第46話 亜子の両親

 ご飯を食べ終わりゆっくりしているとモンナさんが

 「USBをみんなで調べましょう。あと申し訳ないですが、亜子様のマイクロチップ今は戻すしかありませんので我慢してください」と言った。


「はい。だいじょうぶです。」


 今までので生活を考えると何をしていても天国のようで、きれいな服を着て美味しいものを食べて、そして何より自分をみんなが女の子扱いしてくれる。自分の身は自分で守るしかなかった時に戻れなくなりそうで心配でもあり幸せだった。

 

 森田がアクセスできない単独のパソコンにUSBを挿した。

 キラ達は周りを囲み見守っている。亜子は何が出てくるのか怖くてキラの腕をつかんでいた。フォルダーがいくつかあり、順番に開いて行った。


「これは見つかったら困るな。」森田はつぶやいた。


 そこには今の大統領の裏金や誰を使って誰を暗殺したかなど、色々な議員の名前など細かく書いてあった。そこには出身がDevilsのメンバーもいっぱい載っていた。暗殺者を育てていると言うのは嘘ではなかった。

 フォルダーには写真も入っていて、このUSBが公にされたら間違いなく大統領は捕まるであろうと言うことは明確だった。


「このファイルは恐ろしいな。これは大統領側が絶対に手に入れたいものだ。よくこんなにいっぱい資料を集めたものだ。」森田はため息をついた。


「とりあえずこのUSBは貸金庫に入れる。奪われた時のためにコピーをモンナに。」

「この先、どうするんですか?」

「後のことは任せてくれ。この先の事は副大統領と相談して公にするつもりだ。君達は今の学園を良い方向になるように進めてくれ。とりあえず今はそれしか言えない。」

「亜子様、お父様とお母様に会って来てはいかがですか?ここから車で20分の所にある教会でお2人眠っておられます。」


 亜子は涙ぐみうなずいた。


 大きな花束を用意し、教会まで向かった。海の見えるとても気持ちの良い場所にお墓はあった。亜子は花を添えると地面を触り泣き続けた。飛鳥とキラは静かに亜子を見守っていた。


 飛鳥は亜子の横に座ると「空です。お久しぶりです。小さい頃はお世話になりました。いままで来られなくてすいませんでした。」

 そう言うと頭を下げた。俺はただ手を合わせるしかなかった。


 亜子が落ち着いたので帰ろうとしたら飛鳥が懺悔をしたいと言い出し、懺悔室に入っていった。その間2人で教会の周りを散歩した。


「キラ、わたしDevilsからそとにでられるかな?」

「もちろん。みんなそのつもりで動くから亜子も待ってて。俺がDevilsを変えるから。」

「うん。」

 皇帝になったものの中々変えていくことは難しい。

 結局意見を出しても、あまりにも大きな変化に最終的には先生に許可を貰わないといけないからだ。譲ってもらえる所とそうでない所結構厳しい。

 でもあのデータが公になれば先生たちも変わっていくだろう。それまで皇帝でいなければいけない。最近昔の皇帝にくっついて金などを巻き上げていた奴らが何も出来なくなり、皇帝を変えよう、昔のシューケットに戻そうとしていると言う噂を聞いた。そんな事になったらDevilsはせっかく良くなった環境がまた元に戻ってしまう。それだけは阻止をしないと。


 森田は副大統領にデータを見せるために、貸金庫からデータを取り出しカバンに入れ車で走り出した。


 このデータをどうやって公表するのか…テレビ局などは多分公表が出来ないだろう。やるならゲリラ的だ。ネットで流すのが一番手っ取り早いかもしれない。でももしかしたらネットもすぐに遮断される可能性もある。副大統領の別荘まで後3kmぐらい着くと言う所で、道路の脇に女の人が倒れているのが見えた。すぐに横にバイクも転がっている。転倒したのか…?。森田は車を止め駆け寄った。


「どうしました?大丈夫ですか?」


 ヘルメットをつけているが仰向けにすると腕から血を流しているようだった。鞄から携帯電話を出すと救急に電話をした。


「女の人が腕から血を流して倒れています。事故のようです。場所は…」


 女は目を開きいきなり森田のわき腹に銃口を向け迷いもなく撃った。


「うっ。」携帯電話が手から滑り落ちる。


 女は携帯電話を取り上げると電話を切り、倒れている森田を崖から突き落とした。

 そして携帯電話を近くの川へ投げ捨てると、カバンを掴み女はバイクで走り去った。

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