第2話 愛されたものから、愛されるものへ

―三か月後―

(あ…蓮井…)

「あ、風間君。おはよう」

「はよ」

(かれん…俺の事、恨むだろうな…)



風間は、かれんが自殺する一か月前辺りから、隣のクラスの蓮井智やすいともが気になっていた。委員会がずっと一緒で、かれんを好きな裏に智の影が、見え始めた頃だった。


しかし、こんなことバレれば、かれんを自殺に追い込んだのは自分だと思われてしまう。

それが、怖かった。



もちろん、かれんにそんな事は言わなかったし、大事に大事にしてきた。

…つもりだった…。


(もしかして…解ってたのかな…。俺の優しさが嘘だったこと…本当はもう俺の中にかれんが消えかかってたって事…)



そう思ったら、自宅の部屋で号泣するしかなかった。



すると、





[ねぇ、まだ気付いてないの?私が死んだ訳]




ベッドの端っこに座って、話しかけてきたのは、





かれんだった。




「うわぁ!!!」

と風間は腰を抜かした。



[…違うの。違うんだよ]

腰を抜かしたままの風間に、



「か…れん?マジでかれん?」


[うん]


「聴いて良い?なんで死んだの?なんで…やっぱり俺が…」



[そうよ。夏輝なつきが蓮井さんに惹かれてるのは解ってた]



「やっぱり…やっぱり…かれんが自殺したのは…俺の…」



[ううん。違うの。違うんだよ。私は二人の邪魔になりたくなかったの。夏輝は優しいから、私に別れを言い出せないでしょう?…私は辛いから一緒に居たくなかった。好きな人だから、好きな人と一緒になって欲しかった。それだけ]



「俺…の為?」

[そうだよ]

「なんで…っ、なんで…死ななくでもそんな事言えるだろう?俺は、もう少しで二俣かけてたかも…」



[そんな事しないよ。夏輝は…、夏輝は両方を諦めたんじゃない?]



そうかも知れない…。



夏輝は、見抜かれていた事に只々涙しか出なかった。



[私はあなたのはもう要らない]



「かれん…」


[そう。あなたのはもうぜ―――――んぶ要らない]


「かれん…」


[その好きは、蓮井さんにあげて。迷わなくて良いの。幸せになってね]




私にくれたたった一つの愛がまた違った人を愛せます様に…。



そう、願いながら、二度と逢えない愛おしい人の背中を押した。

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