第5話 クルス

 構内のカフェでアゲハはいつも青空しかない空を見上げていた。

 自然と笑顔になる…アゲハは嬉しくてウキウキしていた。キラが来てくれた!嬉しい。ずっとキラに会いたくてたまらなかった。現在の皇帝、小春川共生(こはるがわきょうせい)はとてもじゃないけど好きになんかなれない。

 性格が悪いし、カッコよくない。皇帝なのをいい事に彼女は取っ替え引っ替えしているし、好き勝手していて全然学校を良くしようなんて思っていないし、とても上に立つ人間には思えない。

 演劇祭で舞台に出演したのをきっかけにアプローチ攻撃をされている。上手くかわしているがクルスに入れられたら嫌でも毎日のように顔をあわせなくてはならなくなる。成績が優秀だと命令されたら入る事を拒否は出来ない。自分は結構勉強が出来る方だがテストだけは悪い点をわざと取っていた。成績が悪ければ皇帝も私を入れることは出来ない…確かクルスに入れるのは上位20位までだったはずだ。本当なら上位10位ぐらいまでに入れる自信はあった。あの皇帝のせいで成績を落とさなくてはいけないので、それを知らない親にテストのたびに毎回怒られていた。


 クルスは人を3ヶ月ごとに入れ替える。そのまま継続している人もいれば、辞めさせられる人もいる。クルスの入れ替えまであと2ヶ月、キラに皇帝になって欲しい。キラにはその素質がある。キラが教室に来たときに女子がみんな、キラのカッコよさに色めき立っていた。キラは昔から人を引きつけるものを持っていて顔はもちろんだが、男からも女からもなぜか好かれる。アゲハもずっとキラを好きだった。逆にキラを取られない様に気を付けなくちゃいけない。でも今はあまり動くと皇帝に目を付けられてしまうから気をつけないと。


 

皇帝は幹部を集め会議をしていた。皇帝を含め上に立つクルスメンバーは、



 皇帝   小春川共生(こはるがわきょうせい)3年

 副帝   堀 巫女奈(ほり みこな)    2年


クルスメンバー

 銀の使い 銀 (高梨 荒野) たかなし こうや  2年(男)

 黒の使い 黒 (八尾根 アケ)やおね あけ    3年(男)

 赤の使い 赤 (梁山 公香) りょうざん きみか 3年(女)

 青の使い 青 (高位 飛鳥) こうい あすか   1年(男)


 クルスのさらに部下である使いのメンバーは公にはされていない。


 この4名。皇帝、副帝は成績だが、部下は成績よりも身体能力でこのメンバーを選んだ。下手に頭がいいと自分が陥れられたら困るからだ。


「青、新しく転校生が入ったらしいな。」

「はい。HQでかなりの点数を叩き出して入学したそうです。」

「どうだ?俺を脅かす存在になりそうか?」

「いえ、野望がある様な感じには思えません。この学校の仕組みもしらないようです。」

「ならいい。何か変化があったら教えろ。」

「はい。」

「学校の内部についてはお前らに任せる。俺は好きな事をしたいだけだ。逆らう奴は追い払うし、敵になりそうな奴はDevilsに送ってやる。」

 そういうと皇帝は自室に戻り、取り巻きの女達といちゃつき始めた…むしずが走る。


 皇帝は成績はトップだが勉強が出来るだけで何も運営など出来ない。結局運営は部下がやっている。贅沢なのは良いが、校内で起きているいじめや差別、教師などへの暴力の事など全く無関心だ。基本的には黒が中心となっていた。飛鳥は皇帝の座を取ろうと思っていたが射撃で勝てなかった。運動神経はかなりいい。でも絶対あいつを叩き落としてやると誓っていた。

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