第4マッチ
「成る程ねー、その人達と私も同じくここに来たって事ね、さっきの魔法も、この私の力も納得だわ、つまり…異世界転生か」
リリアが頷きながら答えた。
「そう言う事じゃな、フォッフォ」
老人が笑いながら答えた。
「でもちょっと待って?だとしたら今のこの世界は平和なんじゃ?なんで私はここに呼ばれたのかな?」
リリアが疑問形式に老人に尋ねる。
「まだ続きがあってな、まぁもう少しで終わるから話そう、現代編じゃ」
「現代編って、小説じゃないんだから…」
----------
人間、魔獣とお互い世界の半分づつで再び平和に暮らしていた最中。
魔獣側から強大な魔力が放たれた。
実は魔族は戦争が始まる前、神族が作った人間の知識の増やし方と繁殖能力を恐れ、神族を真似て同じく自分達に似せた人間を1体づつ作り封印していたのじゃ。
封印されながらも力を蓄え続け、またこの世界の情勢を記憶し続け知識を増やすように、眠っている所へ魔法をかけていた。
そして1人女王が目覚め、それぞれ封印されて居た人間を起こした。
それはすなわち、魔族の誕生じゃ。
----------
「待ってちょっと今そんなヤバい奴らがこの世界に居るって事!?」
「眠りながらも何百年も魔力を蓄え続けてきた魔族じゃ、その力は計り知れないじゃろう」
魔獣共は一晩中鳴き、目の色も赤く変えておる。
おそらくな、昔の戦争には無関心だった魔獣も今回ばかりは違うのじゃ。
神族が人間を操り動かしていたように、魔獣を意のままに操る能力が、新しく産まれた魔族には備わってるようじゃ。
親とも言える魔族を滅ぼした記憶も勿論ある。
復讐か、それとも世界の支配と言う欲望か、再び激突する日は近い。
あの頃は魔族を簡単にやってのけたとしても、今回はそうはいかん。
リリア、勝手に巻き込んでしまって申し訳ないが、あの時の4人と同じように儂に力を貸してくれぬか?
「ちょっと待って?あの頃?力を貸せ?そもそも何で私の名前知ってるの!?」
「フォッフォッフォ」
「おじさん一体何者?」
「先ほど話した時、一人の神は跡形も無く消えたと言ったろ?」
「ま、まさか…!?」
「その神こそが儂なのじゃ、別の世界、すなわち地球から選りすぐりで選んで連れてきたのじゃ」
「それでなんで私!?」
「小さい頃から厳しく、途方も無い鍛錬を積み上げた者が、この世界で発揮する力は計り知れん」
「ほ、ほぉ…」
「儂が戦わずして逃げてしまったようで不甲斐ないが、最後の頼みの綱だったのじゃ」
「それで、元の世界へは戻れるの?」
「す、すまんがもうその力は残っていない…4人が現れた時、魔族は力を察して攻めて来たと言ったろ?4人の存在には遠く離れてたとて安易に気付いたのに、何故儂の存在は気付かれなかったか分かるか?」
「へ?単純に隠してたとか?魔法で、カモフラージュ的な?」
「そんな隠し切れる物でもない、4人をこの世界へ連れてくる為に力を意図的に使い果たしたのじゃ」
「あ、成る程!それで温存してた最後の力で私を連れてきたって訳ね?」
「平行世界でも無く、まったく別の空間、さらにその先の歪み、そこから産まれた世界を辿り、更にそこで見つけた人間を転生させるのは莫大な力が必要なのじゃ」
「んーストップ!難しすぎる!転生が複雑だって事は分かった!」
「じゃからリリア、単刀直入にすまんが魔族を倒しに出向いてくれぬか?」
「分かったわ、もう乗りかかった船よ!で、どうすればいいの?」
「そうじゃな、まずは仲間を集める事じゃな」
「なんとなく分かったわ、あと4人集めればいいって事ね?」
「フォッフォ、話が早いな」
「それぞれ東西南北に国がある、この森はその真ん中じゃ」
「平等に使う大地に今居るって事ね?」
「そうじゃ、じゃがな、国が干渉していないだけで、人が住まわぬ訳ではない」
「あ!さっき襲ってきた男達!?」
「見事に返り打ちにしてやったな、儂もスカッとしたわい」
「4つの国が交易してるって事は、それを狙う盗賊も居るって事ね、それで、おじさんは付いてきてくれるの?」
「フォッフォ、もう限界じゃ、儂はもうそろそろ死ぬ…」
「ちょ!?」
「後は任せたぞ、達者でな…」
神と名乗る老人は眩い光に包まれ、そして細かい光の粒となって消えた。
「なんなのよ、もう…」
リリアは涙声で呟いた、覆面からもその哀愁が漂ってくる。
「でも、こうなったら前に進むっきゃないわね!まずは…北を目指しましょ!」
リリアは足取り軽く再び歩みは進める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます