第7話 冒険者ギルドへ

 翌日少し遅く冒険者ギルドにユリヤと共に行き、ユリヤが買い取りのガルダさんに相談する。

 

 「買い取りは冒険者登録してなくても出来るが、俺が言うのも何だが大分安く買い叩かれるぞ。ちょっとギルマスと相談して来るから待っててくれ」

 

 食堂でユリヤと待っていると、暇な冒険者達が周りに集まり煩い。

 

 「へえ妖精なんて初めて見たぜ」

 「話しには聞いた事が在ったが、本当に居るんだな」

 「イヤイヤ妖精って狂暴で有名だぞ。知らなかったのか」

 「こいつ攻撃して来ないのかな。大丈夫か」

 「でもこいつ貴族や金持ちに売れば高く売れそうじゃね」

 

 「お前等好き勝手言ってるが手を出すなよ」

 

 「おっお前独り占めして稼ぐつもりかよ」

 

 「ばーか、死にたくなければ手を出すなって話しだ」

 

 「ほうやる気か」

 

 《ユリヤ何か気配が変わったね》

 

 《お前を売るつもりの奴が居るのよ》

 

 《面白そうな話しだね。そいつに言ってよ捕まえられたら捕まえて好きにしろって》

 

 ユリヤが悪辣な顔でニヤリと笑ってるよ。

 話しは全部解っているが知らないふりは大事だね。

 

 「お前の考えはよーく解ってるよ。俺は別に独り占めする気はないからな、欲しい奴は勝手に捕まえたみろよ。但し身のあんぜ」

 

 <ウォー、寄越せ!、俺が先だ>

 周りの冒険者達の中の、目つきの悪い奴等が一斉に手を出して来たが雷撃魔法で弾き反す。

 5人が手を抱えて呻いている。

 

 「阿保だねー、話しは最後まで聞くもんだぜ。慌てるから痛い目をみるんだ」

 

 「てめぇ、もっと早く言え!」

 

 「欲に駆られて手を出す、お前が阿保なだけだ。文句を言われる筋合いは無いぞ。あっ良いことを教えてやるよ、妖精族に手を出して攻撃された奴は目印が付いているってよ。之から妖精族と出合って、いきなり攻撃されるのはそのせいだからな。見かけたら逃げろよ」

 

 掌に雷撃を浮かべて手を押さえている奴等を見回す。

 睨みつけてくる奴の鼻にさっきよりきつい雷撃を撃ち込む。

 

 <ギャーァ>凄んごい悲鳴をあげで吹き飛んだね。

  残りの4人を見ると慌てて後に下がり舌打ちして消える。

 

 「今見た通り、妖精族には手を出さない方が良いぜ。あいつ等は、身の安全は保障しないと言おうとしたのに、聞きもせず欲に駆られて手を出した報いだ。仲良くなればこいつと話も出来るぜ。因みにこいつは、ブラウンベアを鼻面に一発口に一発で倒したぜ」

 

 「おい、さっきの悲鳴は何だ?」

 

 「あーギルマス、ファルを捕まえようとした馬鹿が5人ばかり、返り討ちにあって悲鳴をあげたのさ」

 

 《オッスオッサン、俺は獲物じゃないと阿保に教えておいてよ》

 

 「オッサンオッサン言うな、俺はザラバスって名前だ! ちびっこ」

 

 「ギルマス頭の中で言わなくちゃファルには解らんよ」

 

 《かー面倒くせえ、オッサンじゃないザラバスだ、ちびっこ》

 

 《ファルだよオッサン、ちびっこじゃない》

 

 《はいはいファルちゃんね。で木の実を取って来るから買い取れと》

 

 《今持ってないけど、教えて呉れたら森の奥に行って探して来るよ。因みに今之を持ってる》

 

 クルプとクラプの実を並べる、他にも持ってるが少しづつ増やすつもり。

 買い取りのガルダが実を手に取りじっくりと見て、クルプとクラプの実だとギルマスに告げる。

 それを10個づつ並べるとギルマスが真剣なな顔で考えこんだ。

 

 《ファル妖精族が冒険者登録した事が無いので何とも言えんが、このギルドに持ってきたら正規の値段で買い取るぞ》

 

 《ありがとうザラバスのオッサン。俺は市場の樹の実を買いたいから木の実を探して来るけど、普通に採れる物は持って来ない。俺は森の奥にも行けるから人族に貴重な物を教えてくれたら探して見るよ》

 

 《解ったよファル、所でこのクルプとクラプの実11個づつ有るが売るかね》

 

 《いいよ売るよ》

 

 《あーと買い取りのガルダだ、話しが出来る様にしてやってくれ》

 

 「ガルダじっとしてろ直ぐ済むから」

 

 《ヤッホー聞こえるファルだよ。クルプもクラプも売るから買ってね》

 

 「おお凄いな頭の中で声がするぞ」

 

 「ガルダさん、返事は頭の中で考えて相手に伝えるんだよ」

 

