最期の戦い②

 俺達は5人で異界の門をくぐる。


 生きている者は無く、六角形の床が地面に広がっていた。

 景色は紫で、空なのかどうかも分からない。


「ウイン」

「ん?」

「もし、シュテンキが寝ていたら俺は騎士道を破ってでも不意打ちをする」

「いいと思うけど、そんなうまくいかないだろうな」


「その通りだ」


 そこにはシュテンキが立っていた。

 見た目はゴブリン化する前のブレイブに似ている。


「シュテンキ、異界の門を閉じてくれないか?」

「閉じる。お前を殺してな」


「シュテンキの固有スキルは虚言の勇者ですわ!3回嘘を本当に出来る力と勇者の力を併せ持っています!!」


「うるさい奴だ。ブレイブタイム!ファイナススラッシュ!」


 俺達5人は吹き飛ばされた。

 俺以外が地面に転がる。


「ははははは!これで1対1だ!いや、おまえの中にベリーが居る。ありがたく思えよ!1対2で戦ってやる!」


「シュテンキいいいい!メギド!」

「炎は効かない!」


 シュテンキの虚言の力が発動する。

 シュテンキが炎に包まれながら笑う。


「効かない!俺の力で炎の耐性を持った!お前を殺すまで効果は続く!もう炎は効かない!お前の炎も!ベリーの炎も効かない!ブレイブタイムでなぶりごろす!」


 俺とシュテンキは剣で打ち合った。

 ブレイブタイムの力に押されて俺は傷ついて行く。


「カムイ!勇者である俺には勝てない!お前のスキルはただのキャンプだ!炎は効かない!力も弱い!俺に勝てる要素はない!また俺に殺される運命だ!」


「ブレイブタイムが、切れたな」

「ああ、そうだな。虚言!『俺は完全回復する』これでまた振出しに戻った。ボロボロのお前に二回目は防げない」


 シュテンキが剣を構えた。


「ブレイブタイム!」


 動きの鈍った俺を何度も剣で叩きつけるように攻撃した。

 そして俺は剣で吹き飛ばされた。


「隙が出来たな!ファイナススラッシュ!」


 シュテンキの斬撃で俺は意識を失った。




 ◇




【ウォール視点】


 シュテンキの最初のファイナルスラッシュで俺達は吹き飛ばされたが、俺だけは意識を保っていた。

 気配を消し、全員を回復させた。


 だが、シュテンキは完全回復して2発目のファイナルスラッシュをウインに直撃させた。

 ウインが倒れている。


「俺が前に出る!後は頼んだ!」


 エムルとルナがウインの元に走った。

 

 俺はシュテンキに突撃した。

 セイラも遅れて走り、竜化してシュテンキに突撃する。


「うおおおおおおおおおおおお!!」


 俺はシュテンキに3回斬りつけられた。

 地面に倒れる。


「雑魚が、神である俺がブレイブタイムを使っている。勝てると思ったのか?」


 セイラがコールドブレスを連射する。


「お前もうるさい」


 シュテンキがブレス攻撃を躱して何度もセイラを斬りつける。

 セイラの変身が解除されると、セイラを袈裟斬りにした。

 セイラが倒れ、動かなくなる。


「狙いはカムイの回復か。アイススラッシュ!」


 ルナがアイススラッシュに合わせて剣を振り、アイススラッシュを消し去った。


「魔眼持ちか、アイススラッシュ!アイススラッシュ!」


 ルナが連撃で倒れる。


「見えていても連撃に体が追い付けないだろ?」


 シュテンキがウインを回復させるエムルに歩いて近づく。


 意識はあるが体が動かない。

 動け!動け!


 エムルの体を剣で突き刺す。

 エムルが血を流しながらウインを回復させる。

 シュテンキがイラついた顔をして剣を振りかぶる。


 うご、け!


『剛力スキルを進化します』


『失敗しました』


『剛力スキルを%$#に進化します』


『失敗しました』


 動けえええ!!


 もう俺はどうなってもいい!


 今だけでいい!


 今だけ動けばどうなっても構わん!!


『剛力スキルを代償%$#に進化します』

『剛力スキルを代償%$#に進化します』

『剛力スキルを代償%$#に進化します』

『剛力スキルを代償%$#に進化します』


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 体から血が噴き出す。


 時間の動きが遅くなる。


『剛力スキルが進化しました』


『新固有スキル、代償の狂化を発動します』


 一気に走った。

 シュテンキが驚いたように俺振り返る。


 俺はシュテンキの右腕をエクスカリバーで切り落とした。

 更に胴に向かって横なぎを放つ。


「虚言!俺は完全回復するううううううう。ファイナルスラッシュ!!!!」


 俺は吹き飛ばされた。

 あと少し、あと、すこ……


 俺の意識は消えた。







 あとがき


 新作投稿します


 『ゲーム序盤で死ぬモブ炎使いに転生したので、主人公に先回りしてイベントをクリアしたらヒロインが俺について来た』


 皆さまよろしくお願いします。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る