Notebook: page 007

 紙とインクが必要だ。

 私はレストランを出て、閉店間際まぎわの文具店に飛び込み、手持ちの万年筆に合うインクと、念のためノートの予備も買った。

 それから空室のあったホテルに急いで宿を取り、部屋に着くなり机に向かってノートを開いた。

 時計を見ると、夜八時を過ぎている。私の時間はあと十九時間だ。

 十九時間もあれば、私は多くのことを書き残せるだろう。どうせ、書くべき記憶も、そう沢山あるわけではないのだ。

 ノートを開き、新しいページに私はペン先をおろした。

 今日から始まる、私の記憶をたくすノートに、ありったけの想いと出来事をつづるために。



END

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