第28話 いいがかり
試験まであと2週間、最後の仕上げだ。
学校が終わると飛鳥といつも通りDevilsに行こうと扉を開くと目の前に皇帝が立っていた。何でいるんだ?
「青…お前はキラだな。どこへ行くんだ。」
「Devilsの監視です。キラは俺の下で動いてもらっています。」
さすが飛鳥、何も動じている様子はない。それどころかキリッとした目で皇帝を正面から見つめている。
「監視はご苦労だが、青は見るがキラは一緒のところを見ないと言う報告があるが?」
俺が練習をしている間に飛鳥は見回りなどをしていた。
「キラには別行動で練習場などを見て回ってもらいました。」
「クルスは誰も見ていないと言っているぞ。」
「あ、すいません。練習が面白くて見入ってしまってそこ以外行かない時も多々ありました。」
「キラ、アゲハの事は知っているな。」
「はい。幼なじみですから。」
「アゲハはお前の事を好きらしいな。」
「そんな話はアゲハからは聞いていません。」
「お前は知らなくても情報として入っている。俺は次のテストでお前をどうやって痛めつけるか楽しみになって来たよ。お前がボロボロになった姿をアゲハにプレゼントするんだ。」
「皇帝、キラはアゲハに何かしようとは思っておりません。」
「俺はアゲハがお前を見ていると思うとハラワタが煮え繰り返る。覚えておけ。青、今日からキラを下につける事は許さない。1人で回れ。いいな。」
言いがかりもいいところだ。亜子に会いたかったが今逆らうわけにも行かない。
「俺戻るよ。」
「ああ、わかった。」
部屋に戻るとため息をついた。アゲハが俺を好き?本人から言われていないのに目の敵にされるなんて面白くない。もし好きだったとしてもそれは本人の勝手だ。好きになってもらえなくても人のせいにするのはおかしい。どちらにしても八つ当たりだ。
「亜子、大丈夫かなぁ。」
カバンにお菓子の他にも湿布とか用意していた。
一番渡したかったのはパンダの抱き枕だった。少しでも気が晴れればと思って買っておいたものだ。
この前の亜子の泣いた顔が忘れられなかった。あんなに強い子が押さえつけられ反抗も出来ずに怯えていた。どれだけショックだっただろうか。
ただ部屋にいるのも嫌だったので外へ出かけた。
いつも話しかけてくる女子に見つからないように周りを見渡しながら歩いた。
この前は飛鳥も一緒だったから雑貨屋なんか見ていなかったが、中に入ってみると可愛らしいものがいっぱいあって亜子の顔が浮かんだ。連れて来てあげたいな。目に付くもの全部、亜子のために買い込んだ。喜ぶ姿が見たい。いつか会ったら渡そう。
皇帝は黒から報告を受けていた。
「キラは雑貨屋で色々な物を買い込んでいたようです。」
「何を買っていたんだ?」
「可愛らしいものばっかりで自分が使うものかどうかは?」
「アゲハにあげたのか?」
「それは見張っておりましたが渡してはおりませんでした。」
「あいつの趣味なのか?」
飛鳥に聞いたらあの教官は次の日には居なくなっていたらしい。飛鳥はどんな手を使ったのだろうか?聞くのも怖かったので聞かなかった。亜子は元気だと聞いたので、ひとまず安心はしたが顔を見ていないので少し心配だった。
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