第136話 新しいダンジョン同盟
エルザがセバスに呼ばれた。天使降臨の時の経験値分配と、この機会に行われるブラッシュアップのためである。仕事があるので安息日二日だけである。
最初にアリアから魔法陣を背中に刺青される。刺青は完成すると透明化して見えなくなる。ジュリアスが見学。チーム共有スキルで内容はレベル合計15。
「アリア。やる気出してくれたの。すごいわ。何かあったの?」
「ジュリアスに古代魔法の魔法陣教えたくてね。まあちょっとやる気出したら予定よりスキル個数が増えた」
「自分の魔力つかわないでいいの」
「魔石を携帯すればそれで大丈夫。それを忘れたら自分の魔力を使うことになる」
「それ以外気を付けることは?」
「全部自動だから、何もない」
刺青されたチーム共有スキル。かなり強力である。
念話レベル2 表計算レベル1 カード型記憶レベル1
センサー(ライト版) ドラゴンブレス(1%)
吹き矢(魔法矢) 偽装レベル2 竜の咆哮レベル1
マジックバッグ(大 時間停止) 限界突破
身体強化レベル1 毒耐性レベル1 リテラシーレベル1
センサーライト版がチーム共有スキルになっている。エルザの場合は、センサー(フル)があるが、一人一人にカスタマイズできないのでこうなっている。被っている能力は幾分強化されるらしい。
マジックバッグはスキル化して、どんなバッグでも、あるいは指輪などのアクセサリーでも使用できるようになった。容量はかなり大きいとしか分かっていない。しかもこのマジックバッグは使用すれば成長する。
ドラゴンブレス(1%)と吹き矢(魔法矢)の組み合わせは、吹き矢の矢を携帯するのが面倒だった。この矢を魔力で代用する。メイン武器ではないので非常時に有用だろう。初見殺しになりうるスキルだ。
ドラゴン由来のスキルでは竜の咆哮も便利かもしれない。威圧の上位互換スキルだ。あとは偽装もレベル2でつけてくれた。リテラシーや身体強化、毒耐性もあって困るものではない。同じように被った能力は強化されるから、リリエスのお茶を飲んできた人は、毒耐性はさらに強化される。
特筆すべきは限界突破でスキルがカンストしてもさらにレベルアップする。すぐ効果が出たのが生活3魔法だ。生活3魔法は経験値がたまっても、決まった効果以上にならないように限界が設けられていた。
エルザの場合、限界突破によって着火は火魔法レベル1に。飲水は水魔法レベル1。エルザはキュアの状態異常回復を覚えていた。そしてクリーンはヒールのレベルを1つ上げてくれた。生活3魔法から派生した魔法はスキル数の制限を受けないらしい。
エルザは少し焦っていた。自分自身の能力の上りかたが遅いと感じていた。勤務もあるし、空いた時間は育成に使って来た。自分の能力への投資ができていなかった。
客観的に見るとエルザは普通に成長していた。特別に早いわけではないが。セバスの提案はセンサー(フル)スキルと鑑定、暗殺術、指揮スキルの統合訓練だ。将来的に統合スキルになると、スキル数の制限が軽減される可能性が高い。まだセバスの仮説だが。
エルザは積極的に受け入れた。気配察知だけがパッシブスキルで、敵を察知すると同時に、アクティブな戦場モードに変更される。実践訓練が有効だった。気配遮断を精密化して隠密スキルにする。投擲の精度を上げる。細剣術のレベル上げ。吹き矢や火魔法など攻撃の可能性を広げる訓練。細部の調整が主体だ。
能力値だけ見れば、敏捷特化のB級の下の冒険者相当である。実際の冒険者ランクはCであるがこれは目立たないためにあえて上げていない。
攻撃力は高くないが手数が多い。役割はシークかアサシン。しかしスキルがすさまじい。遭遇したとたん感知され、自動で鑑定される。同時にエルザ自身の気配が消える。
敵から見ればどこからともなくレイピアか吹き矢、あるいは投擲で攻撃される。しかも自分のスキルは強奪で奪われる。
集団で攻めた場合は投げダンでどっか知らないダンジョンに持っていかれておしまいだ。小技もできる。統合されてここには出ていないが、毒を塗ったマキビシや、手裏剣が得意だ。チームの指揮もできる。味方にエルザがいれば頼もしいこと限りがない。
ドライアドのダンジョン。ダンジョン転移の定員は10名だった。もうオーバーしていた。今はリビーとその家族、レニーには外れてもらっている。必要な時は付き添えば一人は同行できる。しかしめんどくさくて、もう限界だった。追加でもう一つのダンジョンをダンジョン同盟に申請するべきなのだろうか。
エルザは迷っていた。お金が惜しいのではない。月10万チコリは得られるメリットを考えたら高くない。それだからこそドライアドを信用しきれない。何かあった時に誰も知らない場所に隠れられたらいい。エルザも圧倒的なカリクガルの力を怖れていた。
新しい仲間、リビーとその家族、レニーは、ケリー達の復讐に協力するが、直接参加はしない。サイスやジュリアスと同じである。彼等だけでも隠せる場所が欲しかった。
隠れ場所としてダンジョンの中は最適だった。DPがあれば快適な生活ができるし、だれにも知られない。もダンジョンコアはどうする。ダンジョンコアはセバスが自分をコピーしてくれるという。とてもありがたい。方針が決まってこの日は終わり。
エルザは次の安息日までに小さな野良のダンジョンを二つ攻略していた。リングルのブルーハウスの庭に新しいダンジョンができた。そこにイエローハウスのダンジョンを全部コピーした。プールや乗馬場まで。
ものすごくDPがかかったが、セバスは太っ腹だった。エルザはチームのみんなに呼び掛けた。野良ダンジョンがあったら教えてほしい。自分たちのダンジョン同盟を作るからと。世界各地に同盟ダンジョンを作る。チーム以外には知られないように。
さて次の安息日。エルザは最終調整を経て、天使降臨の経験値分配を得た。さらに能力値スクロールで5%アップ。鑑定がレベル2になった。いよいよ進化の実を食べる。能力値は1.25倍になる。
【名前】 エルザ
【人種】 ハーフケットシー
【職業】 ギルド職員 ダンジョンマスター
【年齢】 21歳
【HP】 139/139
【MP】 121/121
【攻撃力】 94
【防御力】 98
【知力】 148
【敏捷】 197
【器用さ】 129
【運】 119
【ギフトスキル】 鑑定レベル2
【統合スキル】 センサー(フル) 総合暗殺術レベル2
【武技】 細剣術レベル5
【魔法】 ヒールレベル4(3+1)
水魔法(キュア)レベル1 火魔法レベル1
【その他】 身体強化レベル3(2+1)
スキル強奪レベル1 指揮レベル1
若手のエース。しかしエルザの能力値を1.5倍しても、たしかにカリクガルには対抗できない。
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