第36話 決着

 一斉にみんなが動き出した。飛鳥は俺と皇帝を邪魔しないように他の奴らを排除していた。みんなの為にも勝つんだ。


 皇帝も俺も銃は最初に投げ捨てた。

 力で勝って見せる。


 皇帝になれたぐらいだから格闘のセンスあんだな。さすがに今まで多々勝ってきた奴と格が違う。一発が重い。でも俺だって散々訓練してきたんだ。殴り合いが続く。


 あまりの凄まじさに周りで勝負がついてしまったメンバーは見学をしだした。

 重いパンチ音が続く。どんどん顔が腫れて来ているが、2人とも手を止めない…10ポイントの差も開かず中々勝負がつかない。こんな状況でも先生達は止めに入る事はしない。

「少しキラの方がポイントが上回っているな。」

「飛鳥、これいつ終わるんだ?」

「あと3分のうちに点数が高い方が優勝だ。皇帝が1ポイントリードして逆転だ。」

「あと30秒!」

「あと20秒!」

「まずいな差が縮まらない」このままだと皇帝が勝ってしまう。

「あと5秒!」

 一発顔にパンチが入り頭がクラクラする。やべえ…そのままキラは膝をついた。その瞬間亜子の顔がチラつきもう一度たち上がりパンチを入れた。それに対して皇帝がパンチを入れようとした時だった。

 

「パン!パン!パン!」

 と拳銃音が3発鳴り響いた。皇帝に白い塗料が3発あたった。その時終了のブザーが鳴った。みなが銃が打たれた方向を振り返った。打ったのは皇帝の取り巻きの1人だった。


「お前何しやがる!」と皇帝は掴みかかっていき殴り倒した。

「俺はお前が卑怯な手ばっかり使ってキラを排除しようとしていた事が許せなかった。そんな奴が皇帝になったって何も学校はよくならない。将来的にも国民より自分の利益を優先するだろ?お前は降りた方がいい。」

「皇帝に向かってお前だと!」

「だってもう皇帝じゃないだろ。負けたんだから。」


 皇帝が掴みかかろうとしたのをキラが足を引っ掛け転ばした。


「俺もこんな勝ち方嫌だけど、もう少しあんたに皆んなの気持ちがわかれば、こんな状況にならなかったんじゃない?俺はみんなの期待に応えられるように頑張るから、あんたも潔く引いたら。」

「うるせえ。」


 皇帝は隠し持っていたナイフを取り出し、キラの腹を目掛けて突き刺した。


「ふざけんなよ………。」


 キラは床に膝から崩れ落ちた…血が流れ出す。


 三田は駆け寄り、皇帝を蹴り飛ばすと激しくぶつからせ気絶させた。周りにいたメンバーは皇帝を縛り上げた。


「キラ!」

「先生!早くきてキラが刺された。」

 

 飛鳥はキラに駆け寄ろうしたが、あたりが薄暗くなり、急に頭の中知らないに女の人がお腹を刺されているシーンが頭の中に入って来た。


 あれ?俺はどこにいるんだ?何かの中に隠れている…俺は女の子の口を押さえ声を出さないようにしている…俺と女の子は泣きながら外を見ている。何か女の人が叫んで…

「うわーーーーーーーーーー。」急に飛鳥が叫びだし倒れた。

「飛鳥も倒れた!先生、助けて!」


 ドクターヘリに乗せられ、飛鳥とキラは緊急搬送され、キラを刺した皇帝小春川はその日以来姿を消した。

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