第24話 調査の依頼
飛鳥は皇帝に急に呼び出され、部屋に向かっていた。
なんだろう?嫌な予感がする。ノックをすると「入れ」、声が聞こえ中に入った。皇帝を見るとやけに不機嫌そうだ…皇帝になって嬉しいはずなのにどうしたんだ?
「何か御用ですか?」
「青、お前アゲハと同じクラスだったよな。アゲハの事を探れ。」
「探れと言いますと?」
「好きな奴が誰か、調べて俺に知らせろ。」
ふざけんな。わざわざ呼び出してそんな話かよ。だからカリスマ性がないんだよ。
アホらしいが一応返事をしなくてはならない。
「わかりました。それだけですか?」
少し嫌味ったらしく言ってやった。
「ああ、そうだ。」
「それでは、失礼します。」
部屋を出ると、こんな奴が皇帝なんてとがっかりした。多分アゲハにフラれたのか何かでヤケになっているんだろうけど、本当に頭悪い。
勉強が出来るのと頭が良いは違うのがよく分かる。あいつは勉強が出来るだけのやつだ。まあ本当の事を言ったらキラが狙われるので黙っているが、皇帝が俺に探らせるように指示をしたのはラッキーだった。他のクルスが関わったらバレてしまうかも知れない。適当にはぐらかしておこう。キラにもアゲハにも気をつけさせなければ。
次の日さりげなくアゲハに皇帝に言われた事を伝えた。
アゲハは直ぐに理解して次のテストが終わるまではキラとは話さないようにすると言ってくれた。前から頭が良い子だとは思っていたがさすがに察しがいい。多分アゲハがボロを出す事はないだろう。さてキラには何と言うか。アゲハがキラを好きだからとは言えない。とりあえずアゲハと仲良くすると皇帝に目をつけられるから話すなとは伝えておこう。いちいち面倒だが仕方がない。
皇帝の部屋を黒がノックしていた。
「入れ。」
黒はドアを開けた。
「で、どうだ?」
「皇帝のご想像通りでした。キラはアゲハに言われてこの学園に来ています。そして同じクラスの女子がキラに話しかけた時に、やきもちを焼いたそうです。」
「わかった。引き続き様子を見てくれ。」
黒が出ていくとアゲハの写真が入った写真たてを投げつけた。やっぱり嘘を付いていやがった。キラを話に出さなかったのは、かばったからだろう。馬鹿にしやがって。さて青は何て報告してくるか。
青は昔からあまり忠誠心を感じられなかった。逆らう訳でもないから取りあえず成績が良いのでクルスに入れた。でも必要以上は近付いて来ないので可愛らしさがない。でも毎日の様にDevilsにも監視に行っているし、仕事もこなしているしケチの付けようはなかった。だだ何を考えているのかわからなく扱いづらい奴だ。ノックが聞こえた…青か。
「失礼します。」
「報告か。」
「はい。」
「確認いたしましたがキラはアゲハに恋愛感情は無いみたいです。アゲハはからの聞き取りは難しくその事だけを報告に参りました。」
「まあ確かに女子の話は聞くのは難しいよな。キラの話はわかった。何か進展したら教えてくれ。」
何かもっと調べろと言われるかと思っていたから、飛鳥は部屋を出ると取りあえずホッとした。自分より前に黒が出て行ったのが気になったがアゲハとキラは気を付けているからまあ大丈夫だろう。嘘は付いていない。まだ疑われている感じもしない。あと2ヶ月隠し通さなければ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます