〜パンをきな粉で洗うギャンブル 中編〜

 裕二が追放となり、残り4名となったこのゲーム。勝負は更に修羅場と化す。

[ア]「それでは、カードをお配りします。」

 直後、優と舞は、自身の数字に嫌気がさす。

[優](…24か。これはマズイぞ。)

[舞](あちゃ〜25か。やっちゃったな…。)

 2人とも21を超えてしまっていた。その場合のバトルは、更にカオス混沌を極めることとなる。

[ア]「では、上野舞さん、品川優さん、この2名に関して、21を超えてしまっています。よって、第5回戦では、指名者含めた3人で執り行います。それでは、数字の大きい、上野舞さん、指名する人を選んでください。」

[舞](ま、私だよね…。この場合、選ばない方はカードをドローしないと言うことね。とすれば…。)「柚希、行くよ。」

[柚]「げ…俺かぁ…。」

[ア]「それでは、第5回戦、開始。」

 3人は空間転移をされ、戦闘態勢をとる。動きが早かったのは舞だった。

[ラピッドサンシャイン]

[柚][優]「ウグ…!?」

 開始直後に不意打ちに用いられる閃光魔法。耐えがたい閃光が、いきなり2人を包む。柚希はパニックとなったが、優は冷静に分析。

[優](チ…目くらましか!)

 優の予想は正しく、早くも柚希の敗北の叫びが聞こえる。

[柚]「ちょ、なになにギャア!」

[舞]「悪いね。これも勝負なんだよね。」

[優]「全くそのとおりだ。舞さんよぉ。」

 その予想は、舞の動きも把握するレベルに、鋭かった。 

[舞](優!?)

 壮絶な横薙ぎのキックをする優。しかし、舞とて経験者。ギリギリのラインでバク転し、避けた。

[舞]「女の子に中々エゲツないことするねぇ…。」

[優]「…ん?お前女の行動してないだろ。アホオタク。」

[舞]「はいしばく。」

 優の煽りに、舞は論破の暴論とともに、舞の持つ最大級の魔法を放つ。

[舞]「あんただって、オタクでしょおおおが!」

[ロイヤルメテオ]

 しかし、そんな渾身の魔法は、ブーメランとして終わる。

[リフレクター]

[舞]「…はい?」

 轟音とともに、舞は消し炭同然の威力の魔法を浴びた。この空間が、ギャグ補正のごとく復活するので良いが、本来なら溜まったもんじゃない。

[ア]「第5回戦、品川優さんの勝利となります。それでは、目黒柚希さんは、上野舞さんのを、上野舞さんは、品川優さんのをドローしてください。」

 ドロー後、あの音がまた鳴り響く。

[ア]「ただいまのドローにおきまして、上野舞さんの手札が21となりました。これより特別戦を開始します。横浜未来さんをお呼びします。」

[優]「げ、マジか。ドローで成り立ちやがった。」

[柚]「仕留めるぞ優。じゃないと俺の手札がやばい。」

[舞]「絶対逃げきるからね。」

[未]「おおまいっち。21なのかぁ。潰したるわぁこのやろぉ!」

 こうして殺意マシマシ(特に未来が血気盛ん)な21点争いが始まる。

[クイックフット]

 舞は始める直後、速度上昇の魔法を自身に使った。この魔法は、脚の力を増大させることによる、ランニングスピード上昇、更には疲労軽減させる効果も持つ。

[未]「ま、そう簡単に攻撃させてくれないね。」

[優]「あ、ごめん。2人共伏せてくんね?」

[柚]「は?伏せるってどゆk」

[インフィニティレボリューション]

[未]「げ、それって…まさか…。」

[舞]「うわ、その技来るのか。」

 そのまさかである。未来にむけて使用した、大技である。舞は必死に黒い圧力を避けるも、あまりにも範囲が大きすぎる故、舞と未来は倒れた。未来は巻き込まれてしまったのだ。ちなみに、この特別戦でも、蹴落としは通用する。

[ア]「品川優さんの攻撃により、上野舞さん、横浜未来さんの敗北となります。お二人は品川優さん、目黒柚希さんの手札をドローしてください。」

[柚]「俺何もしとらんやんけ。」

 そしてドローの結果、戦場の様子は大きく傾く。

[ア]「このドローにおきまして、上野舞さんが32、横浜未来さんが22となりました。お二方は失格、上野舞さんは第4位、横浜未来さんは第3位となります。」

[舞]「いやこれは無理だってえええ!!」

[未]「とばっちりの攻撃かつ数字ギリアウトとか解せねえええ!!!」

 2つの断末魔は、声主の消滅とともに、虚空へと消えた。こうして残されたのは、優と柚希である。

[ア]「それではカードを配布します。」

 しかし、ここでとんでもないことが巻き起こることとなる。

[ア]「ただいまのカード配布におきまして、両者が21点となりました。」

[優]「…。」

[柚]「うお…そんなことあるのか…。」

[ア]「これより、サドンデス戦を行います。今試合、最後の戦いとなります。」

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