覚醒②
キャンプファイヤ!能力を強化して、ボスクラスの魔物に使って逃げてくれば、 焼き殺せるんじゃね?
ボスを倒した時の経験値は多い。
魔の森に住むボスを倒し続ければ、すぐに強くなれるんじゃないか?
いや待てよ!決めつけるのは早い!
とりあえず魔物にキャンプファイヤを使って様子を見る。
やってみなければわからないが、いきなりボスで実践するのはリスクが高い。
俺はワクワクしながら魔物を探した。
熊発見!君に決めた。
体も大きいし、体力のある相手だ。効果が分かりやすいだろう。
「キャンプファイヤ!」
俺は熊の顔にキャンプファイヤを使い、逃げる!
……熊は苦しみながら顔の炎を消そうとするが炎を消せず苦しむ。
キャンプファイヤは俺がスキルを解除するか、時間経過しない限り燃え続けるのだ。
異常解除のポーションも状態異常解除の魔法も効かない。
水場へと向かい水に飛び込む。
水の中でも炎が燃え続ける。
熊はもがいて水面にしぶきをまき散らす。
次第に動かなくなり、熊の頭からぼこぼこと沸騰する湯気が上がり水面が赤く染まっていく。
怖くね?
もし自分にキャンプファイヤを使われたらと思うと背筋に悪寒が走る。
時間ダメージ、強いな。
今度からは使ったらすぐ逃げよう。
魔物がじわじわ苦しんでいくのを見ていると気分が悪くなる。わざわざ観察し続けることもないだろう。
魔物に放火&エスケープ続けた。
◇
使い続ける事でキャンプファイヤの性能は強化され、何度使っても性能が変わらなくなってきた。
今では24時間燃え続ける炎を出せる。
キャンプファイヤを使い続ける事で、効果時間は伸びたが、威力はステータスの上昇によって増えてるっぽいな。
雑魚に何回もキャンプファイヤを使った。次はボスだな。
だが、うまくいかない。
ドラゴンを見つけキャンプファイヤをかけようとるのだが、最初はうまくはいかなかった。
つーかドラゴンをいきなり狙うのが失敗だった。
テンションが上がって強敵に挑んでしまった。
作戦では、ドラゴンの首にキャンプファイヤを使って全力ダッシュで逃げだす予定だった。
だが、近づけないのだ。
キャンプファイヤの射程は手から約1メートルまでだ。
ドラゴンの首元に使おうとすると、ブレスや嚙みつきの的になってしまう。
ドラゴンの首に剣を突き立てる位近づく必要がある。
つまり、結局強くなきゃダメって事か。
首は無理だ。
噛みつきは食らったら死ぬ可能性がある。
「キャンプファイヤ!キャンプファイヤ!キャンプファイヤ!」
俺はドラゴンの首をあきらめ、腹下にキャンプファイヤを使う。
当初の目的に凝り固まって命を落とすのは良くない!
冒険者という職業には柔軟性が求められる!
ブレスと噛みつきは本当に怖いのだ。
俺は逃げる。
ドラゴン怖い。
だがドラゴンは激怒しながら追ってくる。
めっちゃ吠えてるし絶対怒ってる!
「あいつ!まだ追ってくる気か!」
俺は全力で逃げた。
木の多い森に逃げ、こちらの小ささを利用して逃げる!
木をなぎ倒しながら追ってくるドラゴンは迫力満点だ。
「……逃げ切ったか」
逃げ切った自分を褒めてあげたい。
「へ!逃げ切ってやったぜ!」
ぼおおん!
ドラゴンのブレスが飛んでくる!
「うお!こわ!」
距離を取ったと思えばドラゴンブレス。
俺は全力で逃げる。
ドラゴンマジ怖い。
「は、はっはっは!に、逃げ切ったぞ!さ、作戦成功だ」
俺は逃げ切った喜びに震えた。
このスリルの後の解放感が最高だ。
キャンプファイヤの魔力消費量は全力で使うと、最大魔力の25%っぽい。
実質一回の戦闘で使えるのは3発が限度だな。
4発撃ったら魔力が空になる。
「きつい、魔力がほとんどない」
後は結果待ちか。
俺はその場に寝そべって休憩した。
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
うまく行ったか、
ドラゴンを確認しに行くと、ドラゴンは胴体を焼かれ、倒れていた。
キャンプファイヤか、弱点も多いが、条件がそろえば使えるぞ!
◇
俺はそれからボスへのキャンプファイヤ&エスケープを続けた。
「ドラゴンは、最後に残しておこう。ドラゴン以外のボスを倒す」
ドラゴンはマジでヤバイ。
命大事にだ。
目標は魔の森に住むすべてのボスを倒すことだ!
最初はボスに近づき、キャンプファイヤを使うのにてこずったが、続けるうちにレベルアップでステータスが上昇し、途中からは一瞬にしてボスに近づきキャンプファイヤを使って逃げる作業になっていた。
この方法でレベルを上げ始め、軌道に乗ると爆速でレベルアップした。
「レベル上げ、楽になったな」
◇
さらにステータスが上がると、キャンプファイヤを使わなくてもボスを余裕で倒せるようになっていた。
ドラゴンすら俺の敵ではない。
「トータルレベル600は余裕で越えたけど、もっとレベルを上げておこう」
魔の森のボスクラスを全滅させた後は、雑魚の魔物も一掃し始めた。
鼻歌交じりで魔物を狩る。
倒すか倒される戦いの次元を超え、タイムアタックをするゲームに変わる。
「昔は、勇者や剣聖のレアスキルがうらやましいと思っていたが、今思えば、レアスキルじゃなくて良かった」
勇者などのレアスキルには欠点がある。
それはレアスキルのマックスレベルが1000である点だ。
レベルを上げるほどレベルアップがきつくなり、成長は頭打ちになっていく。
逆に俺のような無才は、最初こそスキルが貧弱でレベルを上げにくいものの、一つのジョブのマックスレベルが100なので、一つ、二つと職業レベルをカンストしていくほどステータスが上昇し、レベルアップが楽になっていくのだ。
更にレアスキルは尖った能力の分柔軟性に欠ける。
一般ジョブの場合、錬金術師のスキルでアイテムを作り、戦士の能力で剣を使って戦い、魔法使いの能力で遠距離魔法を放ち、傷を負えば治癒士の回復魔法で回復する。
つまり尖っていない分多様性のある様々なスキルを使用できる。
魔の森で多様性が無ければ死んでいただろう。
◇
修行開始から2年ほど経つと、俺のステータスは大幅に上昇していた。
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ウイン 16才 男
戦士: レベル100
格闘家: レベル100
魔法使い: レベル100
治癒士: レベル100
付与術師: レベル100
斥候: レベル100
錬金術師: レベル100
運び屋: レベル100
農家: レベル100
オールラウンダー レベル 10
トータルレベル: 910
固有スキル:キャンプ
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俺のトータルレベルは910になっていた。
全部の職業レベルをカンストさせたら【オールラウンダー】になった。
ただ、このオールラウンダーはなかなかにくせ者だった。
とにかくレベルが上がりにくい。
これは俺の仮説だが、おそらく、トータルレベルを1000にするための総合経験値は、レアジョブでも一般ジョブでも変わらないんじゃないか?
レベルを上げても何もスキルを覚えない。
ドラゴンもショートソードで首を斬り落とす単調な作業だ。
キャンプも飽きた。
魔の森を出ようかな。
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