覚醒
「魔の森に入った時は死ぬかと思ったけど、慣れると意外と快適だな」
そう、俺はボッチキャンプライフを満喫していた。
魔の森に入れば死ぬと言われているが俺は生き残っている。
魔の森はこの大陸の中央に位置する大森林地帯だ。
斥候のレベルをカンストさせていたため、感知能力によって魔物の不意打ちやボス戦を回避することが出来た。
錬金術師のレベルもそこそこあったので、装備や回復ポーション、テントや料理なども素材さえ集めれば作ることが出来る。
斥候と錬金術師は、戦闘力こそ高くないものの、ここでキャンプ生活をするには必要なジョブだと思う。
ステータスオープン
_____________________________
ウイン 14才 男
斥候: レベル100
錬金術師: レベル 72
トータルレベル: 172
固有スキル:キャンプ
_____________________________
魔物を倒し経験値を貯めることでレベルアップし、レベル100になることで次のジョブを選択できる。
今の俺は斥候レベル100と錬金術師レベル72を合わせた172レベル分のステータスを得ている。
レア職業持ちではないとはいえ、ステータスは高い方だ。
「斥候や錬金術師のスキルは、レベルを上げれば勝手に上がるんだけど、問題は固有スキルだよな」
固有スキルの能力だけは、魔物を倒せば上がると言うものではない。
俺の持つ【キャンプ】スキルは、キャンプをすればするほど性能が良くなっていく。
今のキャンプスキルの能力は、テントの設営などを早く正確に行うのと、俺の全回復力が常時アップする。
そう、強くはないんだ。
強いと言われる、【勇者】の固有スキルを持つブレイブの場合、初期ジョブが勇者となり、ジョブレベル1から強い。
理由は1分間自身の戦闘力を2倍にするブレイブタイムというスキルを使用できるからだ。
レベルアップのステータスの上昇値は俺もブレイブも同じだ。
と言うか全員一緒だ。
だが、俺は覚えるスキルの差がある。
同じレベル同士なら俺より勇者ブレイブの方が強い。
俺の固有スキルは弱い。
それでも地道に魔の森でのボッチキャンプを重ねることで能力はアップしている。
固有スキルの成長はどの方向に行くか分からない。
今は常時回復力をアップする俺の能力も昔は
固有スキルを鍛える価値はあるのだ。
快適にキャンプ出来るようになった今、方針の練り直しが必要だな。
今までの方針は、【命大事に】だった。
俺の人生を振り返ると、関わっちゃいけない人と関わりすぎたのが悪かった。
もう二度とやばそうな人は助けない。
全力で距離を取る!
魔の森で生活してる方が前より気が楽だし、レベル上げもはかどってる。
もうしばらくは魔の森にいよう。このまま暮らしていくか、ほかの国に行くかは、もう少し強くなってから考える。
強くなるために何をするか。
まず、キャンプスキルは、ずっとキャンプしてれば強化されていくからここは現状維持だ。
ジョブレベルは、もっとレベルアップが必要だな。
レベル3倍の法則。
どんなにジョブに恵まれなくても、相手よりトータルレベルが3倍以上高ければ相手を圧倒して勝つことが出来ると言われている。
例えば勇者や剣聖などのレアジョブのレベルが100だった場合、レアジョブじゃない俺のトータルレベルが300以上あれば俺が勝つという事になる。
レベルアップによるステータスの上昇はかなり重要だ。
「目標はブレイブを余裕でつぶせるほど強くなることだ」
特に仕返しとかは考えてないけど、もう殺されかけるのは嫌だ。
ブレイブを圧倒出来るほど強くなれば、死ぬこともなくなるはずだ。
ブレイブのレベルが確か55だったな。時間が経ってブレイブのレベルが100になったとして、俺のレベルが300になればなんとかなりそうな気もするけど……
やつはブレイブタイムのスキルを使って戦闘力を倍化させることが出来る。
だから俺は、レベル300のさらに倍、トータルレベル600を目指そう!
修行だ!
俺はひたすら魔の森で魔物を狩り、腕を磨いていった。
◇
キャンプスキルに能力が追加されてる。
「キャンプハウス、か」
魔力を消費して、ログハウスを作ることが出来る。
「キャンプハウス!」
新しいスキルを覚えたら使ってみる。
これが一番わかりやすい。
小型のログハウスが出現した。
中に入って様子を見てみる。
ジャンプしたり、家を叩いてみるが、強度も問題ない。
地面の基礎工事も不要。
魔力消費のみで家を建てられる。
「便利だな」
これで修業の効率が上がる。
◇
『錬金術師のレベルが100になりました。次の職業を選択してください』
戦士
格闘家
魔法使い
治癒士
付与術師
運び屋
農家
うーん、戦闘力を上げるなら、戦士・格闘家・魔法使いだ。
……だが運び屋に決めた。
今は魔物より寒くなって餓死するリスクの方が高い。
「強くなる目標もあるが、死なないことが大事だ」
ストレージの力があれば食料も素材も備蓄し放題だ。
食料を大量に料理してストレージで保存する。
「効率が上がる」
俺は口角を釣り上げつつ魔物を狩った。
◇
『運び屋のレベルが100になりました。次の職業を選択してください』
戦士
格闘家
魔法使い
治癒士
付与術師
農家
次は、戦士に決めていた。
魔力が枯渇しても戦えて近接戦闘力もアップするからだ。
今はキャンプハウスのスキルを何度も使い、キャンプスキルを鍛えつつ魔物を倒してレベルも上げる方針だ。
魔力を温存したい。
◇
キャンプハウスを使い続けて、今じゃ大きなログハウスが作れるようになっていた。
お?キャンプの新しい能力が追加されたぞ。
次の能力は?
キャンプファイヤ、魔力を消費して30分間消えない炎を生み出す。
スキルを覚えたらとにかく使ってみる。
とにかく使ってみるのだ。
様子見の為そばに生えている木に使う。
「キャンプファイヤ!」
ん?普通に木に火が付いたけど、弱いな……
近距離にしか火をつけられないから、劣化ファイアだ。
普通に焚火にしか使えないんじゃないか?
それに魔力をごっそり持っていかれる。
使いにくい。
使いどころは無いか?焚火には使える。他に何か無いか?
……
うーん。思いつかない。
メキメキ
キャンプファイヤで火をつけた木がゆっくりと倒れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。