 《むう~ぅこっこうか》

 

 《それ返事になってないよ。ガルダさんだよな》

 

 《おう・・・ガルダ・・だ》

 

 《ファルこっち来い》

 

 ギルマスに手招きされて行くと、受付カウンターのお姉ちゃんを手招きし呼び付けた。

 

 《ファルこいつにも話せる様に頼む。買い取ったら清算はこいつがするからな》

 

 硬直するお姉ちゃんの額に手を当てて魔力を合わせる。

 

 《お姉ちゃんファルだよ宜しくね》

 

 おーぉ、お目め真ん丸だよお姉ちゃんてば。

 

 「ぎギルマス頭の中で声が聞こえる」

 

 「それが妖精族の話し方だ、返事は頭の中で考えて答えろ。口で言っても通じないからな」

 

 《・・・ファル・・ちゃん・・ね》

 

 《そんなに固くならなくても大丈夫、噛み付いたりしないから安心して》

 

 <ブーフヮッハッハッハッ>

 ギルマス腹を抱えて笑っていやがる、尻に軽く雷撃を呉れてやろうかしら。

 

 《ファル・・クラプの実が・・11個で33万ダーラ。クルプの・・実が11万ダーラだ・・・解るかな》

 

 《解るよ44万ダーラね、4万ダーラを銅貨で残りを銀貨で貰えるかな》

 

 ガルダのオッサン考えて喋るのに疲れたのか受付のお姉ちゃんを指差して紙きれを呉れた。

 オッサン大汗かいてるぞ。

 

 紙きれを受付のお姉ちゃんに渡す。

 

 《お姉ちゃん4万ダーラを銅貨で貰えるかな。残りは銀貨でお願いね》

 

 ウンウン頷いて銅貨40枚銀貨40枚を並べて呉れた。

 

 空間収納にしまってお姉ちゃんに礼を言ってユリヤのもとに行きお礼にクラプの実を二つ渡す。

 

 《いいのかお前の稼ぎにすれば良いのに》

 

 《今日のお礼だよ気にしないで。欲しければ幾らでも取って来れるから》

 

 《もう少し付き合って、ガルダのオッサンに珍しい木の実の見本か絵が有れば見せてくれる様に言ってよ。本など出されたら俺持てないもの》

 

 ユリヤの交渉でギルドの資料庫の薬草果実図鑑み見せて貰える事になった。

 ページをめくる係はユリヤだ、何せ紙質は悪いし図鑑がでかくて手に負えないもんね。

 

 雑な絵と解説にもならない文字の羅列をユリヤに読んで貰う。

 (読めるけど知らないふりは気を使うし疲れる)

 読んでいるユリヤが、何だこの訳の解らん文章はと匙を投げたね。

 採取場所、季節、草丈、特徴、実の形、大きさ、花の色、葉の形、一切まともな記述が無い。

 

 解るよ飯の種は他人に教えたくない、自分だけの秘密の場所だって事はね。

 でも記録に残すなら、多少の手掛かりくらいは書けよ!

 

 《ユリヤ薬師ギルドって在ったよな、薬になる草木の実を買い取ってくれるかな》

 

 《良く知ってるな》

 

 《はん市場は果実だけを売ってるんじゃないよ、情報の宝庫だね》

 

 《解ったよファル行ってみるか》

 

 薬師ギルドはこじんまりした建物で中も受付と買い取りカウンターの他は椅子が疎らに置いてあるだけだった。

 こりゃー期待薄だと思ったが餅は餅屋と言うから聞いてみた。

 流石餅屋、草餅の・・・違った薬草の見本(ドライフラワー)や種、採取場所、季節等以外に細かく記されていた。

 別に草木の実の図鑑もあった、これこれ之が見たかったんだよね。

 

 受付のおばちゃんと話しが出来る様にして聞いてみた。

 

 《草木の実や薬草の採取、全部冒険者ギルドに依頼してるの》

 

 《此処に直接持って来る人もいるよ。貴重種は冒険者ギルドの方が高く買ってくれるからね》

 

 《えっどうしてなの》

 

 《冒険者ギルドは、貴重種が採取されるとオークションに掛けるから高いのさ。薬師ギルドは普段使う薬草や草木の実は逸れなりの値で買い取るよ》

 

 成るほどね、手広くやってる冒険者ギルドは逸れだけ客数が多く、オークションを開いても客が集まり成立するのか。

 

 一つ貴重な情報が手に入った、俺達が美味いと思う実は人族も美味いらしい。

 不味い苦い毒の有る物には、薬用果実になる物がそこそこあった。

 問題は大きさで俺達妖精族に丁度良い大きさの物は、人族は小さくて食べ辛いし興味も無い様だ。

 人族が食べられる大きさの美味しい実か、不味い実を集めて持って来れば、仕分けてくれるので適当に集める事にした。

 

 ユリヤに礼を言って、キュラパパミュルママの待つお家に帰る。

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