ボクは人知れずキミを救う者だ
ボクは人知れずキミを救う者だ 001
ボクは子供のころから誰にも秘密のチカラを持っている。
自分の命と引き換えに、奇跡を起こせるチカラだ。
ただし使うとボクの存在は消されてしまい、皆から忘れ去られる定めだ。
それが使えるのは一度だけ。まだ使ったことはない。
もし使ったことがあったら、ボクはもう消えてるはずだから、未経験なのは当たり前。
いつそのチカラを使うのかと、ドキドキしながら生きてきたけど、最近はもうあんまり思い出すこともない。
ボクは大人になり、もうあまり夢も見ない。
学校では普通。会社でも普通。それのちょっと下の方かもしれないけど、自分では満足してる。
満足はしてない。でももう、諦めてるというか。どうでもいい。考えるのに疲れた。
恋人いない歴=年齢。それももう別に、それでいいかな。面倒くさい。
そう思ってたけど、奇跡って起きるんだな。ボクには彼女ができた。
いやまだ、できそう、と言ったほうがいいかな。毎朝同じバス停から乗ってくる、職場の同僚の女の子と、すごく気が合う。
何がどうって言えないけど、話していると楽しいし、目があうと彼女は嬉しそうに微笑んでくれる。
こんなことってあるんだな。
まさかこれが、ボクの存在と引き換えに起こした奇跡じゃないといいんだけどなと、ここ数日ずっと思ってる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます