ちょっと休憩
俺達は魔物を狩りつつディアブロ王国に到着した。
今は交易路が完成していない。
魔物狩りと同時進行で定期的に交易の為にディアブロ王国とアーサー王国を往復する必要があった。
ディアブロ王国に魔物の肉や木を届けると、対価として沢山の鉱石や魔道具などをもらった。
ベリーは興味津々で魔族の町を見ていたが、痩せた街の人間を見て、魔族の飢餓問題に気がつく。
ウインの働きによって、餓死者の数は減っていたが、いまだ、瘦せこけた人間が多いのだ。
「だからウインは魔物の肉やアーサー王国の穀物を届けているのね」
ベリーは納得したような顔をしていた。
「そうなんだ!ウインは両国の英雄なんだよ!これからもっと有名になっていくよ!」
「この街で一泊して休むか」
一泊するのは、ベリーの疲労がたまっていたからだ。
「私は休まなくても大丈夫よ」
「うーん?そうか?疲れているように見える」
「修行しているんだから、普通よ」
「そうか。それなら、アーサー王国に向けて出発しよう」
ベリーは基本真面目で頑張り屋さんだ。
これ以上言っても聞かないだろう。
俺たちは、魔物を倒しつつ、木も回収しながらアーサー王国へと向かう。
「今日泊まるキャンプハウスは豪華にする」
俺はキャンプハウスのスキルを使い、魔力を消費することで、ログハウスを作ることが出来る。
ただ、今までは魔力節約の為狭いログハウスしか作らなかったのだ。
だが今回は魔力をふんだんに使い、ログハウスを作る。
目的は、ベリーを休ませるためだ。
特に風呂とサウナにはこだわった。
ベリーは風呂好きなのだ。
ログハウスに入るとベリーは、はしゃいで2階へと向かう。
エムルは納得したようにうなずいた後、メイドの格好に着替えて戻ってきた。
ベリーが椅子に座ると、俺はストレージからケーキを取り出した。
エムルはベリーと俺にケーキを切り分け、二人に配っていくが、エムルは、胸が俺に当たるギリギリの所まで不必要に近づいてメイドをする。
後、いつもよりエムルのスカートが舞い上がる回数が多かった気がする。ワザとやってないか?
それ以外は完璧な仕事ぶりだった。
ベリーはご機嫌でケーキを食べる。
さらに風呂を勧めてゆっくりしてもらう。
完璧な休息プランだ。
「エムル、次風呂に入ってきて良いぞ」
「僕は後で良いのさ」
「そうか、俺が次に入って来る」
そう言って風呂に入ると、エムルが何事もなかったように中に入ってきた。
「お前!なんで今入ってきた!」
「文化の違いが出てしまったね」
そう言ってエムルはほほ笑む。
だが俺は知っている。エムルの言う文化の違いは大体嘘だ。
俺は無言で風呂から出ようとするが、エムルに抱き着かれた。
「もう少し一緒に居ても良いじゃないか!僕はベリーとウインの仲を深める為ずっと我慢していたんだ!!ご褒美を要求するよ!!!僕だってベリーに回復魔法をかけて協力してきたんだ!!ご褒美があっても良いはずなんだよ!!」
急に大きい声を出してくる。
こう言う所がエムルの怖さだ。
俺はしぶしぶ、エムルの頭をなでて済ませようとした。
「待ってくれないか!君は僕の頭をなでてすませようとしていないかい?」
「そうだけど?」
「君は良くないよ!そういうのは良くないんだ!くっころ女騎士のベリーならそれで喜ぶご褒美だよ!でも僕は違うご褒美を要求するよ!もっとハードなプレイをお願いしたいんだ!」
「なんだよ!ハードってなんだよ!」
そこにベリーが入ってきた。
「エムル!何やってるのよ!」
「ベリー、お風呂に入るならまず服を脱ぐべきだよ!」
「そう言う話じゃないでしょ!ウインがお風呂に入ってるのになんでエムルが入るのよ!」
