あなたはあなたの幸せを見つめて。あなたはそんな場所に縛られないで。幸せになってね。
涼
第1話 謎の死
夏休みが終わった九月一日、いつまでも起きてこないかれんを心配して、母親がかれんの部屋に入ると、
「かれん!かれん!お父さん!かれんが…!かれんが!!!」
悲鳴をあげる母親。
突然大声で呼ばれた父親が部屋の扉を全開きすると、かれんは首をつって死んでいた。
かれんは優しくて、責任感があって、いつも笑って、勉強だって出来て…。
何故、死を選んだのか…それは誰にも解らなかった。
すぐには気づかなかったが、かれんの机の上に、遺書があった。
『ごめんね。お父さん、お母さん。私、天使になるから、死なないよ。ちょっと遠くへ行くだけ。行ってきます』
泣き崩れる二人。
「かれん…どうして…」
葬式にはクラスメイトが全員参列し、みんな悲しみに包まれていた。男子も女子も、泣いてない人は誰もいなかった。
「
「…うぅ…ごめんね。おばさん、私全気付いてあげられなかった…ごめんなさい」
「そう…なら良いの。今日は来てくれてありがとね」
「あ、もう一つだけ。あの子の遺書に、『天使になるから、死なないよ。ちょっと遠くへ行くだけ。行ってきます』って書いてあったんだけど、天使とか死なないとかよくわからない遺書でね。あの子、まだ生きてるんじゃ…」
母の千尋は動揺を何日も何日も鎮まらせることが出来ず、誰彼構わず聴いて回っていた。
「やめないか!
父親、
「
「何だろう…?なんでかな?俺何かしたかな?俺のせいかな?なんで…なんで…」
風間は昨年からかれんと付き合っていた。
「ごめんね、あなたは悪くないわ。あの子、死ぬ前日まであなたからの電話、待ってたのよ?あなたは、きっとかれんの支えだったと思うわ」
「すみません…お母さん…本当にすみませ…」
風間は、息も絶え絶えに、かれんの母親、千尋に謝った。
そして、かれんの死は、謎だけを残して、過ぎ去った。
【なんでなの?かれん…】
それが誰にも解らなかった。
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