第50話

後日、俺はスーリッツ王子に王冠を献上した。ベリルは政治犯として投獄されることになったが、命までは取られないらしい。それは、俺がベリルの命乞いをしたせいでもあった。


「全ての者を守る王になってください」


 俺は、幼い王子にそう語る。


 この王子にも、きっとそうなるだけの十分なものが父から残されていることを信じて。


 俺の父が、領地と愛人だけを残したように。

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父が残したのは領地と愛人でした 落花生 @rakkasei

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