第34話 皇帝のあがき2

2日目


 黒は部下を引き連れ飛鳥の部屋に、銀はキラの部屋へ向かった。今日は部屋にいるしかないからな。

 腕の一本でも折れればそれでいい。でも皇帝の言いつけとは言えこんなにあからさまに怪我をさせに行くなんて、堂々とし過ぎていて大丈夫なのだろうか?

 どう考えても非難の的になりそうな。


 今更合鍵を使った所で分かっているのに馬鹿みたいだから、普通にノックをした。今日は呼び出して戦ってもらう事にしよう。


「コンコン」叩いても何の反応も無い?」命令違反なのにいないのか?


 合鍵で開けてみた。中は暗く誰もいなかった。


「これは違反だな。怖気ついて逃げたのか?」


 黒に合うと全く同じ状況だった。


「報告をしに行こう。」


 皇帝に報告に行くと

「ニヤッ」と笑い「逃げたな」と嬉しそうだった。


 キラと飛鳥が逃げるだろうか?疑いつつも昨日も今日も夜遅くまでであまり眠れていないので疲れたので部屋に戻る事にした。


「おい。また掲示板に何は貼られたぞ。」


 次の日また追加で貼られた。


【全校生徒に告ぐ。キラと飛鳥は指定の時間に部屋にいなかった為、実技試験の参加を取り消すこととする。】


 騒ついたその時、保険の先生がその紙を剥がした。


「何で剥がすんだ!」皇帝の取り巻きが文句を言い出した。

「キラと飛鳥は腹痛で保健室で夜を過ごした。私もずっといたので不正などないのでこの貼り紙は無効では?」


 黒と銀はその様子を見ていた。うまくやったな。確かに保健室に行くことは違反ではない。またうまく逃げられただけだった。


 皇帝は焦っていた。キラと飛鳥は相当強いと聞いている。その前に潰そうと思ったのにことごとく失敗している。もし自分が不正をしている事を先生に見つかると、俺が失格になり皇帝の座から落とされる。

 ある程度の自由は許されているが皇帝の座を持っても先生には逆らう事は禁止されている。今日も保健室に逃げられたらもう防ぎようがない。

 

3日目


 腹痛がひどいと言って皇帝の所に保険の先生を来させた。

 取り巻きの女達が心配していたが、黒と銀は嘘だとわかっていたので気持ちが冷め始めていた。

 今回の一連の事で皇帝の威厳のなさに呆れていたが、文句を言われるので仕方なく行く事にした。心の中ではこんな状態じゃ次の皇帝は飛鳥かキラだと思うしかなかった。


 部屋に行き、いない事を確かめると、今度は保健室へ行ってみた。先生がいないと使用は禁止されているのでいる事は無いとは思ったが一応行っておかないと。

 やはりいなかった。


「もう帰るぞ。」


「いいのですか?キラと飛鳥を探さなくて。」


「ああ、もういい。3日間疲れただろ。部屋に帰って寝ていいよ。」


 部下達を帰らせた。キラと飛鳥はどこへ行ったんだ?

 まあいいか明日になれば皇帝は変わるんのだから。俺も銀も、もうクルスには入れないな…仕方がないか。

「キラと飛鳥は見つけましたが怪我をさせる事は出来ませんでした。申し訳ありません。」

 黒は皇帝にメールを打つとそのまま部屋に帰っていった。


 皇帝はメールを見て携帯電話を投げ捨て全員出ていくように命令した。


「使えない奴らめ。明日2度と動けないようにしてやる。」


 キラと飛鳥は部屋に隠れていた…もう逃げる場所もないし見つかったら見つかったでいいや、もう逃げ回るのにも疲れたし来たら受けてやろうと思っていた。

 銀は部屋に入って来たが、入り口から中を見てすぐに帰ってしまったので拍子抜けした。せっかくやる気だったのに…。でもおかげで今日はゆっくりと寝られそうだ。それにしても皇帝って自分で何もやらないんだな…。

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