第32話 クルス同士の戦い

 このリーグに黒と銀がいる。


 さすがに強く、挑んだチームはすぐにやられてしまった。

 飛鳥と三田も1チームやっつけた。戦っている相手と10ポイント以上開くと失格になる。時間がくればこの状態だと2組残って終わりだ。クルス同士は戦わないから終わりのはずだ。


「あと残りはあいつらだな。」


「三田、あいつらはクルスだ。実を言うと俺もだ。クルス同士は戦わない。だから個人戦の時に戦うしかないんだ。悪いけど今は我慢してくれ。」


「そうなのか!飛鳥…クルスだったんだ。あの2人も…クルスなのにあいつら足折ったんだな。なんて奴らだ。わかった。飛鳥が立場が悪くなるのはまずいから、個人戦でやっつけるよ。」


「ありがとう三田。残り時間あと15分ゆっくりしようぜ。」


 そう言って2人で地べたに座り込み水を飲んでいると黒と銀が現れた。


「終わりましたね。さすがに早かったですね決着が。」


 三田は黙りこくっていた。三田のことを考えると来て欲しくなかった。黒と銀いつもと違ってなんか様子がおかしい。


「悪いな飛鳥。」


 そう言うといきなり黒が殴りかかってくる。とっさに避けたが三田は銀に一発くらってしまった。


「どう言うことですか?クルス同士は戦うのは禁止ですよね。」


「飛鳥お前はもうクルスの人間じゃない。除名だ。キラの味方なんだろ。お前を潰すように命令を受けている。キラはキラで弱いやつと組まされて今頃負けているだろうよ。」


 卑怯な真似を…。


「ふーん。そっちがその気ならいいですよ。わかっていますか?俺、テスト3位ですよ。キラがダメでも俺が勝てば皇帝になれる可能性があるんですよ。キラはあなたたちが思っている以上に強いですからね。まあ俺もですけど。」


「俺もいるけどな!」


 そう言い放つと三田は銀に蹴りを入れた。不意打ちをされて銀は床に転がった。銀はすぐに立ち上がり三田に掴みかかって行った。

 三田と銀の力は互角だった。殴れば殴り返される。そんな状態が続いた。飛鳥は黒と戦っていたが戦闘能力は飛鳥の方が上だった。うまく攻撃を交わしパンチを入れていった。そんな時間もたたないうちに10ポイントあっという間に差がつき黒が負けた。それでも掴みかかってくる。


「もうやめましょう。俺らが皇帝を今回降ろしますよ。そうなった時にどんだけ立場弱くなるかわかりますか?学校にもいられなくなりますよ。」


「うるさい!」


「わかりました。俺は忠告しましたよ」そう言うと飛鳥は黒の腕を折った。


「ギャー。」黒の悲鳴が響き渡る。


「早く扉から出て医務室に行ってください。曲がったままになりますよ。格闘している時に誤って転んだと言ってくださいね。」


 三田がおされているようだったので手助けに行こうとしたら、

「飛鳥、こいつは俺が倒す。こいつだろ足砕いたヤツ。」


「ああ、そうだ。」


「お前おされてるけど大丈夫か?」


「冷静に言うなよ。ムカつくな。大丈夫だよ。」


「なめた会話してんじゃねえよ。」


 このままじゃマズイと思った瞬間、銀の動きが一瞬止まった。三田はそれを見逃さなかった。蹴りがお腹に深く入り銀は動かなくなった。


 座り込み息を切らしながら「どうだ飛鳥!やったぞ。」


「だな。」まあ俺が手助けしたからな…。


「三田、足折るんだろ?」


「やらねえよ。こいつらと一緒にすんな。」


 三田は銀を扉の外に押し出した。床にキャラメルが落ちていたる…あいつが一瞬止まったのはこれが原因か…飛鳥め。余計な事しやがって。真顔で足折るんだろってあいつ怖すぎる。


 キラも飛鳥も一回戦突破したと言う話はすぐに皇帝に伝わった。銀と黒が負けるなんて、ふざけた事しやがって。2回戦まであと3日どうにかしなければ。勝ち抜いた事を後悔させてやる。クルスのメンバーにキラと飛鳥に怪我をさせるように伝えておいたが…。


 1回戦が終わってから、キラと飛鳥の周りに三田や東金、あと東金をいじめていたメンバーが2回戦まで守ると言って引っ付いてきた。


「ねえ、歩きづらいんだけど。俺ら大丈夫だから。前や後ろにいると動けないよ。」


「絶対怪我させないから、俺たち盾になるから。」


「ありがたいんだけど、自分の身は自分で守から。」


 何度言っても離れてくれない。もう仕方がない。

 そこまで言うならやってもらおう。でもなんだかちょっと嬉しいし楽しかった。

 今まで飛鳥ぐらいしか親しく話していなかったのに、こんなに周りに人がいる………なんか学校って感じが初めてした。

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