「文化の違いが出てしまったね。ウインとベリーは一緒にお風呂に入らないのかい?」
「入らないわよ!」
「待て待て!いったん風呂から出て話をしよう。ベリーの服が透けてきてるぞ」
ベリーの汗とお風呂の湯気で服が透けて下着がうっすら見える。
ベリーは赤くなって風呂を出ていった。
俺たちは机を囲んで椅子に座る。
俺の右にエムル、左にベリーが座り、広い部屋なのに俺たちは一か所に固まっている。
特にエムルは俺の腕に絡みつき、密着していた。
ベリーにはゆっくり休んでもらいたかったんだけど、うまく行かないな。
「エムル!お風呂に一緒に入るのは良くないわよ!」
「僕はウインと一緒にお風呂に入りたいんだよ。それにウインも本当は嫌がってはいないから大丈夫なんだ。ベリーもうらやましければ、一緒にお風呂に入るのが良いんじゃないかい?」
「うらやましくなんて……」
ベリーは消え入りそうな声で言った。
「ウインとベリーはデイブック民主国の出身だから、真面目すぎるんだよ。お互いに惹かれていたら、お風呂に一緒に入っても良いし、一緒に一夜を共にしても良いんだよ」
「俺は真面目じゃない」
「性欲を持っているのに真面目すぎて性欲を自分を押さえつけて一人でお風呂に入っているウインの為に、僕が一緒にお風呂に入ることで、お互い気持ちよくなる。これも良いことだよね。お互いが気持ちよくなることなら、お互いに楽しんで良いんだよ」
「ん?」
「え?」
「そこなんだよ。君たちはこの行為のどこが間違っているかきちんと説明できるかい?説明できないのなら、それが君たちの矛盾点で、直すべき課題なんだ」
「説明できないな……」
説明できないがなんかむかつく。
こいつ口がうまい。
うまく丸め込もう感が伝わってくるが言い返せないのがむかつく。
「ウイン、まず君は、僕とベリーをベッドの上で女にして良いんだ!いや、するべきなんだ!!お互い同意のうえでお互いが気持ちよくなることに何も問題は無いんだよ。ベリーも僕も君の事が好きで、気持ちよくしてもらいたいと思っているんだ。ウインだって僕たちの事は嫌いじゃないはずなんだ」
……反論しようとしたけど、何も反論できないな。
だがむかつく。
ベリーは真っ赤になっていた。
「ベリー、君のくっころ女騎士属性が、ウインに無理やり女にしてもらいむぐむぐ」
ベリーはエムルの口を抑えた。
「すまないが今日は疲れた。先に休む」
俺は部屋のベッドで休んだが、ムラムラして寝付けなかった。
後、エムルがベリーに話しかけているのがちょっとだけ聞こえてくる。
気になって休めない。
俺は耳を澄ます
「ベリーはウインと結ばれなくて良いのかい?」
「それは僕がウインをもらっても君は後悔しないという事かい?」
エムルの声だけが聞こえる。
エムル、口がうまいからな……ベリーを仲間に引き入れる気か。
ベリーはまじめなところがあるから不安になってきた。
「ウイン、入るわよ」
そう言うと、意外にもベリーも一緒に入ってきた。
エムルは俺の右側、ベリーは俺の左側で添い寝した。
今まで俺は、エムルが添い寝してきても、エムルに背中を向けて寝ることで理性を保ってきた。
だが今回は、
右にエムル
左にベリー
上を向くと二人の吐息
俺の理性は限界だ。
しかもベリーが照れに照れているのが伝わって来る。
「僕とベリーをめちゃくちゃにして良いんだ。それは悪い事じゃないんだよ」
エムルが耳元でささやく。
それから毎日、ベリーとエムルは俺の隣で寝るようになった。
俺の理性は毎晩フル回転することになる。
あれ?これって俺とベリーが休めてないよな?
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