第55話 大統領の過ち
「行くぞ!」
亜子は部下に飛びかかり、キラは小春川に飛びかかった。
戦いながら「何で拳銃持ってないんだよ。あれば一発だろ」と小春川に話しかけた。
「それじゃ実力で勝ったとは言えないだろ。」
「へぇ〜一応皇帝だったプライドはあるんだな。」
「うるせえ。」
亜子は腕が使えなく苦戦していた。こんな奴、腕が普通だったらすぐに倒せるのに。体勢を崩した瞬間部下のうちの1人が覆いかぶさってきた。やられると思った瞬間に上にいた部下ともう1人床に倒れ込んだ。亜子は起き上がり周りを見渡した。キラと小春川はまだ戦っている。
「亜子早く!」
廊下の隅で東金が弓矢を持って立っていた。
「死んだの?」
「麻酔矢だから安心して。」
亜子はニコッと笑うと立ち上がり部屋の中へ入って行った。
キラと小春川はもうデータの事など忘れ戦い続けていた。
『こいつには負けたく無い!』お互いがそう思っていた。
亜子は部屋に入るとパソコンからデータを世界に向けて配信を始めた。大統領のスキャンダルだ。みんな興味のある事だけあって自分が仕向けなくてもあっという間に色々な人が広げてくれている。もう大丈夫だ。
油断している亜子の後ろに小春川の手下が近づいていた。手にナイフを持ち亜子の背中に向かって振り上げた。気づいた時には遅かった。やられると目をつぶった…あれ?いつまで経っても痛くない。そっと目を開けると…手下は下に倒れていた。その後ろにアゲハが竹刀を持って立っていた。
「アゲハ?」
ニコッと笑い「良かった間に合った。」
「アゲハは小春川の味方じゃないの?」
「あんな奴の味方なわけないじゃない。フリをしてただけ。情報は全部飛鳥に流してた。兄の仇を打ちにこの学園に来ただけだから。」
「え、そうなの?」
「そう。親が離婚して名字が違っていたから小春川も気がつかなかったみたいだけど、実技の試験であいつに強くやられて倒れて、いまだにまだ目を覚まさないんだ。大好きだったから悔しくて、どうしても仇を打ちたかった。キラとみんなのお陰でやっと仕返しできた。ありがとね亜子。」
世界では大パニックが起こっていた。自分の国の首脳陣が麻薬に侵されているなんて。
配信されたデータはcaptivate麻薬に侵されている国の名前と販売ルート。その売上金の行き先。そしてその全部の黒幕が曽根原大統領と言う事。誰を殺して誰にやらせたか。そして誰に罪を被せたか。全て亜子の両親が調べた事だった。現状は変わっているだろうが、過去におこした出来事は変えられない。そしてシューケット学園とDevils学園の存在。全て公表された。
副大統領はもう少しで殺されるところだったが配信が始まったのと同時に周囲を取り囲んでいた副大統領の部下達が一斉に飛び込んで制圧した。
そして大統領は捕まり世界裁判にかけられ、側近共々死刑宣告を受けた。
副大統領は大統領となり、オールレンド王国のストラス首相と共に全力でcaptivate麻薬に侵されている人々を助ける努力をしている。大パニックだった世界は落ち着きを取り戻し始めていた。
シューケット学園とDevils学園は閉鎖される事になり、生徒達はそれぞれ行き先を決めなければいけなくなっていた。シューケットに関してはもともと秀才の集まりだったので行き先に困らなかったが、亜子のように格闘を学んできた子達は普通の勉強はして来なかったのでレベル別に勉強が出来る学校が作られてそこに行く事になっていた。
Devilsの中には犯罪者もいた為、取り調べなどを受けた後で少年院に行くメンバー、亜子のように自分は何もしていないのに犯罪者扱いされていたメンバーは新しく出来た学校へ行く事になった。
どちらにしても心のケアから始まる。
少年院に行くメンバーはもう先に出発していた。Devilsの他のメンバーはシューケットに移されDevils学園は閉鎖された。何体か遺体も出てきたようで、今は身元の確認やらで大変らしい。詳しい事は教えてもらえなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます