旅行先でのこと

バブみ道日丿宮組

お題:恋の踊り 制限時間:15分

旅行先でのこと

 心霊現象にあわないためには、全裸で踊る必要がある。

 旅行中でもそれは変わらない。服を脱ぎ、正座をして、集中する。

 もちろん、恋人も同じように対応してる。いい伴侶を得たと思う。親にはやめてくれ、友だちには恥ずかしいやつ。そんな扱いであったのに、彼は真摯に向き合ってくれた。

 心霊怖いものねと、笑ってくれた。

 目を開け、彼に手を差し伸ばす。

 握りあった私たちは、踊りを舞う。それは決められた踊りではなく、どんちゃか騒ぎでもなく、ただ静かにまわり続ける。私と彼でぐるぐる、ぐるぐると自分たちの世界を作り上げる。

 3分間やって、再び正座。そして瞑想。

 それを3回繰り返す。

 終わる頃には結構汗をかいてて、そのまま彼に押し倒されるのがいつもの流れ。

 彼は汗臭いのが大好きだった。

 学校でよく体育倉庫で犯された。不審がられないのが不思議でならなかった。都合よく同じ生徒がいなくなるなんてことは発生しない。教師が見過ごすわけもない。というのに、問われることはなかった。黙認されてるのかと怪しんだりもしたが、あまり気にしないことにした。そんなことに集中するくらいなら、彼の陰茎に集中したい。

 彼との性行為はとても良かった。彼も私に満足してた。

 だから、関係は社会人になっても続いた。

 ぼちぼち結婚しようかという話になって、二人でこうして旅行に来た。

 プロポーズらしいことはされなかったが、寝て起きたら机の上に結婚指輪があって、『そういうことだから』と笑われた。

 この旅行が終わったら、両親に挨拶をしようと思う。

 中学からの付き合いだから、必要もないような気もするけれど、こういうのは儀式。しきたりのようなものだ。

 結婚式場では、さすがに裸で踊ることはできない。あそこでは恋の踊りが要求される。いかにして幸せそうに見せるか。ただそれだけを演出する。

 それでも心霊現象対策はすべきことがらであるのは、間違いない。

 ならば、神社でやるべきか……。ウェディングドレスを着るのはへんな気がするが、果たして。

 まぁ……今は彼に集中しよう。

 彼はとてもいい顔をしてる。気持ちよさそうに腰を振り続けてる。

 幸せだった。

 彼に包まれる世界は、とても他では味わえないエンターテインメント。

 けれども、それには終わりがある。

 射精という終焉を迎えると、私たちはお互い息を乱しながら、天井を見つめた。

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旅行先でのこと バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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