第19話 皇帝

 皇帝になって1年が経った。

 今の所は俺をおろせる奴はいないだろう。頭の良さは努力の賜物だったが、格好がが悪いので隠していた。格闘はいつも金を払って相手が負けるように仕向けていた。


 こう言う時には金がものを言う。このまま最後まで皇帝を続けられれば間違いなく将来俺は大統領になれる。

 Devilsのメンバーを使い、逆らう奴はみんな殺して俺が世界を一つにする。特にお気に入りだったのはDevilsの地下3階にいる連中だ。あいつらは狂っている。人を殺すのが趣味みたいなものだ。だから体にチップを埋め込んでいつでも殺せるようにしておいた。

 世界のすごい奴らより、Devilsの地下の殺戮集団の方がよっぽど恐ろしいのではないかと思っている。でもあいつらを味方につけたら俺は物凄い力を手に入れた事になる。世界が俺のものに…どんなに楽しいだろう。

 女だって選びたい放題だ。とりあえず今のターゲットはアゲハだ。あいつは本当に可愛い…媚びを売って寄って来ている女は安っぽくて面白くないが、モテると言うことをアピールするのに必要な素材だ。

 

追いかけるのはプライドが許さないから、どうにか好きになるように仕向けているがアゲハは全く反応がない。でもそれも楽しい…落ちなさそうな女が落ちるのが快感だ。結局は権力と金がものを言うのをわからせてやる。そう言えばDevilsのあの口の聞けない女も冷たい感じで俺好みだったな。今度声をかけてやるか。

 

 最近、物凄い点数で入学して来た生徒がいたな。そう言えば飛鳥に紹介された様な。アゲハに会いに行くついでに、もう1度俺を脅かす存在になりそうか見にいくか。 

 廊下を歩くとみんなが並び頭を下げる。俺が1番な証拠だ。気持ちがいい。そろそろ飛鳥のクラスだ。そう言えばあいつだった…よくみると背が高くて意外にカッコ良かった。でも見た目は攻撃的ではなさそうだ。クルスに入れて部下にするのはいいかも知れない。目を引く男がいると、女子から人気が出るしな。今は放っておいて大丈夫そうだ。周りを見渡してもアゲハはいなかった…来て損したな。


「キラ、今日こそお出かけしよう!」

 同じクラスの女子2人に腕を引っ張られている。

「俺、今日も忙しいから無理だよ。」

「えーいつも飛鳥といなくなるじゃん。今日は一緒に出かけようよ。飛鳥も一緒にさ。」

「俺は遠慮しておく。キラだけ行ってこいよ。」

「本当にごめん。俺やらなきゃいけないことがあって時間がないんだ。」

 テストまであと2週間まじで遊んではいられない。

「テスト終わったら必ず行くから今日は勘弁して。」

「必ずだよ。キラ。絶対ね。」

「うん。分かったよ。ありがとう誘ってくれて。」

 手をふり女の子達は帰って行った。


「モテるねキラ。」

「何?嫉妬してんの?」

「違うよ。素直にそう思っただけ。」

「誘ってくれるのはうれしいけど、今はそんな事言ってる場合じゃないしね。終わったら飛鳥も一緒に遊びに行こうよ。」

「女の子と出かけるなんて考えた事なかったけど、たまにはいいかもな。じゃあ全て終わってからな。」


 さっきキラに話しかけていた女子達をアゲハは追いかけていた。追いつくと

「ねえ、ちょっと待って。」

「アゲハ?何?どうしたの?」

「キラには手を出さないで。」

「え、手を出してはいないよ。遊びに行こうって言っただけ。」

「キラは私の幼なじみなの。喋りかけないで。」

「幼なじみだろうけど、そんな事アゲハが指図する事じゃないでしょ。彼氏なの?」

「今は違うけど…。」

「違うんなら文句言わないで。行こ。」


 キラは私の事が好きなんだから。絶対そうなんだから。

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