カエルをテイムしよう

キラキラのカエル

「さあ、カエルをテイムするぞ」



 カエル2匹がキラキラになって水から出てきた。何かと思ってキラキラのカエルを連れてワッキさんに見せに行くと、ワッキさんの目もキラキラ。なんかカエルに付いたそのキラキラ、すごい珍しいものなんだって。


 急いで道具をかき集めて川に向かうワッキさん、すごい勢いだった。キラキラカエルのキラキラは手で拭いてあげたら簡単に取れたから、全身きれいにしてあげた。


 その後、僕は特にやることもなくなったから久々にポヨンと2人で森の探索だ。ポヨンがポヨンポヨン。僕も隣でポヨンポヨン。初めて出会った時を思い出しちゃった。こうしてるとまたテイムしたくなる。


 ビーゼンのメンバーはしばらくチユーブにいるってことだったから、僕は馬車で山に向かうことにした。今度はカエルをテイムするためだ。


 馬車乗り場で王様から貰った無料乗車検を見せる。すると、目の前の馬車が移動して別の綺麗な赤い馬車が出てきた。なんだかよくわからないままに赤い馬車に乗るとすぐに出発。まだ馬車の出発まで時間があったはずだけど、なんで?


 一人だけで移動する僕だったけど、この馬車、すごく速い。瞬く間にトカイ村も通過してあっという間に山に到着した。御者の人にお礼を言って降りたんだけど、この馬車一向に出発する気配がない。聞いてみたら僕を待っててくれるって。帰りは通りかかった馬車に乗ればいいと思っていたんだけどな。


 御者の人にもう一度お礼を言って僕はカエルのいる川に向かう。カエルの数が少なくなってるって聞いてるから、少しだけテイムしたら帰ろう。馬車を長い時間待たせるのも悪いしね。


 川に着くと両肩のカエルがピョン。トポンと川に飛び込んで気持ちよさそうに泳いでいる。僕もズボンの裾を上げて入っていく。もちろんポヨンを水に浮かべて川底探索だ。


 今日の川底にはなにもないようだ。そのまま山の境まで進む。それ以上は魔物が出るので入らない。カエルが現れるのをポヨンと遊びながら待っていると、現れたのは一匹のカエル。僕を見ると近寄って来た。


 僕が近づくと、カエルも近づく。僕もさらに近づく。カエルもさらに近づく。そしてカエルは僕の脇を通り過ぎる。あれ?


 後を追っていくと、カエルは川で遊んでいる2匹の元に。


 ケロケロ


 ケロケロ


 お互い鳴き合ってはピョンピョンしている。もしかして友達だったのかな?


 カエル3匹が僕に近づく。僕が手を出すとそこから2匹が肩に乗っかる。1匹は手の上に。カエルが声を揃えてケロケロケロ。僕も一緒にケロケロケロ。だんだん光に包まれ、僕らは繋がった。


 繋がってみて分かった。このカエル、僕が初めに会ったカエルだ。そして2匹のお母さん。2匹がいなくなって探してたらしい。ごめんね。


 お母さんカエルに謝ったら、「見つかったからいい」って。それより「守ってくれてありがとう」って感謝されちゃった。カエルのお母さんとってもいいカエル…いい人だ。


 そんなお母さんに他のカエルについて聞いてみると、やっぱり数が少ないんだって。でも、餌の蜘蛛がたくさんいるからそのうち数も増えるだろうって。で、自分も卵を産んだから子供がたくさん増えるって。いつごろか聞いたら明日にはかえるって教えてくれた。


 ってことで、お母さんカエルにはここにいてもらって、僕と子供カエルは馬車でいったん帰ることにした。


 帰りの馬車も凄く速かったけど、チユーブに着いたときはもう夕方だった。そのまま領主館に戻ってビーゼンと夕食だ。でもワッキさんがひとり項垂れてた。理由を聞いたら、あの川底のキラキラが採れなかったんだって。砂とかが混じっててキラキラだけを採ることができなかったらしい。そんなワッキさんにカエルが増えるかもって伝えたらいきなり抱きしめられた。力が強くてすごく苦しかったから、ワッキさんすごく嬉しかったんだと思う。


 それからはそのキラキラの話で持ち切りだった。


 キラキラの名前は「ミスリル」。大量に採れる鉱山とかは領主様や王様が買い上げるんだけど、これくらいの量だと個人で使えるらしい。


 川は誰のものでもないから誰でも採っていいんだって。だからカエルがたくさん生まれたらそのミスリルっていうのを集めてもいいかも。でもなんでカエルにはミスリルがくっつくんだろう。よくわからない。




 次の日も馬車で山に行く。今日は時間が早いからゆっくりできる。だからお弁当も持ってきた。


 早速川に行くとお母さんカエルが待っていた。もうすぐ生まれるんだって。場所が山に入ってすぐのところだって言うから見に行くことにした。両肩のカエルも嬉しそう。弟や妹ができるんだもんね。


 川に沿って山を登るとお母さんカエルがすごい速さで泳いでいく。続いて二匹も。どうしたんだと思って急ぐと、数えきれないほどの蜘蛛が一か所に溜まっていた。蜘蛛の山だ。うへ、気持ち悪い。


 僕が気持ち悪がってるとポヨンからのダイレクトメッセージ。「あの蜘蛛の下に卵があるみたい」って。こりゃ大変だ。


 僕も急いで近寄ると、何匹かの蜘蛛が僕を目掛けて空中を飛んでくる。しまったと思いうずくまる僕の目の前にビローンと薄い布みたいに伸びたポヨンが跳び込んでくる。空中の蜘蛛から糸が噴き出されると伸びたポヨンがどんどん白く染まっていく。


「あ、ポヨン、無理しないで」


 ポヨンはそのまま水に落ちてしまった。そして蜘蛛から僕に拭き出される糸。


 パシャン


 水中から飛び出すポヨン。さっきの糸はついてない。そのポヨンが再び薄い布になって間に入る。また白く染まって水中に落ちる。


 次は……もう蜘蛛はいなかった。口をモグモグさせてるカエル3匹。


 周りを見ると、水中から「白い布」を引き上げて川辺に佇むポヨンがいた。




 ―――――

ミーノ(跳兎級テイマー)

 従魔:ポヨン隊(スライム50体)

      プルン分隊(森探索中)

      ポヨヨン分隊(美容サロン手伝い中)  

    カエル3匹 new!


 持ち物:赤い宝石・無料馬車券・チユーブダンジョン・白い布×2 new!

 同行者:ビーゼン(銀虎級)・王都ギルドマスター


0317最後尾に現況追加

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