第8話 亜子
あの子に会ってから毎日のように門の前に来ていた。
あれから5日経ったがあの子には会えていない。警戒している感じだったからもう来ないのだろうか。門の前にしゃがみ込んだ。肩を背後から叩かれビックリして振り返るとあの女の子が立っていた。地面に文字を書き始めた。
『あなた誰?なんで毎日来るの?』
話せないのか?来ていたのを知ってたんだな。
「やっと会えた。君と話したくてさ。」
『話?』
「とりあえず、君の事をどうにかしようとか考えたりしていないから警戒しないで。俺はキラ。君の名前は?」
『115。』
「115?それが名前?名前無いの?」
『亜子』
「亜子か。よろしく。こっちの学園の事は知ってる?」
亜子はうなずいた。地面の文字を書く。
『そっちと同じ皇帝だから』
両方の皇帝になるのか?そうか、だからシューケットの駒に使われるんだな。
『皇帝が変わってからDevilsは酷くなった。前の皇帝の時は人をむやみに傷つけたりしなかったが今の皇帝になってからは毎日のように人が傷つけられている。毎日稽古場を見にきてわざと死ぬギリギリまで戦わせる。』
「毎日、来ているのか?」
だからシューケットの中であまり見かけないのか。酷えな。
「亜子、いつか会えるかと思って持ち歩いていたんだ。これ食べるか?毒なんか入ってないぞ。」
そっとチョコを差し出した。亜子は受け取ると包み紙を開いた。
『なに?』
「チョコを知らないのか?一体そっちはどんな食事しているんだ?」
『チョコ?』
「大抵の子が好きだと思うよ。食べてごらん。」
亜子はしばらく眺めていたが、恐る恐る口に入れた。その瞬間大きな目がさらに見開いた。
びっくりした表情をしている。
「これはチョコレートと言って元気が出るんだ。ねえ、またチョコを持って来るからまた話しようよ。」
頷くと森の奥へ走って行ってしまった。
話せないのであまり聞けなかったが。皇帝は2つの学校を支配する。殺し屋やスパイまで亜子に聞いた限りだとDevilsはあまり良く無い環境らしい。中を見てみたくなった。
テストまであと1ヶ月半俺はどうしたら良いのだろう。
次の日も亜子に会いに出かけた。今日はチョコレートの他にもスナック菓子などリュックに詰め込んだ。亜子はガリガリだった。ろくなものを食べていないのかもしれない。校舎を出ると後ろから知らない女子から声をかけられた。
「ねえキラ君ってアゲハと付き合っているの?」
「え、突然何?…違うけど。」
「そうだよね。アゲハは皇帝が目をつけているもんね。」
「急いでいるんだけど行ってもいい?」
「キラ君全然みんなと話をしないからどんな人なのかと思って。」
「別に普通だよ。」
「今度外に遊びに行かない?」
「あーまあ良いけど。しばらくは無理かな。」
「じゃあ時間が出来たら教えて。」
「ああ、分かった。」
今の誰だ?
アゲハは窓からキラの様子を見ていた。女の子に話しかけられていた。とうとう目を付けられたか…女の子近づけさせたくない…防がないと。所でキラはどこに行くんだろう。
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