第47話 ふたたびシューケットへ

 キラたちはシューケットに帰る準備をしていた。


「森田さん帰ってこないな。お世話になったからお礼言いたかったけど。」


「今頃副大統領と話しているんだろうから遅くなるんだろ。仕方がないよ。もう戻らないと。学園で亜子を連れ出したことがバレたらヤバいし。」


「そうだな。」


「モンナさん俺たち帰ります。森田にお礼を言っておいて下さい。また何かあったら連絡ください。」


「わかりました。亜子様気をつけて。またいらして下さい」とにっこりと笑った。


「はい」亜子はモンナに抱きついた。


「急ごう。」


 3人は荷物を持って船に乗り込むと船はすぐに出発し、シューケットに向かった。


 森田は道路に倒れどうにか体の向きを変えて空を見ていた。これ以上動けそうにない。 木の隙間から月が見える、こんなにゆっくりと見たのは久しぶりだった。腹が熱いが触っても感覚がない。


「月って…明るいんだな。」

 どこか遠くで携帯が鳴っている…。取りに動こうとしたが無理だった。ここで終わりか…もう少しこの先どうなるか見たかった。俺がいなくなったら空は大丈夫だろうか?人の心配してる場合じゃないか…。眠いな。寝てもいいかな。最近忙しかったし…。森田は静かに目を閉じた。





 シューケットに戻ると、亜子に男の変装をさせ、Devilsに入り東金と入れ替わった。亜子の荷物を部屋に置いた。お菓子やジュースなどいっぱい買い込み過ぎてものすごく運ぶのが大変だった。まあこれでしばらくの間亜子は大満足だろう。すべての準備が終わると、Devilsの警備の者に亜子をもう自由にしていいと話した。


 キラ、飛鳥、東金がシューケットに戻りながら話をしている。


「東金お疲れ様。どうだった?オンラインゲームは?」


「メチャメチャ楽しかった。こんなに自由な時間は中々なかったよ。またいつでも代役やるよ。風呂だけが入れないのがキツイね。頭が痒い。」


「確かにシャワー設備ないからな。ちょっと東金臭い。」


「だろうね。早くシャワー入りたい。あ、そういえばシューケットから誰も訪ねてきていないよね?」


「ああ、誰も行くなって言っといたからな。」


「だよね…。」


「何?どうした?」


「あそこで2日目だと思うんだけど、外から話し声が聞こえたんだよ。この扉を開けろって誰かが言ってて、警備が皇帝の許可がないと開けられないって話してた。誰か入ってきたらマズイと思って緊張したよ。」


「誰だ?」


「なんか声に聞き覚えがあった気がするんだけど…思い出せないんだ。」


「明日、監視カメラ見てみよう。」


「俺、亜子に絶対に扉開けるなって伝えてくるよ。」


「キラが行くのか?」


「皇帝直々はまずいだろ。俺が言ってくるよ。」


「分かった。頼んだよ。飛鳥。」


「ああ。」


 飛鳥は急いで亜子の元へ向かった。走って行くと亜子の部屋の扉の前に誰か立っている。黒のフードをかぶったガタイの良い人物だ。


「誰だ?」問いかけるとその人物は走りだしたので、急いで追ったが巻かれてしまい見失ってしまった。亜子の部屋の前に戻るとノックをした。


「亜子いるか?飛鳥だ。」


 扉が開いた。話せるようになった事を隠すようにと言われている亜子は黙っている…さすがだ。中に入り扉を閉め鍵をかけた。小さな声で亜子が話す。


「どうしたの?」

「今誰か扉の前にいたけど、気がついたか?」

「え、きがつかなかった。」

「亜子お前、誰かに狙われているかもしれない。」

「え!なんで?」

「それはまだわからないけど。ともかく俺とキラ以外のやつが訪ねて来たら絶対にドアを開けるなよ。」

「わたし…つよいよ。」

「それは知ってるけど、念のためな。」

「うん。わかった。」


 飛鳥がシューケットに向かって歩いている。

 フードの男…あの背格好どこかで見た気がするが誰だか思いつかない。あー誰だよ。誰なんだ?どう考えてもあのUSBが関係してるはず。ここは学校の中だ…中に入れるのは先生以外だと例外を省いて15〜18歳まで…。学生の中に敵がいるのだろうか。亜子が狙われているのは間違いない。亜子が外に出た事はバレていないはずなのに…いやバレたのだろうか。どっちにしてもどうにかしなければ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る