ベリー落ち込む
ベリーも交易路の魔物討伐を手伝ってくれることになった。
俺・ベリー・エムルの3人パーティーで最前線の魔物狩りをするため、先行して先に進む。
「ベリー、装備が弱くなってないか?」
俺は錬金術師の鑑定スキルでベリーの装備をチェックしていた。
首輪以外の装備が新しくなっている。
「勇者パーティーを抜けるときに、後援会に装備一式を返却したのよ」
「そうか。そういえば、勇者パーティーのブレイブ・ガーディー・マリーのレベルって分かるか?」
「ブレイブは61,ガーディーは69、、マリーは分からないけど、50は超えていないと思う。」
ベリーの顔が暗くなった。
勇者パーティーの事は思い出したくないよな。
俺よりも長く勇者パーティーに居て苦労し続けてきたんだ。
「悪い。嫌なことを思い出させてしまったな」
そう言いながらベリーの頭をなでる。
「べ、別に、大丈夫よ。」
そう言いながら顔を真っ赤にした。
俺がベリーの顔をじっと見つめるとベリーがそっぽを向いたが、俺はしばらく頭をなで続けた。
ベリーはさらに真っ赤になって恥ずかしそうにしていた。
前より恥ずかしがるようになっている。
照れさせたくなってくる。
ベリーが消え入りそうな声で言う。
「い、意地悪、しないでよぉ」
「悪かった」
ベリーは可愛い。
ついつい恥ずかしくなった顔を見たくなる。
今の勇者パーティーで一番レベルが高いのがガーディーのレベル69で、ベリーのレベルが77か。
昔はベリーよりほかのメンバーたちの方がレベルが高かった。きっと索敵や野営の見回りも全部ベリーがやってきたんだろう。
ベリーの苦労がうかがえた。
ただ、セイラもエムルもレベル100越えだから、ベリーのレベルが77で低めなんだよな。
ベリー……落ち込まないか?
後不気味なのは近くにいるエムルがおとなしいことだ。俺たちを観察して分析しているな!
「……」
「な、何よ?」
「ん?どうしたんだ?」
「なんか考え事してたでしょ?」
「みんなのレベルの事を考えていたんだ」
ベリーは勘が良いからこういうのはすぐにばれる。
俺達は外で戦闘態勢を取った。
考えても分からない。
まずはやってみよう。
「魔物狩りを始めようか。魔物呼び!」
俺は、斥候スキルで魔物を呼び寄せた。
ゴブリン・いのしし・熊・うさぎ・トレント、今回は魔物の種類が多いな。
大体1500体くらいか。
ボスクラスが10体。
「ハイストーン」
エムルは土魔法で石を高速で飛ばした。
魔物の肉や魔石、皮などの素材を駄目にしないよう、当てる位置、魔法の大きさを調整しながら魔物を倒す。
その様子を見ていたベリーの表情が暗くなる。
ベリーが落ち込んでいる。
俺はベリーが落ち込んでいるのを気づかないふりをして、その日は魔物を狩った。
【その日の夜 ログハウスにて】
俺たち3人で食事をしていたが、ベリーの表情は暗いままだ。
やはりみんなよりレベルが低い事でショックを受けている。
問題はベリーのレベルだ。
ベリーのレベルを100以上に上げれば、ベリーが落ち込むこともなくなるはずだ。
ただ、ベリーの修行をすることで、一時的にベリーの気分は下がったままになるかもしれない。
いや、ここはベリーに話をしてみよう。
「ベリー。交易路の魔物狩りをしながらベリーのレベル上げの修行をしたいと思うんだ。どうだろう?」
「それは私が弱いから?」
ベリーの表情がさらに暗くなる。
「違う!ベリーが落ち込んでいるように見えたから、ベリーが落ち込まなくて良いように考えたんだ!ベリーのレベルが上がればベリーの笑顔が戻ると思った」
「修行するわ」
ベリーは少し嬉しそうにした。
何故か機嫌がよくなったようだ。
「そこで案を考えたんだが、まずベリーの装備を見直したい」
「私、お金をそんなに持って無いから、難しいと思うわ」
「装備は俺が作ろう」
食事が終わると、俺は錬金術でベリーの服を作った。
と言っても、防御力アップなどの付与は付けていない。あくまでベリーのサイズ合わせのためだ。
ベリーは着替える為部屋に行くが、
エムル、こいつずっと俺たちを見ている。こっち見んなよ!と言ってやりたいところだが、言ったところでエムルが喜ぶだけだ。
「うーん、少し服が大きいな。作り直そう」
俺はベリーの服を3回作り直した後、防御力アップなどの効果を付与した装備品を作成した。
基本ベリー後援会から支給されていたワンピース型のスカートと同じデザインにした。
