最期の戦い③

 俺が目覚めるとウォールが吹き飛ばされていた。

 俺に覆いかぶさるようにエムルが抱き着き、血を流している。


 俺は立ち上がってシュテンキに斬りかかった。


「しぶといゴミムシが!ブレイブタイム!」


「メギド!キャンプファイア!キャンプファイア!キャンプファイア!」

「きゅううううううううううううう!!!」


 俺ときゅうがクサナギに炎を込める。



「ははははは!狂ったか!炎の攻撃は効かない!」


 クサナギに炎を吸わせたことで、俺は炎をまとった。

 これがクサナギの完全体だ。

 速度を上げてブレイブタイムに対抗する。


 俺は炎の斬撃でシュテンキを吹き飛ばした。


 皆から離れ、シュテンキと俺が打ち合う。

 俺の斬撃がシュテンキの頬をわずかに傷つけた。


「馬鹿な!炎は効かないはずだ!」

「クサナギの能力は炎の攻撃だけじゃない。クサナギの攻撃力を上げる使い方もある」


「ぐう!」

「そろそろブレイブタイムも切れる」


 俺はシュテンキのブレイブタイムが切れた瞬間、何度もシュテンキに斬撃を打ち込んだ。

 シュテンキは勇者のオーラに守られ、少しずつしか傷がつかない。

 何度も斬りつけた。


 何度も何度も何度も何度も連撃を雨のように浴びせる。


「かはあ!俺は、神!俺だけが完全に完成された神だ!」


 シュテンキの体から黒い光が放たれる。

 まるで名前持ちの二段階目だ。

 俺はすぐに4人の状態を確認する。

 セイラだけ意識がある。


「セイラ!!!!全員でここを出ろ!切り札を使う!巻き込まれないように外に出てくれ!!!すぐにだ!!!」


 セイラは3人を運んで外に出て行く。


「カムイ、おまえに切り札は無い。この異界に俺を封じ込めたいだけだ。お前の考えは分かっている」

「お前、もう神じゃないだろ。ただの名前持ちの魔物だ」

「話を逸らすなあああああ!!」


 俺とシュテンキは斬り合った。

 シュテンキはブレイブタイムを使えず、俺の炎も消えた。

 威力の欠ける斬撃をお互いが繰り出し、削り合う。



 ◇



 お互いが少しずつ疲弊し、動きは悪くなるが、この異界は魔力が豊富だ。

 お互いが苦しみながらどちらも死にきれず魔力で体を回復させる。


 どのくらい時間が経ったか分からない。


 いや、24時間か。


 俺はメギドを2発クサナギにチャージした。

 最後の力を振り絞るように全力でシュテンキを斬り刻む。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「舐めるなああ!!!!!!!!!!!!!」


 シュテンキの動きが止まった。

 シュテンキが倒れると同時に、シュテンキから黒い霧が出てくる。


「俺は滅びない!俺は名前持ちも神も超越した!その証拠がこれだ!二段階目で倒れても俺は死なない!ははははは!ふははははははははははは!また蘇る俺は不滅だ」


「神滅の業火!!」

「ぐああああああああああああああああああああああああああ!」


「魂すら焼き尽くす業火だ。炎の耐性が消えていたようで良かった」

「貴様ああああ許さん!この異界に閉じ込めてやる!!お前はここで一生孤独に過ごす!!!」


 異界の門が閉じられ、俺は閉じ込められた。




 ◇




【セイラ視点】


 私が引きずるようにみんなを外に出すと、すぐに手当てを受けた。

 皆命は無事だった。


 エムルもルナも回復した。


 ウォールは危ない状態だった。

 意識は戻ったが、両腕には呪いが刻まれ、解呪出来なかった。

 ウォールの両腕は動かなくなったのだ。


 私は目を覚ますとずっと異界の門の前にいた。

 異界の門が閉じられても、私はそこに居た。


 人が減り、私と、ルナと、エムルだけが魔の森に残る。


 何日待ってもウインは帰ってこない。

 

 何カ月経ってもウインは帰ってこない。


 そして1年が経ち、ウインは戻ってこなかった。




 









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