第50話 飛鳥ふたたび
「ありがとう。助かったよ。亜子は大丈夫か。」
「うん。大丈夫。」
「なんで亜子が狙われているんだ?何かあったのか?あいつらはなんて言って来たんだ?」
『USBメモリをわたせっていわれた』亜子は言葉ではなく手に文字を書いた。そっか盗聴されているのか。もちろん亜子は話していないだろう。ここで俺と一緒に居させて話をさせるつもりだったのか。
『アゲハといっしょにいたフードはだれだ?』
『こうてい』
は!皇帝だって小春川!あいつDevilsにいたのか!
アゲハは脅かされて一緒にいるのだろうか?ともかくもう少しで飛鳥が戻って来て助けに来るだろう。
「亜子もうしばらくの我慢だ。」
「うん。」
地下牢が映るモニターの前にはアゲハと小春川がいた。Devilsのモニター監視の本来の生徒達は外に出されていた。
「さすがにUSBの場所は言うわけないか。」
「キラと一緒にいれば口が滑るかと思ったけどバカじゃなかったのね。」
「もう少しで飛鳥が帰ってくるから面倒なことになるぞ。」
「それは大丈夫。手は打ってあるから。3人とも捕まえてからゆっくりはかせる。」
「お前良い度胸してるな。」
「でもキラだけは殺さない約束だからね。」
「わかてるさ」今はな。
さっきからキラも亜子も連絡がつかない。嫌な予感がする…何かあったに違いない。俺も無事でいられるだろうか。でも森田さんの為にもやらなかきゃいけない。シューケット学園の門をくぐると目の前に東金と三田が立っていた。なんだろう迎えに来たのか?
「おかえり飛鳥。」
「ああ、ただいま。」
「飛鳥悪いけど、一緒に来て欲しい。手荒な真似はしたくない。言う事を聞いてくれ。お前が来ないとキラと亜子ちゃんの命の保証が出来ない。」
「ごめんね飛鳥。」東金が泣きそうな顔をしている。
ため息をついた「いいよ。わかった。」
2人に腕を掴まれ歩き出した。とりあえずこれでキラと亜子には会えるだろう。
「なあ、トイレに行っていいか?」
「いいよ。でも逃げようなんて思わない事だな。」
Devilsのモニタールームからその様子を見ていたアゲハは小春川に自慢をしていた。
「ほら、みんな少しいい顔をしてあげれば言うこと聞くのよ。三田と東金はキスしてあげたらそのままいいなり。男なんて簡単よね。」
「お前そんな事して仲間に引き入れたのか。最低だな。」
「最低なあんたに言われたくない。とりあえずうまく行ったからいいでしょ。相手が私の事好きなんだからいいでしょ。」
「でも好きな男には振り向いてもらえないんだな。」
「うるさい!」アゲハは持っていたペンを壁に叩きつけた。
飛鳥はトイレに入ると、腕を掴まれた時にこっそりと東金に渡されたメモを広げ読んだ。そこにはアゲハが小春川と組んでキラと亜子を閉じ込めていると書いてあり、三田と騙されているフリをしているから、一緒にキラと亜子を助け出そうと書いてある。盗聴されているとも書かれてあった…良かった味方だったんだ。
小春川あいつDevilsの中に居たなんて全然気がつかなかった。Devilsには先生を含め奴の味方がいっぱい居たはずだから、まあそうなってもおかしくはない。小春川の父親は大統領だったな…大統領が終われば小春川も終わるって事だな。
飛鳥はトイレから出ると東金と三田と共にDevilsへ向かった。
Devilsにつくと皇帝の部屋へ連れて行かれた。中へ入ると小春川とアゲハが座っていた。
「久しぶりだな飛鳥。元気だったみたいだな。」
「なんで小春川が皇帝の椅子に座っているんだ。そこはキラの席だぞ。」
「あいつはもう戻ってくる予定はないから、そうなると俺しかいないだろ。」
「戻ってこなかったとしても、皇帝になるのはお前じゃないよ。」
「何!」
顔を真っ赤にして怒っている。やっぱりこいつ皇帝の器じゃねえな。
「まあいいさ。言ってろよ。とりあえずお前にやってもらい事がある。亜子からUSBメモリの場所を聞き出せ。」
「嫌だと言ったら?」
「みんな仲良く痛めつけるだけさ。」
小春川、アゲハ、東金、三田そして飛鳥は地下牢へ行った。
扉が開くとキラと亜子は眩しさに目を細めた。今回は黒いフードをかぶっていない小春川とアゲハが現れた。
「さすがだな。ロープ外してやがる。油断出来ねえな。」
「お前いい加減にしろよ。さっさと出せ。」キラが睨みつける。
飛鳥にナイフを突き付けた状態で
「おい東金もう一度キラをしばれ。」
東金は中に入るとキラの腕を縛り出した。縛り終わり牢屋の外に出ると
「こんな事もう嫌だしたくない。俺はもうやらない。あとは勝手にやってくれ。」
アゲハが手を取り、
「東金君。アゲハがお願いしてもダメ?」と甘えた声で言ったが
「ごめん。この事は絶対に誰にも言わないから抜けさせて。」
「今更抜けんのかよ!」と言って三田が殴りかかった。
床に叩きつけられ口から血が流れた。
「何を言われても嫌だ。小春川くん、俺じゃなくてもいいでしょ。代わりの人はいくらでもいるでしょ。」
「わかったよ。抜けてもいい。その代わり事が済むまで学校から一歩も出るなよ。出たらお前の指、全部切って取ってやるからな。」
「ああそれでいいよ。三田ごめん。」
そう言うと東金は牢屋から出て行った。
「三田、亜子も縛るんだ。それから亜子ナイフも渡せ。」
亜子は仕方なくナイフを渡した。
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