服はベリーの体に張り付くつくらい、フィットするように調整してある。
もちろん俺の好みもあるのでそこはこだわった。
剣は今まで使っていたものよりも少し長めに作成する。
「前に私が使ってたのと一緒のデザインね」
「真似して作る方が楽だからな。ただし、性能は出来るだけ高くしてある」
本当は、ベリーの前の装備が好きだったからと言うのもあるが、決して口には出さない。
ベリー後援会の支給した装備にはみんなの思いが詰まっている。
ベリーが拒否しないギリギリのラインを狙い、何度も微調整されている。
奴らの思いは俺が受け継ごう。
体のラインが強調され、スカートの中が見えるか見えないかのギリギリを狙ったミリ単位の匠の技。
俺が引き継ぐ。
思いは継承されるのだ。
「サイズもぴったりね。ウイン、ありがとう」
「明日から修行を頑張ろう。ベリーにはしばらく苦しい思いをさせてしまうかもしれないけどな」
「明日から頑張るわ!」
ベリーの表情が前より少し明るくなった気がする。
言って良かった。
俺はほっとした。
問題は明日からの魔物狩りか。
【次の日の朝】
「魔物呼び!」
沢山の魔物が集まって来るが、ベリーはかまわず前に出る。
剣に炎をまとわせ、炎の斬撃を飛ばして魔物を倒していく。
ベリーが魔物を倒して剣を左の腰の鞘にしまった。
俺はこの時のベリーが腰をひねる動作が好きなのである。
腰をひねった瞬間スカートが浮き上がるのが俺のツボだ。
パンツが見えるかどうかは問題ではない。
見えそうになる事自体に美が宿る。
ベリーにこの事は絶対言ってはいけない。
自然体なベリーを後ろから眺める。
俺が見守る。
剣を鞘に入れるときの腰のひねりを大きくしてもらう為、剣の長さを前より長めにした。
もちろんメインの理由は、ベリーのレベルが上がった時に備え、長めの剣に変えた。
将来のことまで計算している。
そういう判断だ、そういう判断なのだ!
腰のひねりが大きくなるのはあくまでついでだ。ついでなんだ!
エムルが俺の顔を笑顔で見ていた。
いつも笑顔なんだけど、あの心を見透かしたような顔がいつもと違っててむかつくわ!
後俺の考えを読まれてそうで怖い。
ベリーが攻撃を受けると、すかさずエムルが回復魔法をかける。
俺はベリーに補助魔法をかけ続けた。
それだけではない。
ベリーの魔力が減ると、俺はベリーの口に素早く魔力ポーションを押し込んだ。
ベリーのスタミナが切れる前に、スタミナポーションも飲ませ続けた。
ただ、ポーションは、飲んで一気に回復するわけではない。飲んだ後、少しづつ効いてくるのだ。
魔力ポーションを飲ませてもベリーの魔力は減ってくる。
ベリーの固有スキルは炎の剣聖、特性は魔法剣士なので魔力はどうしても減ってくる。
俺はベリーの口にキスをして、ベリーに直接魔力を補給した。
ベリーとはあらかじめ、ここまでの流れは話をしていたが、ベリーは顔を真っ赤になる。
俺は、役得だから、喜んでキスをしますよ。
これは修行、修行なのだ!
ベリーの唇は柔らかかった。
そこで今までおとなしかったエムルが急に騒ぎだした。
「はあ!はあ!もう我慢できないよ!ベリーに強引にポーションを飲ませるときのあの表情!ベリーにキスをする時のベリーを強引に引き寄せる動き!素晴らしいよ!僕にもご褒美を要求するよ!ベリーだけずるいよ!」
うるさ!声がでかい。
「ベリーは修行ですぐに消耗するから仕方ないだろ!」
エムルは自分の魔力を使い切るように、魔物をどんどん狩り始めた。
「お前!ベリーが倒す分が居なくなるだろ!魔物呼び!」
俺は急いで魔物呼びのスキルを使った。
結局俺は、エムルにもキスをして魔力を補給することになったが、エムルは腕を後ろに組んですがるような表情を見せた。何のプレイだよ!
俺はエムルの顔を強引に引き寄せてキスをし、魔力を補給した。
「はあ!はあ!これだよ!素晴らしいご褒美だよ!」」
いや、まあ、俺も気持ちいいんだけどな。
でもなんか納得できない自分もいる。
俺もお年頃なのか?
それから俺たちは、競い合うように魔物を狩る生活を続けた。
エムルは魔物を瞬殺する勢いで魔物を狩り、俺はエムルから獲物を奪うように魔物を狩る。
ベリーは前に出てどんどん魔物を狩っていった。
アーサー王国からディアブロ王国までの魔物狩りは、信じられないほど早い期間で終わった。
そしてベリーのレベルは急速に上がっていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます