火吹きカエルと白い布

 ピョンピョン、ケロケロ、ボワッ


 ケロケロ、ボワッ


 ピョン、ケロケロ、ボワッ、ボワッ


 ケロンが火吹き蛇を食べたら火を吹くようになっちゃった。しかも黄緑色の背中に一本の赤い線が浮き出てきた。なんだこれ?


 ケロンに聞くと、なんか蛇を食べたら蛇の特別な能力を得られたんだって。ケロンやるね。すごい便利じゃん。ポヨンはさすがに火は吹けないからね。これで旅の時も火を起こさなくて済む。とってもありがたい。


 背中の模様が変わったケロンを肩に乗せて馬車に乗る。御者のおじさんは「ん?」って顔だったけど特に何も言われなかった。ケロン隊が一斉に飛び乗った時の御者の人はすごい顔してたけど。


 さて、じゃあスライム探しの旅に行こう!



 それから二日間馬車で旅すると「シガ湖」というところに来た。スライムがたくさん生息している場所の一つ目だ。


 シガ湖はとても大きな湖で、一周するのに馬車で3日はかかる王国の中でも最大の湖だ。そんな大きな湖でこれからスライム探しをしたくちゃいけない。ちょっとどうしたらいいかわかんない。


 とりあえず、水辺まで進んでポヨンを湖面に浮かべてみる。


 湖の中はすごくキレイで遠くまでよく見える。ずっと先の湖底に水草がゆらゆらと揺れている。母さんが言ってた。水草は干して食べるとおいしいんだって。


 だいぶ深いところだけど少しだけでも取れないかな。


 そんな僕の思いを感じ取ってポヨンが紐みたいな細い手をニョキニョキっと伸ばす。ずっと先の水草を数本絡めとると引っ張り上げる。簡単にツヤツヤの水草が採れた。


 その場面を近くで見ていた御者のおじさん、その水草を見て「おおっ、これはこれは」って言っていい笑顔で間近まで寄って来た。


 水草を手に取り眺めるおじさん。「この水草は美味しいから今日のお昼ごはんにしてもいいか」と僕に尋ねてくる。もちろんオッケーだ。おいしい夕飯が食べられるならなんでもいい。


 ところがおじさん「しまった!」って頭を抱える。どうやら水草をお湯で煮ようと思ってたのに鍋がないみたい。と、そんな時にポヨンからのダイレクトメッセージ。


「鍋なくてもできるよ~」


 どうやって?


 ポヨンが言うには、前に蜘蛛の糸で出来上がった白い布の四隅を木に縛って中に水を入れれば鍋になるんだって。っていうか、蜘蛛の糸って燃えないのかな。


 ポヨンが言ったことをおじさんに伝える。おじさんは白い布を手に取ると、何度も引っ張って確かめてる。そして笑顔でオッケーサイン。


 枯れた木を集めてケロンに火をつけてもらう。そこでおじさん口をポカンと開けて目をパチパチ。初めてケロンに驚いてくれた。


 そのまま水草を煮る。おじさんがその中に野菜を入れる。クツクツという音と共に水草がキレイな緑色に変わる。最後に調味料を入れて出来上がった。


 一口スープを飲む。うん、美味しい。口の中が柔らかくなるような、フワッとした味が広がる。水草がこんなにも美味しいなんて。


 ひとしきりスープを楽しんで御者のおじさんと休憩する。おじさんが自分の生まれた街の話をしてくれた。なんでも遠く離れたネデルラっていう国なんだって。


 そこでは飛行船っていう空を飛ぶ乗り物があって、空気をたくさん入れた袋が温められて空を飛ぶんだって。すごいよね。いつか僕もそんな国に言ってみたい。


 そんな話をおじさんとしていると、ポヨンとケロンが二人で何かを始めた。


 ポヨンが自分できれいにした白い布の下に潜る。ケロンも同じように白い布の中に入っていく。


 ピヨーン


 ポヨンが上空に跳び上がる。よく見たらポヨンが白い布の四隅を掴んでいる。そして箱型になったポヨンとその中に乗ったケロンが落ちてくると、白い布が一気に丸く膨む。


 ボワッボワッ


 ケロンが頭の上で膨らむ白い布に向かって何度も火を吹く。


 ポヨンたちの落ちる速さがどんどん遅くなる。そして、ゆっくりゆっくりフワフワと落ちてきた。


 丸くなった白い布、その下にケロンを乗せた箱型ポヨン。


 それを見たおじさんの嬉しそうな顔。


「プラボー」


 おじさんは手を叩いて喜んだ。




 ―――――

ミーノ

職業:テイマー

階級:白狼級

従魔:ポヨン隊(スライム50体)

    プルン分隊(訓練ダンジョン内)

    ポヨヨン分隊(美容サロン手伝い中)  

   ケロン隊(カエル113体)


特殊個体:ポヨン(ミスリルスライム)

     プルン(黒鋼スライム)

     ポヨヨン(橙色のスライム)

     ケロン(火吹きカエル)new!

     

持ち物:赤い宝石・無料馬車券・チユーブダンジョン・白い布・白い網


0319最後尾に現況追加



 

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