第4話 ありえないルール
「自分が犯罪者ならまだしも、親のせいで入るのはおかしくはないか?嫌だって言えないのか?もし言ったらどうなるんだ?」
「嫌なんて言ったら、訓練生の実戦練習で的として扱われ、辛い生活を送るだけさ。はじめは抵抗していてもそのうちあきらめるしかないと実感する。」
普通に生活していたら、とても信じられない話だが、ここにいると信じざるを得ない状況だ。
「でも両親とかが黙っていないんじゃ無いのか?」
「親は金で無理やり納得させられているさ。どうしてもうるさい奴は、いつの間にか消されているかもしれない。キラの様に頭脳が優れている人間は国を動かす方に回される。今の政府の人間はここの出身者だらけだ。今までどんなに優秀でも世界を脅かす事ができる存在は生まれていない。ただ今の大統領は本当にまずいかもしれない。
「この学園は成績によって金額が変わる給料制だ。HQの点数や部活の活躍により収入が変わる。すべてにおいて金が絡む。成績が悪いやつは月に0円の奴もいる。まあ銀行に振り込まれるだけでここではそんなに関係ないがな。親が生活費をはらっているし、でも親が口座を見れば自分の子供の成績が分かるわけだ。見込みがないと退学して海外に行くやつも多いよ。ここで成績を残した奴は卒業するときにとてつもない金持ちになっているやつもいるんだよ。」
「0円…1日1本のジュースも買えないな。そんな事が裏で起きているなんて、考えもしなかった。じゃあ俺ももらえるのか?」
「キラは特別枠で入っていて、毎月お金があるのは援助があっての事なので給料はみんなの半額で入いるはずだ。でも優秀だからかなりたまるんじゃないか。」
「なんかタダで入っているのに悪い気がするな。」
「金持ちの寄付でなりたっているから気にすることはない。どうせきれいな金じゃないからな。そういえばキラはなんでHQを受けたんだ?賞金目当て?」
「なんかだらだら高校行くのも面白くないし、天才とは言われても役に立てるところもないし、取りあえずテストを受けてどれくらいの点数が出せるか確認したかったんだ。HQは賞金もあるし、金がかかるとやりがいも出るしな。まさかこんな学園が存在するなんて思ってもみなかったけど」まだ飛鳥が信用出来るかどうかわからないので、来た本当の理由は言わなかった。
「いきなりSクラスだもんな。すごいな。そう言えばアゲハと知り合い?」
「ああ、アゲハが引っ越すまでよく遊んだ仲だよ。」
「そうか。」
「あんまり変わってないからすぐに分かったよ。」
「今はアゲハとあまり喋らない方がいいかもしれない。」
「なんで?」
「アゲハは皇帝のお気に入りだ。」
「その内、クルスの中に入る事になるだろう。」
「クルス?」
「皇帝が選別し優秀なものだけが入れる。まあ内閣みたいなものだ。役立たずはすぐ切られて交代させられる。アゲハは成績が追いついていないが、次は皇帝がどうにかして確実に入るだろうね。アゲハに手など出したら皇帝の怒りをかって、ただじゃすまなくなる。」
「ふーん。でも皇帝は3ヶ月で代わるんだろ?」
「今の所、半年変わっていないよ。今の皇帝を抜けるものがいないからな。皇帝は1年間勤め上げるとここを出てからの対応が違う。3ヶ月で変わってもまあ一応評価はしてもらえるが、長く皇帝の座につけばつくほど大統領の椅子には近づく。」
「そうか」そんな権力があって自分に有利になるのにアゲハは皇帝が嫌なのか?
一通り見て回り教室に戻った。授業のレベルはとんでもないぐらい高そうだ。知らない事も多い。これは少し勉強しないといけない。アゲハに気安く声を掛けられないとすると、アゲハにここに呼ばれた目的がわからない。どうすればいいんだ?手を出すわけじゃないから普通に喋ってもいいよな……。
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