第37話 やらなきゃいけない事
キラは昏睡状態が続いたが、賢明な治療のかいあって20日後に目を覚ました。
目を開くと母親が大泣きして抱きついて来た。
「もう目が覚めるのが遅すぎる…。」
怒って泣いて笑って忙しそうだ。
「ごめん。心配かけて。」
「そんなのいいから…」
目が覚めてからリハビリをして歩けるようになった。
飛鳥が同じ病院にいる事を知り、さらにこの病院が飛鳥の家が経営していると聞き驚きの連続だった。
あいつどんだけ金持ちなんだ?
今は飛鳥の所に行くなと言われていたが、重い怪我なのかと心配で夜こっそりと飛鳥の病室一番上の階のVIPルームまで行ってみた。
エレベーターを降りるとすぐに受付があり飛鳥に会いたいと伝えたがあっさりと断られた。毎日通って見たが全然会えない。その日も無理だろうなと思いながらも差し入れを持って受付に行くと「どうぞお入りください。」と言われびっくりした。
警備の人にお辞儀をされた。扉の前に立つと鍵が自動で開く音がする…さすがVIPルーム。
中に入ると飛鳥が窓に向かって立っていた。飛鳥はこちらを振り返り
「キラ久しぶり。もう動けるんだね。」
「たまに傷は痛むけど、すっかり元気だよ。1ヶ月半ぶり…やっと会えたな。」
「来てくれているの知ってたんだけど…悪かったな。会える状況じゃなかったんだ。」
「飛鳥も大怪我だったのか?」
「いや、俺の場合は心の問題。」
「そうか…大丈夫なのか?」まあ何かあるとは前々から思ってはいたけど。
「まあね。とりあえずだけど。」
「俺は明後日退院して学校に戻るけど。飛鳥は?」
親には学校を辞めて家に帰れと言われたがそれは断固として拒否した。する事がある。
「俺もやらなきゃいけない事があるから戻るよ。」
「お前もかよ。じゃあ一緒に戻れるな。」
「戻ったらキラにも手伝ってほしい事があるんだ。」
「いいよ。わかった。俺も飛鳥に手伝ってほしい事がある。」
久しぶりのシューケット学園、たかが1ヶ月半なのに懐かしい感じがした。戻ると最初に皇帝の部屋に案内され、そこには前の皇帝の部下たちが揃っていた。
「お久しぶりです。」
「皇帝なのに敬語はやめて下さい。前皇帝がいらっしゃらないので引き継ぎはなしでそのままキラ様が皇帝となります。」
「そうなりますよね。やっぱり。そんな扱いに慣れていないので戸惑いますね。とりあえず皇帝が出来る事、やらなくてはいけない事を教えて下さい。それから色々人事とか考えます。」
「わかりました。」
説明を聞くと、ほとんどが皇帝が学校の中の決まりを作っていた事に驚いた。出来ないのは先生達の人事とテストの期間、地下3階にいるDevilsのメンバーの管理だけで、他のDevilsの規律などもこちらで決めていいらしい。本当に小さな国なんだな。まずあの最悪な環境のDevilsを変えないと。クルスのメンバーの数はなるべく減らした。
俺、飛鳥、アゲハ、三田、東金 この5人が主要メンバーでその部下たちの事はそれぞれに任せることにした。
「キラ言った通り皇帝になったね」アゲハは喜んでいた。
「そうだね。まさか本当になれるとは思っていなかったけど、みんなが応援してくれたからかもな。」
「キラは皇帝になって何をして行くの?」
「この学園に来て思ったのがここは小さな国だって事だ。でもみんなまだ子供だろ。だから学生なりの決まり事を作ることにするよ。法律とか言うとなんか偉そうだからさ。」
「小春川がいなくなってやっとキラと堂々と仲良く出来る!」
「そうだね。やっと普通に話せるな。」
「じゃあさっそくだけど、外に出かけようよ。」
「行きたいけど、ごめん。先にやらなきゃいけない事があるから。それが終わってから一緒に行こう。」
「ん…わかった」
アゲハはちょっとガッカリした。先にやらなきゃいけない事ってなんだろう?
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