第53話 たくらみ
「そろそろ監視の奴らが見回りに来るから寝ろ!」
3人は監視カメラと同じ格好で寝転んだ。
「東金!反対向き。」
「うわ、間違えた!ごめん。」
急いで寝返りをうった。
ドアにある小窓から三田が話しかけられている。監視の奴らはそのまま通り過ぎたみたいなので大丈夫だったのだろう。
『亜子頑張れ!』キラは心の中で叫んだ。
亜子はいつもプログラミング実践室として使っている部屋に行った。授業だったとは言っても普通にここからハッキングしたりしていたので機材は凄いものが揃っている。亜子はプログラムを起動して、テレビ局や、家庭のパソコンに入り込んだ。あとはソルが持って来てくれるデータを配信すればいい。ソルが結構時間がかかっている。
面倒な事に今ここに小春川が来て飛鳥達を見ている。もう編集処理は終わっていたが、動けずにいる。
「小春川さん、大丈夫ですよ。何も動きはありません。」
「そうか。何か企んでいると言う話を聞いたから、動くはずなんだけどな。」
「そうですか。」
早く戻らないだろうか…ソルは動けない。俺たちが亜子に早く渡さないと。11時ぐらいまでに配信をしないと副大統領が危ないと聞いていた。あと15分で11時早くいなくなってくれ。
午前10時半、大統領に呼び出され、副大統領の伊藤継晶は大統領の執務室へ来ていた。元々警備は多いのだが今日はやけにいっぱいいる気がする…計画がバレたのだろうか?この話はキラと直接連絡をとり進めて来た事なので側近でさえ知らない。多分大統領は私が何か自分に不利になるものを握っているのではないかと警戒しているのだろう。
しばらくすると大統領の曽根原が秘書と共に入って来た。伊藤は立ち上がりお辞儀をした。
「お久しぶりでございます。」
「ああ、最近お互い忙しくて会えていなかったな。」
そう言うと秘書に出て行くように命令し、2人きりになった。
「今日はどんなご用事で?」
「私の事について、君の知っている事を全て話して欲しい。」
「知っている事と言いますと?」
「データについてだ。」
「データ?」
「持っているんだろう。私を陥れるためのデータを。」
「そんなものは持っていませんよ。何か誤解をされていませんか?」
「今話して、こちらに付けば事は大きくならずに君はとてつも無く大きな利益を受け取る事になるだろう。」
いまさらなにを………。
「残念ですが、今までの生活で不便はありません。利益を増やす必要もありません。」
「世界が手に入るまであと一歩のところに来ている。今、何かがあると苦労してやって来たことが水の泡になるんだ。」
「水の泡?世界中の人を麻薬で操って世界を手に入れる事に何の意味が?」
「やはり知っているんだな。主要国のトップはcaptivateと言う麻薬の虜になっている。時間を掛けて薬漬けにしたんだ。俺は今、核を自在に操れるんだ。首を縦に振るしかないぞ。そうしなければここを出られないからな。」
その話はだいぶ前から知っていた。主要国の一つオールレンド王国のストラス首相は留学していた時、同じ大学で一緒に勉強した古くからの親友で連絡を普段から取り合っていた。
最近は時々記憶が無くなったり、脱力感で動けなくなったりとおかしくなると聞き、側近や周りの何かおかしなものをチェックした方がいいと伝えた。そして毎日飲んでいる飲み物に麻薬が混入されている事を突き止めた。実行していたのが10年来の秘書マルビスだったのでかなりのショックだったが、家族を盾に脅されていたことが分かり、許す代わりに相手の動きと動向を逐一知らせるように命じた。そしてそのまま騙されているフリをしていた。
オールレンドは世界の中でも1、2を争う核保有国であり、もし操られていたら、地球が滅びるかもしれないほど影響力があった。助かったのは副大統領と親友であった事と忠誠心の強い側近が多くいたためだった。
ストラス首相が操られていないと言う事実を大統領は知らない。そしてオールレンドと日本の警察が取り囲んでいる事も。ただ証拠の映像や資料が世界に流れなければ私は多分このまま殺されて証拠も抹消されるだろう。
それはDevilsにいる子供達の戦いでもあった。
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