第38話 皇帝の仕事
皇帝になるとDevilsとの行き来は自由だ。やっとこれで堂々と亜子に会いに行ける。ちゃんとご飯は食べれているのだろうか?
皇帝になってから初めてDevilsへ入る。
今回は1人で来てみた。門番は俺の事が分かったのか深々と頭を下げる。もう知れ渡ってるんだ…まあその方が動きやすい。
扉の中に入ると誰か知らない人に話しかけられた。
「新しい皇帝ですね。初めましてDevilsのトップのカミラと申します。」
「初めましてキラです。」
「お話をお伺いします。こちらへどうぞ。」
エレベーターに乗せられ、一番上の階まで連れて行かれた。部屋の扉が開かれる。まだ夕方なのに黒い暗幕で窓が覆われているせいで凄く暗く、薄暗い照明が付けられていた。
「なぜカーテンを開けないのですか?」
「前皇帝の指示です。犯罪者は光を浴びることをしないようにと。」
意味がわからん。犯罪者が光を浴びてはいけない?電気代の無駄じゃないか…。俺が庶民だから理解ができないのか?
「とりあえず、暗幕開けて光を入れて下さい。俺が皇帝になったので大分状況が変わりますが対応して下さい。」
「は、はい。わかりました。」
カミラは暗幕を外した。窓からは綺麗な夕陽が見える。こんな綺麗な夕陽を隠すなんてもったいない。
「それではやってもらいたい事がいっぱいあります。一つずつでいいので進めて下さい。」
「わかりました。」
「1つ聞きたい事があるのですが、亜子は何処にいますか?」
案内をしてくれると言っていたが1人でいいと断った。まだ顔が知られていないので顔パスは無理だった。胸に皇帝の印がついているので大丈夫ですよと言われたが、トラブルのも嫌だったので一応通行パスをもらっておいた。話によると亜子は俺を手助けしたせいで地下牢に入れられていると聞いた。早く出してあげないと…色々改善しなくてはいけない。
地下牢の入り口に行くと俺の事をすぐ分かったみたいで、すんなりと通してくれた。扉の中に入ると、薄暗い灯りの中に鉄格子のはまった部屋が10数個あった。亜子は一番奥だ。みんなうな垂れて下を向いている。少し怖さも感じた。
亜子がいる牢屋の前に来ると隅の方に小さく丸くなっている人影が見えた。門番に鍵をもらっていたので開けて入った。
ゆっくりと近づく…「亜子?」と声をかけると俯いていた顔が上を向いた。その瞬間亜子を見て涙が止まらなくなった。こんなに顔に怪我をして…女の子なのに。
話しかけたのが俺だと気が付くと亜子が笑った。そばへ行き膝を付き亜子の髪の毛を撫でた。
「ごめん。遅くなって。」
抱きしめると、折れてしまいそうなくらい細かった。ここでどんなに辛い思いをしたのだろう。
「行くよ。」
亜子を抱え上げるとそのまま病院に連れて行き入院させるように伝えた。
「亜子、明日また来るから今日はここでゆっくり休んで。」
そう言うと安心したのかスウッと眠りについた。小春川あいつ本当にふざけんなよ。こんなひどい事しやがって。
次の日からクルスのメンバーを使って学校の中を普通になるようにルールを作った。当たり前のルールが存在しないこの学校は変だ。シューケット側は飛鳥に任せた。俺はDevilsを主に担当した。
カミラを呼び出し、学校の中のルールを変更すると伝えた。
「まず、親だけが犯罪者と本人が犯罪者という事が知りたいから名簿をくれ。そしてその中でも犯罪が好きだという異常者がいれば教えて欲しい。」
「その名簿ならもうあります。」
「元からあったのか。」
「はい。」
「分かった。じゃあ危険な奴は俺が掛け合うから牢屋に入れてくれ。ただし、きちんとした食事、風呂は入れてあげる事。親が犯罪者で本人が悪くない場合は規則正しく、ご飯、授業を受けさせるために部屋を改装するからしばらく外に仮住まいを作るからそこでしばらく生活するように伝えて。」
「は、はい。わかりました。」
先生に掛け合い改装工事をしてもらった。さすが金持ち学校、工事は1週間ほどで終わった。本当ならシューケットと合体したい所だがそれはまあ無理だろうと諦めた。
部屋には制服も用意して窓も開けられるようにし、清潔に保つように伝えた。牢屋にいる殺人鬼を普通の刑務所に入れてくれと頼んだが、それだけは認めてもらえなかった。
その代わり亜子のような普通の子とは離れるように奥に簡単に行き来できないように扉を作ってもらった。もちろんそちらも勉強をするようにと進めたが、それも受け入れてもらえなかった。
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