炎の剣聖ベリー合流

「ベリーか!久しぶりだな!」

「久しぶりね!ウイン、元気そうね!」

 俺たちが楽しそうに話をしていると、エムルが間に入ってきた。


「ご主人様の知り合いかい?」

「ご主人様?ってなに?」

「自己紹介がまだだったね。僕はエムル。ご主人様の奴隷だよ」


「奴隷?奴隷ってどんなことしてるのよ!」

「ご主人様におんぶしてもらったり、一緒に寝たりしているだけだよ」


 ベリーは驚いたような顔をした後、涙を流した。

「え?あれ?あ?」


「べ、ベリー?」

 俺はベリーの涙に焦る。


「ベリーはウインの事が好きすぎるんだね」


「え?ちが!」


「素直になった方が良いんだよ。そうしないと幸せを、んーーーー」

 左手でエムルの口を抑え、右手でベリーの頭をなでて落ち着かせた。


 ベリーは次第に泣き止んだが、顔を真っ赤にさせていた。


 セイラが走って近づいて来た。

「ウイン様!何をされているのですか!エムル様を解放しましょう」


 セイラの指摘でエムルを解放する。

「僕はこのままでも良かったんだよ」と言ってベリーの背中に回り、ベリーの背中を指で撫でた。


「んああ!」

 ベリーがビクンとのけぞった。


「うん。間違いない!ベリーはくっころ女騎士属性を持っているんだ!感度もいい」


「エムル、おっさんっぽいぞ」

 俺はベリーを引き寄せて、危険なエムルから遠ざける。


「くっころ女騎士属性?」

 ベリーは首をかしげる。


「分からないかい?ウイン!今ベリーの赤くなった顔を見るんだ。君に抱き寄せられて真っ赤になっているよ」

 俺がベリーの顔を覗き込もうとすると、ベリーは顔をそむけ、耳が真っ赤になっていた。


「これだよ!これがくっころ女騎士なんだ!ベリーはウインの事が好きで、すでに心はウインに奪われているんだ!でも、」

「ダメ!だめー!」

 ベリーが話をさえぎるようにエムルの口を抑えにかかる。


 エムルはベリーを躱しつつ話を続けた。

「ベリーの心はウインに奪われているんだ。でもその恥ずかしさがそれを認めない。恥ずかしさでくっころ発言しか出来ない。素直になれないんだ!」


 エムルは興奮しながら話を続けた。

「ウイン!でも安心してほしいんだ!ベリーはもう君の物だよ。さっき僕がベリーの背中をなでた時のあの感度の良さを思い出してほしい!君がベッドの上でベリーをなでたら、あんなものじゃない!激しく乱れん-ー!」

「エムル、黙ろうか」


 俺はエムルの口を押えた。

「もうベリーをからかうのは無しだ」


 俺はエムルを開放する。

「今までくっころ女騎士属性と言えばセイラだったんだ。ウインの事が好きなのにくっころ発言しかできない。竜族は強いものに惹かれるんだ。完全にセイラは落ちているのにくっころ女騎士属性のせいで素直になれない」


 今度はセイラに飛び火した。

「ち、違います」

「エムル!ストップだ!」


「やんわりとした言葉が多くて分かりにくかったかい?僕が言いたかったのは、ウインがセイラとベリーをベッドで押し倒して服を強引に脱がせてピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーピピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


※自主規制です。


「よーしエムル!もう黙れ!」

 俺はエムルを押さえつけた。

 エムルは押さえつけられて嬉しそうにしていた。


 ベリーとセイラの顔が真っ赤だ。

 かわいい。


「今日は切り上げて休むか。それとエムル、今日喋るな」

 

 エムルは無言になったがはあ、はあ、と吐息を荒くした。








【夜のログハウス】

 俺はセイラ、エムル、ベリーとともに俺の作ったログハウスで食事をとっていた。


「ベリー、セイラ、大丈夫か?」

 ベリーとセイラはものすごく疲れていた。


「私は大丈夫」

「大丈夫です」

 2人とも真っ赤だ。


「今日はみんな休もう。俺は休む。その前にセイラ、エムルは変な所でスイッチが入る。何かいい方法は無いか?」


 セイラは視線を逸らし、顔が曇った。

 対策無しかよ!


「対策は簡単だよ!僕を奴隷にすればいいんだ!簡単だよね?」


 こいつ、下ネタが呼吸をする様に出てくる。

 実際こいつは押さえつければおとなしくなるが、そうすると嬉しそうにしているのがむかつく。


 エムルの誘導に俺が乗ってからのエムルの思惑通り感が半端ないのだ。


 俺がベッドで休んでいると、部屋の外からベリーの声がした。

「ウイン、入っていい?」


「ああ、空いてるぞ。」

「今日はごめんね。助けられちゃった」


「構わないぞ。ベリーのかわいい所が見れたしな。」

 ベリーは赤くなった。

 可愛い。



「今日は一緒に寝ても良い?」

 ベリーはそれからさらに赤くなった。


「エロい事をして良いのか?」

「違うよ!一緒に寝るだけ!」

「そっかー。残念だ!」


「エムルに何か言われたか?」

「そう、だけど、決めたのは私」


 エムルが何か吹き込んだのか。

 ベリーはまじめでエムルは口がうますぎる。

 ベリーはエムルの言う事を真に受けそうだ。


 だけど、ベリーが隣で寝ている。

 前から、ベリーの事は気になっていた。

 

 好きまで行くか分からないが、ベリーの事は意識していた。

 恥ずかしくなってくる。


 俺たち二人は、背中を合わせたまま一夜を過ごした。

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