第2マッチ
辺り一面草木が生い茂り、少し先にはとても澄んだ綺麗な湖が。
そこに覆面を被り、プロレス衣装に身を包んだリリアが大の字で横になっている。
徐々に太陽が傾き、木の葉っぱの隙間から太陽の光がちょうど顔面に当たる。
「ん?んん?私寝てた?試合に負けて、そこから記憶ないや…てかここどこ!?」
リリアは片手を目に影が出来るように持っていき、起き上がる。
「誰かーー?誰か居ないのーーー!?もう、なんなのよここ」
そんな事を叫び呟き、とりあえず歩く。
ササッ
腰丈程あるだろう草がいきなり揺れる。
「ん?人の気配…すいませーーん!あのー!そこに居るんでしょー!?居ないのー?」
(チッ、気づかれてやがる、なんて洞察力だ、こうなったら仕方ねぇ、真っ向から行くぜ)
「お前ら出てこい!とっ捕まえてやるぞ!」
「え!?なになに!?!?」
その掛け声と同時に、見た目からして盗賊と思わしき男達が潜んでいた草むらから4人出てくる。
男達はナイフを片手にリリアを包囲した。
「あ!やっと人見つけた!すいませーん、ここどこですか?って、物騒なもん持ってるぅ!」
「は?何言ってんだこの女」
「金目のもん寄越しな、じゃないと殺してやる!」
「大人しくしといた方がいいよ?お嬢ちゃ~ん」
「その変な被り物も気に障るんだよ!」
男達はリリアに脅しとも取れる言葉を浴びせる。
「って、ちょ、話聞いてくれる雰囲気じゃなさそうね…一般人相手に手荒なマネはしたくないけど、あっちがその気ならしょうがないわね…」
「「オラァァァァァァ!」」
男達が一斉にリリアに襲い掛かる。
「ふんっ!」
リリアは軽々しく突き刺してくるナイフをかわす、かわす、かわす
そのままちょうど目の前に居た相手の手を掴み、無理やり引っ張るように自分の右側に立たせた。
「ラリアットぉーう!」
リリアがそう叫びながら渾身の一撃を相手の胸元目掛けて放つ。
ドゴォォォン!!
爆発音に似たような音を立たせながら、おおよそ何メートルだろうか?
少し遠く離れた木まで男が吹っ飛び、そのまま背中から叩きつけられた。
「グハァ」
「「…え?」」
真横をものすごい勢いで飛んで行った仲間を横目に、他の3人はただ茫然と立ち尽くす。
一方吹き飛ばされた男は相当なダメージを負ったようで、なんとか意識はあるものの、動けない。
「え?」
リリア本人も驚いた様子で立っていた。
「ご、ごめんごめん!まさかこんなに吹っ飛ぶと思わなかったの!てか、私でもビックリー、な、なにこのパワー!」
リリアは自分の両手を何度も裏表を返しながら見つめ直していた。
「な、舐めんじゃねーぞコラァ!!」
やっと正気を取り戻したであろう男の一人が両手を前に出し、何やら唱え始めた。
「喰らえッ!!レダケットライト!!」
男の目の前に白い魔法陣のような物が浮かび、そこから光線弾が放たれる。
「なに!?どゆこと!?…ワワワワ、キャーーー!」
ドカーンとこちらも爆発音が響き渡り、リリアの周辺には砂煙が舞い上がる。
「へっ…ちょっと本気出しすぎたか?」
「兄貴ィ、大技繰り出す時は言ってくださいよぉ」
「これはヤバいんじゃないっすかー?」
ヘラヘラと笑う男達の目の前の砂煙が段々と晴れてくる
ササ―っとひと風が吹き、煙が完全に晴れる。
そこにはポカーンとした表情を浮かべ、今起きた事は一体なんなんだろう?と上の空の様子で立つリリアの姿があった。
「そ、そんな馬鹿なッ!!確実に命中してた筈!!どういう事だ!?!?」
「あ、兄貴の魔法を喰らって、たたた、立っていた奴は居ねぇ!」
「け、消し灰になってもおかしくねぇのに!?」
男達は慌てふためいている
「う、うぅ、な、なんだアイツ…」
ついでに最初に吹き飛ばされた男もその様子を見ていた。
「な、何今の?あの男どんなトリック使ったのよ…」
リリアもやっと正気を取り戻し、表情がキリっと変わったように唯一露わになっている口元からうかがえた。
そして男達に向かい、リリアがこう叫んだ
「今度はこっちの番よ!!」
リリアは男達に向かって走り、まずは一人目を捉えた。
「ドロップキック!!」
リリアは走りこんだ助走を使い、そのまま両足から男目掛けて飛んだ。
「うわぁぁぁ!!」
断末魔と共に、男が吹き飛ばされた。
「次はアンタよ!」
視線がもう一人の男に向けられた
「ヒ、ヒぃ!?」
男はもうなすすべ無し、向かってくるリリアに対して歯をくいしばり身構えるしか無かった。
「オラァー!!」
リリアが男に向かって走りこみ、あともう少しの距離の所でピョイっと上に飛んだ。
そのまま男の真横に生えてる木の枝を両手で掴むと、そのまま一回転。
反動を利用して男目掛けて体を捻り後ろ向きに、右肘を顔の横に構えて、男の胸元辺りに飛び掛かった。
「エルボーーーー!!」
男は地面にめり込む勢いで倒れた。
「あんたが最後ね…」
リリアが唯一立っている男にそう告げる。
「か、勘弁して下さいぃぃぃ!」
男は仲間の元へ駆け寄り、一人ずつ無理やり起き上がらせそのまま森の彼方へ逃げていった。
ようやく辺りが静まり帰り、リリアがポツンと一人立っていた。
「にしても一体なんなの!?さっきの光線といい、私の馬鹿力といい、これは現実!?」
「フォッフォッフォ、やっと目覚めのたと思ったら凄い力じゃな」
白髭をたくわえ、杖をついた老人がどこからともなく現れ話しかけた。
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