第3話 転生
気が付くとそこは闇だった。辺り一面が闇に覆われている。地面の感触がしない。それのせいで自分がどこにいるのか、立っているのかさえ分からない。もしかしたら、浮いているかも。この場所では五感さえもあてにはならなかった。そんな感覚から恐怖を感じ始めた。その時、
「よぉう。」
いきなり声を掛けられる。驚いて辺りを見渡しても誰もいない。
「見えてないみたいだな。まぁ、俺からは見えてるけどよ。」
また声を掛けられる。声の主はおそらく男性だろう。
「おまえ、自分が誰か、自分がどうなったか覚えているか?」
俺?俺は只野 仁。覚えてる最後の記憶は確か、俺は子供を助けた後トラックに引かれてそれから…それから俺はどうなった?
「死んだんだよ、お前は。」
希望はすぐに断たれた。もしかしたら、ここは俺の頭の中で今、外では医者達が必死に俺を助けようとしてくれてるのではないのかと、そう思ったのに。
「そんな死んじまった可哀想なお前に、優しい俺から素敵な提案がある。」
提案?
「ああ、お前、生き返りたくはないか?」
そんなことできるのか?
「ああ、出来る。ま、厳密に言うとお前が生きていた世界とは違う世界、異世界に転生させてやるよ。どうする?俺の提案を受けるか?」
「…お前はヒーローになりたいんだろ?」
なれるのか!!ヒーローに!!俺は…俺はヒーローになりたい!!
「決まりだな。」
ああ、俺を生き返らせてくれ!!
「分かった。じゃあな、転生先で第二の人生を楽しむんだな。」
ああ、ありがとう!!
仁が消えた後、声の主は一人笑う。
「ハッハッハッハッハ、せいぜい俺の為に頑張ってくれよ。“ヒーロー”さんよぉ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます