的なことだ。なぜか、それはセリアさんは俺を庇う必要がない。情的なことを除けば助ける意味はない、むしろこうやって匿っているだけでデメリットがあるぐらいだ。
セファさんは暗にそのことをセリアさん、引いては俺に伝えようとしている。
「それは・・・」
「しかしじゃ、教会はワシ大っ嫌いじゃしそれに加賀には足を治してもらった。それなのにここで投げ出すのはあまりに非道と思うのじゃがどうじゃろうかな?」
「そ、そうだよ!おばあちゃん、助けてもらったなら恩を返さないとね!」
この人、最初からこの流れを作ろうとして足を治させたのか。セリアさんのやることの動機付けになるように、正当化するように。
誰にとって最善を選ぶ、ね。孫のやりたいことを応援するってのがセファさんの最良ではないけど最善なのね
だけどなー
「そうは言ってもあまりに危険すぎますよ、私のことですしここまでいろんなことを教えてくださいました。それだけで十分ですよ。セリアさんの気持ちはきっと最後まで面倒を見ようとする責任感からくるものです。一過性の気持ちに流されてはいけませんよ。」
「セリアよ、どうも加賀はお前の気持ちが迷惑みたいじゃよ」
「え・・・そう、なんですか?」
急にセファが余計なこと言うとセリアはどん底に落とされたような顔になってこっちを見てくる。
うろたえていると泣き出しそうな顔にどんどん変わっていく
その言い方はずるいだろ、と思ってセファさんの顔見るとニヤッとした表情を返してきた。
「いえ、決してそんなことは」
「じゃ、問題ないじゃろ」
「はぁ、まあそうですね」
パッと表情が変わった。
なんだか、セファさんの前のセリアさんは印象変わるというか急に年相応になるな。まあ、16歳らしいしそんなものなのだろうな
「じゃあ、セリアと加賀は買い出しに行っておいで。どうせこの街には長く入れないだろ、逃げる準備はしておいて損はないからの」
「うん、おばあちゃん行ってくるね」
ん?これって二人俺についてきてくれるんだろうか
ここまで来たら俺も図太く生きていこう。それによく考えれば命の危機的状況なんだし作戦は命を大事にってやつだな
純正日本人は人に頼り方を知らない人が多いと思う。うまい頼り方を知らないと社会では損をする、それは当然だ。人に頼れなければ自分で抱え込む量が多くなるし、頼り方が図々しいしければコミュニティから弾かれる。
ただ、こと理学療法士というか、リハビリ職は病院という組織に属してチームを組んでいても基本個人主義的なところが多くて、頼り方を知らなくても普通に生きていける。なんなら頼らずに自分の力で解決しようとする人もいるくらいだ。
だから、俺は正直自分一人で解決しようとする節があるが、ポリシーをもっているわけじゃないから押しに弱い。
我ながら軟弱な考え方だな。
これで、この世界生きていけるだろうか。
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