第33話 皇帝のあがき1

 亜子はキラと飛鳥を手助けしていた事がバレてしまい、地下牢に閉じ込められていた。

 皇帝からテスト期間が終わるまではここから出すなと命令を受けているらしく、薄暗い中で2日に1回の食事、閉じ込められていて何も出来ずに亜子は痩せ細っていた。

 毎日のようにキラの顔が浮かぶ…どうしているのかな会いたいな…このまま死んでしまったらもう会えない…絶対死ぬもんか。亜子は動かずひたすら我慢して体力を温存していた。


 皇帝の命令を受けていたクルス達とその部下はどうにかキラと飛鳥に手を出そうと試みていたが、部屋にまで誰かしらいるせいで近付くことも出来なかった。

 焦った皇帝は学校中に命令を出した。


 掲示板には


【全校生徒に告ぐ。本日より実技試験が終わる間、不正を防ぐため19時より部屋で1人で過ごすこととする。不正が見つかった場合は罰として実技試験の参加を取り消す。】


 と書かれていた。


 キラ達は掲示板を見て

「そう来たか。1人にして襲うってことだよな。」


「皇帝は器が小せえな。」


 とりあえず負ける気はしなかったが怪我をして不利になる可能性はある…。試験まであと3日さてどうするか。


 1日目

 黒は部下を引き連れ飛鳥の部屋に、銀はキラの部屋へ向かった。


「油断するな。1人だが何を企んでいるか分からないからな。」


 合鍵を使いゆっくりとドアを開けた。


「だれ?」


「キラ悪いが…。」


 え、こいつがキラ?どう見ても違うよな。


「俺、キラじゃ無いけど?ところでなんで合鍵持ってんの?どうしたのそんな大勢で?」


 全く同じ事が飛鳥の部屋でもおきていた。


「お前は誰だ?キラはどこへ行った?部屋は19時以降、部屋で1人で過ごすと命令が出ていただろう。」


「1人だよ。部屋に1人でいればいいんだろ?間違えていないよね。」


「ではキラはどこへ行った?」


「そんなの教える必要ないでしょ。暇だから仲の良いメンバーでくじ引きで部屋入れ替えてみたんだ。だからどこにいるか知らないよ」ニヤッと笑った。


 クルス達はドアを「バン!」と閉めて出て行った。


「お前らが考えている事なんてお見通しだよ。ざまあみろ。」


 銀と黒は監視カメラの映像を見にモニター室にいた。食事が終わり部屋に戻る時の映像を見てキラと飛鳥を探していた。部屋に行くのが分かっていたのか、少なくとも30人以上が黒いパーカーを深く被り、同じポーズで歩きそれぞれの部屋に入って行った。どう見てもカムフラージュするためだ。夜中の2時この映像から部屋を割り出し、今から探し当てるのは困難だった。クルス達は皇帝に報告し明日もう一度、命令を出してもらう事にした。


「昨日は面白かったな。」


 キラと飛鳥に協力してくれたメンバーは楽しんでいた。


「おい。また掲示板に何は貼られたぞ。」


訂正【全校生徒に告ぐ。本日より実技試験が終わる間、不正を防ぐため19時より自分の部屋で1人で過ごすこととする。不正が見つかった場合は罰として実技試験の参加を取り消すこととする。】


「そう来ると思ったよな。次はどうする?」

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