第49話 アゲハ!

 キラは飛鳥から亜子が狙われていると連絡を受け、急いで亜子のもとへ向かっていた。いつも通り門番に挨拶をすると、

「最近は何かあるのですか?」と聞かれたので

「別にないですが何か気になる事でも?」

「ここの所、よくアゲハ様もいらしているので。」

「アゲハが?」

「はい、ここ最近毎日のようにいらっしゃっています。」

 なんとなく嫌な予感がする…思わず走り出した。


 亜子の部屋の前まで来ると中で大きな物音がした。ノブを回すと鍵はかかっていなかった。そのまま中へ飛び込んだ。部屋の中はメチャクチャで黒いフードを被った2人組が壁際で亜子を押さえつけている。俺でも負けそうなぐらい強い亜子が押さえつけられてしまうなんて。


「何してるんだ!」フードの2人を蹴り飛ばした。1人はベッドに方へ倒れたのでフードを無理やり取ると…

「アゲハ?なんで?」その瞬間思いっきり殴られ、何かを嗅がされ気を失った。

「キラ!」亜子が叫んでいる…そのあとはわからなくなった。


「キラに触るな。」亜子が戦闘態勢に入るとアゲハはキラの胸にナイフを向けた。

「いいの?キラがどうなっても?今なら簡単に殺せるけど?」


 亜子は仕方なく持っていたナイフをベッドに放り投げた。


「良い子ね。さあ行きましょう。」

 亜子とキラを縛り上げ、フードの男がキラを持ち上げ地下牢へ運んだ。キラと亜子は隣合わせの牢屋に入れられた。


 フードの男は亜子に向かって「お前、話せるようになったんだな。綺麗になったし、良い声じゃねえか。色々終わったら俺のそばに置いてやろうか?」

「死んでも嫌。」

「だろうな。」笑いながら鍵を閉め地下牢からアゲハと一緒に出て行った。


 「キラ!キラ!」叫んでみたが一向に目が覚める気配がない。あの2人はUSBメモリを私が持っている事を知っていた。モンナさんから渡された事を誰にも話をしていないのに…。どうやって知ったのか。ただ疑い方が確実に知っているという感じではなかった。でもこの後何をされるのだろうか?拷問とか?段々と寒くなって来た…ここは夜、とても冷える。


「亜子?」

「キラ目が覚めたの。」

「ああ、あいつら頭どんだけ強く殴ったんだよ。ズキズキするよ。ここはDevilsの地下牢か?」

「うん。」

「強く縛りやがって。」

「キラこっちに来られる?」

「ああ、まあどうにか。」

 ズルズルと縛られた体を引きずり亜子の近くへ行った。

「キラ私の髪を縛っているゴムを外せるかな?」

「出来るかもしれないけど、手が後ろで縛られてて良く見えないから、もしかしたら変に引っ張って痛いかもしれない。」

「大丈夫。」

 試行錯誤する事10分近く。やっと外せたが髪の毛がいっぱい抜けてしまった。

「ごめん。痛かっただろ。」

「全然大丈夫。」

 亜子が頭を振ると地面に何か落ちた…小さなナイフだった。

「すごいな亜子。なんかくノ一みたいだな。」

「クノイチって?」

「あ、そうか知らないか。昔、塀とか簡単に飛び越えてしまうような凄い女の人がいたんだけど、その人はナイフとか使うのもうまかったんだよ。」

「そうなんだ。かっこいいね。今度ちゃんと教えて。」

「そうだね。」

 亜子は自分の縄をナイフで切り、次にキラの縄を切った。

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