第22話 初めての戦い
「ポイント稼いだか?」
「ああ、バッチリ。飛鳥は余裕そうだな。」
休もうと思った所にもう一組、敵が現れた。
「なんだよ。休む暇ないな。」
「そんなもんさ。」
相手にならなかった。ポイントだけいっぱい頂いた所で、2階に弱い奴がいるぞと伝えると「そっちで点を稼がないと。」と階段を降りて行った。
「やっと休めるな。あと何分だ?」
「あと五分。キラここから1階が見える。あれ見てみろ。」
「え?あれ救護の人か?」
「そうだな。なんかあの感じは骨折られたな。」
「たまたま折れたじゃなくて、折ったのか?」
「ああ、そうだ。さっき広場に立っていたのはクルスの2人だ。」
「だから飛鳥は行かなかったのか。」
「クルス同士で戦うのは避けるのが基本だ。それにあの2人は目的があった。」
「目的?」
「皇帝の座を狙うやつを落とす事だ。」
「あの骨折られた奴のこと狙ってたのか。」
「ああ、クルスの会議で話していた。」
「あんな事して失格にならないのか?」
「上手くやったんだろ。救護の人と一緒に看病的な事してただろ。わざとじゃないってアピールするために。」
「マジか。こえーな。」
「人ごとじゃないぞキラ。次のテストまででバレたら俺らもああなるぞ。」
「そうだな。気をつけるよ。」
俺は個人戦になった時に飛鳥にポイントを入れさせて脱落した。射撃も準々決勝でわざと外した。テストがどんなものかやっと理解ができた。結局1位になったのはあいつ、現皇帝だった。
今回は皇帝になる事を見送るとアゲハにも伝えておいたので、アゲハはかなり低い点数と取ったみたいだった。クラスの中では2人とも半分より後ろのランクにいた。次が勝負だ。皇帝もアゲハをクルスに入れたかったみたいだが、さすがにアゲハの点数が低過ぎて今回入れる事は諦めたらしい。
テストが終わり一段楽だが、次のテストまで3ヶ月なので気を抜く事は出来ない。でもやっぱり気が抜けて久しぶりに外に出る事にした。外でご飯を食べようと飛鳥を誘った。外を歩いていると大分前に声をかけてきた女の子達が前から歩いてきた。
「あ、キラ君だ!外に出るんなら誘ってよ。テストが終わったら行くって前に約束したじゃない。」
「そうだったね。ごめん。飛鳥、一緒にご飯でもいいか?」
彼女らにジッと見られてとても断ることが出来ない圧力を感じた。
「ああ、いいよ。」諦めた。
女の子達に合わせておしゃれなカフェに入り注文をした。いつも何も飾り気の無いテーブルでお菓子を広げ缶ジュースを飲むみたいな事しかしていなかったので、この状況に自分に似合って無い気がした。
「ねえキラ君ってアゲハとつきあってるの?」
「アゲハと?いや幼なじみなだけで、付き合ってはいないよ。」
「なんでこの学園に来たの?」
「模試の賞金が高かったから。」
「そうなんだ。だったら誰が彼女になっても良いんだよね。」
「まあそうだけど。俺も好きにならないとダメだと思うけど。」
「どんな子が好み?」
「どんな子…。」一瞬亜子が浮かんだ。まさかね。
「髪が長いとか、女らしい子とか?」
「ん〜話をしていて楽しい子かかな?」
「飛鳥君は?」
「優しい子。」
「へえ〜飛鳥の好み初めて聞いた。勝手な想像でキリッとした子が好きかと思った。」
「好みなんて聞かれた事ないしな。」
「まあ確かに。」
「じゃあ2人ともフリーなんだね。」
「そうだけど。」
そんなたわいのない会話が自分が高校生という事を思い出させてくれた。皇帝争いなんてしなければ恋愛がメインだったかも知れない。
今度は遊園地に遊びに行こうと約束をして別れた。
アゲハは部屋の窓からキラと飛鳥が女子2人と一緒に帰ってきたのを見ていた。前にキラに話しかけないでと言ったのに。自分は皇帝に目を付けられているから中々キラに話しかける事が出来ない。
キラが皇帝になる前にあの子達にとられたらどうしよう。キラは鈍感だから知らないうちに彼氏になっているとかありえる…飛鳥にお願いしておこうか…。落ち着かなくてキラにメールを打った。
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